ICTを積極的に活用している高校の教師は約3割 カシオ計算機の高校におけるICT教育の実態調査より

カシオ計算機は、全国のICT化が完了している高校の教師/していない高校の教師 各206名ずつを対象に、高校におけるICT教育の実態調査を行い結果を発表した。

高校におけるICT教育の実態調査結果概要

「GIGAスクール構想」により、全国の小中学校では1人1台端末体制が構築された。

一方で、高校においては今後、環境整備や授業でのICT活用が進んでいく見通し。

電子辞書や関数電卓、オンライン学習ツール「ClassPad.net(クラスパッド ドット ネット)」を提供し高校教育をサポートするカシオ計算機では、全国の高校教師を対象とした実態調査を行った。

今回の調査は、高校におけるICT教育の課題、現場の教師が抱えている悩みを「教師目線」で明らかにすべく行ったもの。

調査結果のハイライト

ICTを積極的に活用している教師は約3割に留まる

1人1台環境が整備されている高校でも、「ICTを積極的に活用している」教師は37%。一方で、端末がまだ整備されていない高校の6割強の教師が今後「ICTを活用したい」と回答。

現場教師がツールに求めるのは「簡単操作」

端末がまだ整備されていない高校の教師が使用ツールに期待することは、「操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる」がトップに。一方で、「端末が支給されただけでその後のサポートがない」「ICTに関する研修が不十分である」という課題も。

ICTを活用して実現したいことは「教材のビジュアル化」

61%の教師が「教材のビジュアル化」に意欲。また、ICT整備校では、75%もの教師が「理解しやすいように、教材をビジュアル化して提示」していると回答。

調査結果の詳細

高校の授業でのICT活用の実態

  • 1人1台環境が整備されている高校でも、ICTを「積極的に活用している」と回答した教師は37%に留まった。一方で、端末未整備の高校では6割強の教師が今後「ICTを活用したい」と答え、期待感がうかがえる結果に。
  • ICTを活用したい理由は「これからの時代のスタンダートとなるから」「授業を効果的、効率的に行えるから」「ビジュアルで見せることができるので、生徒の興味関心をひきやすい」「コロナ禍で学習時間を確保するため」などの意見が多く、「ICT化が進んでいる高校の事例を参考にしたい」との前向きな声が全体の76%にのぼった。

端末を整備済みの高校

Q) ICTを積極的に活用し、新たな授業やオンラインでのコミュニケーションなどを行っているか?(資料の共有、ノートとしての活用、板書代わりとして、出欠管理、課題提出など)​

端末が未整備の高校

Q) ICTを積極的に活用し、新たな授業やオンラインでのコミュニケーションなどを進めていきたいと思うか?

Q) ICT化が進んでいる高校の事例を参考にしたいと思うか?

授業等で使用するツール、アプリの課題、期待すること

  • 端末を整備済みの高校において、授業等で使用しているツール、アプリについて困っていることのトップ3は「使い方の習得に時間がかかる」、「ノートと同じような操作性とは言えず、操作が難しい」、「端末の機種によって使用できない場合がある」。
  • 端末が未整備の高校の教師が今後使用するツール、アプリに最も期待することは「操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる」、次に「端末の機種に依存せず使用できる」と続き、端末整備校が抱える課題と同じ結果となった。
  • 現場の教師がツール・アプリに最も求めているのは、「すぐに使える」「簡単操作」であることがわかる。

Q) 【端末を整備済みの高校】現在授業等で使用しているツール、アプリで困っていることはどんな点か?(複数回答可)

Q) 【端末が未整備の高校】授業等で使用するツール、アプリに期待することはあるか?(複数回答可)

ICT化を進める上で教師が感じる不安、課題

ICT化を進める上での不安、課題のトップは「教師間の意識にギャップがある」で50%。以下、「端末が支給されただけでその後のサポートがない」、「ICTに関する研修が不十分である」と続いた。

Q) 【全校】ICT化を進める上で、不安なことや課題だと思うことは?(複数回答可)まだICT化が進んでいない場合は、進めると想定して回答。

高校の授業でのICTの具体的活用内容

  • ICTの活用で実現している/したいことのトップは共に、「教材のビジュアル化」で61%。一方、ICT整備校の教師の75%が「理解しやすいように、教材をビジュアル化して提示」していると回答しており、理解や知識の定着を促進したいという教師の思いが読み取れる。
  • 続いて、「授業や課題の準備業務を効率化させたい」、「課題をオンラインで配布、提出できるようにしたい」が共に約46%との結果に。一方、「探求型の学習やグループ学習を推進したい」は37%となった。ICT整備校において「探求型・グループ学習の支援ツール」として活用している教師は約40%と、全体として2022年から新たに導入される「探求学習」への活用はこれからといえる。
  • ICTの活用によって「板書にかかる時間」を節約したい教師が62%、「教材準備の時間」を節約したい教師も53%と、多くの教師がICTにより業務の効率化をはかりたいと考えている実態も明らかになった。実際に、ICT整備校の教師の50%以上が「課題のオンライン上での配布・提出」に取り組んでいる。

