東京農業大学、一次産業を専門とした課題解決 プラットフォーム「YUIME Japan」を導入

一次産業の課題解決プラットフォーム『YUIME Japan』の運営と人材支援サービスを行うYUIME 株式会社(東京都港区・代表取締役:上野耕平)は、東京農業大学 生物産業学部 自然資源経営学科(以下東京農業大学)の授業に、一次産業を専門とした課題解決プラットフォーム「YUIME Japan(ゆいめじゃぱん)」が導入されることを発表した。

東京農業大学における『YUIME Japan』導入について

『YUIME Japan』を授業に導入することで、学生が卒業後のキャリアプランとして就農を選択できるよう、一次産業の現場で即戦力として活躍できる人材の育成を目指す。

具体的には、実務演習という科目の中で、全国の農家から多種多様な営農を学ぶ機会を設けるほか、インターシッププログラムを充実することで、就農のためのプラットフォーム形成を図る。

そして、就農を推進していくためには、仕事だけでなく、農家としてのライフスタイルも学生に見せてあげることが大切であると考えており、自分が農家になったらどのような生活を送ることができるのかをイメージするサポートを行う。

また、本州の農家から営農や就農に踏み切ったポイント、農業のあるライフスタイルをリアルに学ぶ機会を設けるため、オンラインによる遠隔授業導入を構想しているという。

カリキュラム開発の背景

就農を促す、農業研修を組む難しさ

東京農業大学は、新規就農推進フォーラムの開催、就農関連科目の開講、学外農業研修・実習、事後研修の実施など、かねてより就農支援プログラムに力を入れている。

農大に進学する学生の多くは農家の師弟ではなく、実家が非農家である学生が多いのが実情で、その点では新規就農を希望する学生を支援する仕組み作りが大切である。

全く農業に触れてこなかった学生が就農を目指すとなれば、当然、実習機会を多く設けてあげることが必要だが、講義として農業研修を組むとなると、団体行動が基本となるため、現場までの移動や受け入れ先のキャパシティの点から、大学の実習や演習として取り入れることが難しくなりつつある。

特に昨今はコロナ禍の影響により、コロナ感染リスクの点を考えると、団体行動は難しく、かといって個別で実習を組むとなると、なかなか大学だけで実習を組むことは難しい。

その点で、全国の農家とのネットワークを有するYUIMEとともに一次産業の現場で即戦力として活躍できる人材を育成し、大学教育の質の向上を図ることを目指している。

多種多様な農業体験の提供

また、東京農業大学生物産業学部のある北海道オホーツク地域は、機械化による大規模農業が展開される顕著な地域。

日本でもトップクラスの生産性の高い農業を学ぶ場として、オホーツクはとても魅力的だが、生物産業学部の学生の90%近くは本州出身者で、卒業後、80%の学生は実家のある本州に就職する。

学部の学生の就農支援を推進していくために、大規模な北海道農業だけでなく、本州の多種多様な農業も体験することで、就農の選択肢を広く見せてあげることが大切。

『YUIME Japan』を導入することで、学生たちが多種多様な農業に触れるきっかけを提供したいと考えているという。

農業経営に触れ、就農を含めたキャリアプランを描く手伝い

いざ学生が就農を選択しようとした際に、農業バイトの経験はあっても、農業経営に携わった経験はなく、農家から経営を教わる機会もないため、就農に踏み出すことをリスクに感じ、農業以外の仕事を選択するというのが現状。

自然資源経営学科の卒業後の業種別の進路を見ても、農業が3.7%に留まっていることからも読み取れる。

「人物を畑に還す」という教育理念を掲げる東京農業大学にとって、農家のキャリアプランを見せていくことは重要な課題である。

『YUIME Japan』の授業導入を経て、学生が卒業後も今後のキャリアプランを描きながら、一次産業の現場で即戦力として活躍できる人材を育成することや、就農率を上げることで一次産業の活性化を目的としている。

東京農業大学 小川繁幸 准教授コメント

現在、私が普段取り組んでいる研究は、持続可能な社会の実現にむけた都市と農村の関係の再構築です。より具体的には、農業の新たな価値表現を通じて、農業・農村の活性化にチャレンジしています。

例えば、農業の6次産業化や農商工連携を通じて、農作物の付加価値化を展開することで、農村を支える農家の生活が豊かになれば、農村には新たな雇用が生まれ、農業・農村の活性化が期待されます。より、この流れを強めていくためには、農産物を提供してくれる農業そのものの価値を見直し、より高めていくこと大切で、必要なのは農産物の新たな価値表現であると考えております。

作物を生産する畑は食料を生産する場でありますが、畑自体は作物を生産する場所としてしか評価されてきませんでしたが、作物は農村景観を保持する役割だけでなく、水源かん養や農村文化の保持といった多様な価値も有しています。

特にSDGsに関心が集まっている社会的潮流のなかで、今農業の価値が改めて再評価されていますが、その様な中では、単純に食料として価値のみが評価されがちであった農作物も、環境保全や伝統文化の保持といった多様な面から消費者にその価値や魅力を表現していくことが大切です。

加えて、あらゆる業界のトレンドは、都心のオフィスワーカーから発信されることが多いですが、今のトレンドはエシカルや健康などのライフスタイルで、生活の中に農業を取り入れるが素敵なライフスタイルとして発信されることが多くなってきました。

食事は健康や美容に気を遣いながら、オーガニックでエシカルな食材で。週末は農業を楽しむ。そんな“農業”のあるライフスタイルが今のトレンドです。

いままでは“3K(汚い、きつい、危険)”のイメージが強かった農業ですが、都市住民にとって農業は憧れの職業になりつつあります。農業を憧れの職業とするためには農家をカッコよく演出することが大切で、農家の暮らしを都市住民が憧れるようなライフスタイルに変化させていくことがポイントです。最近、農家の中には、これまでの農家のイメージとは異なり、農村においてカッコよくて、オシャレな生活をおくる農家も増えてきました。そのような農家の新たなライフスタイルは、農村の新たな文化を創出します。そのような文化が形成された農業・農村には、ヒトが集まると思いませんか。

ゆえに就農支援においては、営農を学ぶ機会だけでなく、農家の素敵なライフスタイルも体験出来る場も設けることで、農家としての生活像をイメージできるようにしていくことが大切であると思います。

東京農業大学 小川繁幸 准教授について

新潟県胎内市の葉タバコ農家に生まれ、2004年に東京農業大学生物産業学部を卒業、博士課程を修了後、農林水産業のコンサルティングなどを経て、2014年に同大学の地域産業経営学科の助教に就任、2021年から准教授。

オホーツクキャンパスを拠点に全国の地域活性化に向けて飛び回る毎日。