8割以上の教員が自ら情報モラル教育を実践 LINEみらい財団が「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査報告書」を公開

一般財団法人LINEみらい財団(所在地:東京都新宿区、代表理事:奥出直人、江口清貴、以下LINEみらい財団)は、学校現場で今後求められる情報モラルの内容や教育実践手法、課題等を明らかにすべく、「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査」を実施し、報告書を公開したことを発表した。

「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査」結果概要

LINE株式会社は、2012年より青少年のインターネット(以下、ネット)の利用環境の整備に取り組み、CSR活動の一環として、学校や企業、自治体、政府機関などと協力し合いながら、情報モラル教育活動を展開してきた。

2019年にはLINEみらい財団を設立し、これら一連の教育活動から得られた知見やノウハウを、LINE個社のCSR活動に留まらず広く社会に還元し、より広域的・永続的な活動を展開している。

ネットトラブルは、児童・生徒の私的に所持する端末から様々なネットサービスを介して発生するため、学校としては具体的な事情を把握しにくいという背景があった。

そのため、情報モラル教育は、これまで教育CSRを行う企業等の外部機関が講師を学校に派遣し、児童・生徒が集まった場所で講演する形態が一般的だった。

LINEみらい財団も、独自開発した教材を用い、LINEオフィシャルインストラクターが、全国の学校や自治体、関係機関において、講演活動を無料で行っている。

しかし、GIGAスクール構想*の推進を契機に、全国の学校で、「一人一台端末」「高速通信網」「クラウド活用」が整備されているなかで、学校での情報モラル教育についても変化が想定される。

今回、その変化の傾向把握と今後の教育のあり方を検討するために、実態調査を実施。

具体的には、すでにICTを積極的に活用している自治体や学校に協力してもらい、一人一台端末環境を実現している学校の教員及び管理職のアンケート内容の分析をおこなった。

GIGAスクール構想とは文部科学省が推進する、一人一台端末環境の実現など、子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を実現するための施策。

調査サマリー

  1. ネットトラブルは校内で発生している(家庭の問題だけでなく学校の問題に)
  2. 情報モラルの指導は教員の多くが自ら実践をしている(外部機関による指導から教員による指導へ)
  3. 教員による情報モラル教育の実践や意識は、教員のICT活用の程度や意識と関係する(ICT活用の日常化の重要性)
  4. 教員による情報モラル教育の副次的効果として、校外での児童・生徒のネット利用にも好影響をもたらす(学校と家庭の接続の重要性)

調査詳細

①ネットトラブルは校内で発生している(家庭の問題だけでなく学校の問題に)

<ネットトラブルの発生のタイミング>

管理職の回答によると、小学校、中学校ともに、ネットトラブルが校内(授業時間中、授業時間外)で起きていると回答している。

特に中学校の校内でのネットトラブル(授業時間中→63.0%、授業時間外→85.2%)は、小学校(授業時間中→27.7%、授業時間外→40.4%)の約2倍以上。

ネットトラブルは今や家庭の問題だけではなく、学校内の問題にもなっていることが分かった。

②情報モラルの指導は教員の多くが自ら実践をしている(外部機関による指導から教員による指導へ)

<情報モラル教育の指導経験有無>

教員の回答によると、一人一台端末環境下において、過去1年以内に情報モラル教育を自ら指導した経験がある教員の割合は、小学校では89.1%、中学校では81.5%。

教員自らによる指導が重要性を増していることがうかがえる。

③教員による情報モラル教育の実践や意識は、教員のICT活用の程度や意識と関係する(ICT活用の日常化の重要性)

<児童・生徒へのICT活用指導得意意識 × 情報モラル教育得意意識>

教員の回答によると、情報モラル教育に積極的な姿勢や意識を持つ教員の特徴として、小学校、中学校ともに、授業でのICT活用頻度が高い教員ほど、児童・生徒のICT活用指導を得意とする傾向にある。

<児童・生徒へのICT活用指導得意意識 × 情報モラル教育得意意識>

そして、児童・生徒のICT活用指導に得意意識がある教員ほど、情報モラルの指導を得意と考える傾向にある。

ICT活用の日常化がカギとなることが示唆された。

④教員による情報モラル教育の副次的効果として、校外での児童・生徒のネット利用にも好影響をもたらす(学校と家庭の接続の重要性)

<児童・生徒の変化の内容>

教員の回答によると、小学校、中学校ともに、情報モラルの指導後に教員の約4割が、児童・生徒の私的なネット利用への変化を感じている。

具体的な変化としては、「児童・生徒の意識が高まった」(意識変容)が、小学校では82.7%、中学校では69.2%と最も高く、「相談が増えた」(行動変容)が、小学校では11.7%、中学校では26.4%となり、「トラブルが減少した」(結果変容)が、小学校では19.5%、中学校では31.9%となった。

意識変容のみならず、行動・結果変容まで現れていることが分かった。

教員・管理職の自由回答では、校外での児童・生徒のネット利用の適正化のためには、家庭との連携も重要となることが把握できた。

考察・提言

本調査では、一人一台端末環境下の学校で、従来とは大きく異なる変化が見て取れた。

この変化のひとつに、ネットトラブルが学校内で発生し、教員が対応を迫られる場面が増えたことがある。

その対応策として、教員による情報モラル教育の実施が増え、その内容も端末の活用を前提とした幅広いものになっている。

このような状況下において、今後の情報モラル教育実践のあり方を改めて考える時期にあるといえる。

特に、教員の意識や努力だけに依存するのではなく、一人でも多くの教員が無理なく情報モラルを指導できる「仕組み」を整えることが必要となるだろう。

具体的には、ICT活用や情報モラルに関する教員の指導力向上に向けた教育支援プログラムの充実化や、これまで情報モラル教育の一翼を担ってきた企業等の外部専門機関からの支援および分業の体制化、保護者や地域との連携等が考えられる。

児童・生徒に関わる関係者が、このような継続的な啓発の仕組みを議論していく必要があるといえるだろう。

LINEみらい財団では、本調査結果を受けて、児童・生徒に関わる関係者とともに、GIGAスクール構想の実態に沿った情報モラル教育活動の展開について、検討していく。

調査概要

調査目的

学校現場で今後求められる情報モラルの内容や教育実践手法、課題等を可能な限り明らかにすること

調査手法

Webアンケート調査

調査協力

東京都教育委員会、熊本市教育委員会、戸田市教育委員会、上越教育大学附属小学校/中学校、学校法人福岡雙葉学園

調査対象者

一人一台端末環境が整っている学校の教員/管理職

有効回答数

  • 教員:926人(小学校651人、中学校275人)
  • 管理職:133人(小学校96人、中学校37人)

調査期間

2021年2月〜3月