Q) 【端末を整備済みの高校】どのような場面でICTを活用しているか?(複数回答可)

Q) 【全校】ICTを活用して、どのようなことを実現したいと考えるか?(複数回答可)

Q) 【全校】ICTを活用して時間を節約したいと思う作業、業務はあるか?(複数回答可)

その他の調査結果

高校の教師、生徒のICTスキル

  • 端末や各種ツールの使用、資料作成など、教師自身の基本的なICTスキルについて、端末整備校では「かなり身についていると思う」「ある程度身についていると思う」を合わせて73%だった一方、端末未整備校では50%弱と差が顕著となった。
  • 学校や担当クラスの生徒のICTスキルについても同様の傾向となり、端末整備校では「かなり身についていると思う」「ある程度身についていると思う」が60%だった一方、端末未整備校では38%と差が開いた。

Q) あなた自身として、端末や各種ツールの活用、資料作成など、基本的なICTスキルが身についていると思うか?

【端末を整備済みの高校】

【端末を整備済みの高校】

【端末が未整備の高校】

【端末が未整備の高校】

Q) あなたの学校や担当クラスの生徒たちは、タイピングや資料作成能力、ツールの操作等、基本的なICTスキルを身につけていると思うか?

【端末を整備済みの高校】

【端末を整備済みの高校】

【端末が未整備の高校】

【端末が未整備の高校】

有識者のコメント

中川 一史先生(放送大学教授)

小中学校および特別支援学校では、ほぼ100%、1人1台端末環境の整備が進みました。これから先、高等学校にはまさに「日常的に」「占有の」1人1台端末を活用してきた生徒が入学してくることになります。高等学校での整備も進んでいるものの、その対応も喫緊の課題となっています。

調査では、「ICTを活用したい」という回答が多く得られました。この点から、整備された端末が普及する可能性を強く感じます。その一方で、GIGAスクール構想下の1人1台端末環境でのICT活用促進は、これまでの教師が全てをコントロールして進めていった形から、児童生徒が主体的に、いつでもどこでも普段使いをしながら学習でも生かしていくことになる点を踏まえる必要があります。

そういった意味では、調査でも指摘のあった教員研修はとても重要です。1人1台環境での活用方法(特に探究的な学習などでの活用イメージ)や、児童生徒が主体的に活用する際の教師の構えを、しっかりと研修内容に含める必要があります。

また、調査結果においては、教師が求めているツールとして「簡単操作」がキーワードになっています。この点で、「ClassPad.net」は大いに強力なツールとなるでしょう。高校生が、学習ツールとしても生活ツールとしても、今後「ClassPad.net」を「普段使い」していくことを期待したいと思います。

調査基本情報

  • 調査名称 : 高校におけるICT教育の実態調査
  • 調査方法 : インターネット調査
  • 調査期間 : 2021年8月13日(金)~8月15日(日)
  • 調査対象 : 全国の高校教師
  • 調査人数 : 412名(ICT化が完了している高校の教師/ICT化が完了していない高校の教師:各206名)

ICTに関する教師の悩みを解決するプラットフォーム「ClassPad.net」について

「ClassPad.net」は、パソコン・タブレットに最適なオンライン学習プラットフォームで、オンライン辞書、デジタルノート、数学ツール、課題の送受信や生徒の回答の一覧表示が可能な授業支援機能など、多くの機能をワンストップで活用可能。9月より、高校6教科を中心に、どの授業でも使えるVer1.0の提供を開始。

今回の調査では、操作しやすく、視覚的に学習できるツールが「現場教師の理想」であることが明らかになった。

カシオ計算機は高校におけるICT教育に最適なプラットフォーム「ClassPad.net」を通じて、高校教育現場のICT化に積極的に貢献していく。

「ClassPad.net」導入校の事例

「ClassPad.net」を導入※している常葉大学附属橘高等学校(静岡県)の菅原隆平先生の声を一部紹介する。※2021年4月にリリースしたベータ版を導入

実際に『ClassPad.net』を使用してみますと、私の担当教科が英語ということもあり、フルカラーで見やすく操作性もよいオンライン辞書機能が特に使いやすいですね。今後は、授業支援機能を積極的に活用していきたいと考えています。

『ClassPad.net』上で双方向に課題を配信・提出すれば、生徒がどのように考えて学習に取り組んでいるのかを一目で確認できますし、生徒全体に何かを共有する際も便利だと思います。例えばグループアクティビティ、ディスカッション、プレゼン、リサーチ等の際に生かせそうというイメージは膨らんでいます。

意外ですが、美術教員も『ClassPad.net』に興味を示しています。生徒が作った作品、ポートフォリオ機能として活用できそうだと話していました。当初はあくまで6教科での活用しか考えていませんでしたが、美術で使えるとなれば、さらに家庭科、体育等でも活用できるかもしれません。

一方で今、最も課題に感じているのが『教育のICT化における教師間の意識のギャップ』です。デジタルとアナログ、どちらの良し悪しではなく、ICT化を現場の負担に感じさせないように浸透させることが最も重要ではないでしょうか。