清教学園の高校生ら、フィリピンの子ども達のオンライン授業環境整備のためクラウドファンディングを立ち上げ情報端末約40台を送り届ける

「一人ひとりの賜物を生かす」ことを掲げ教育活動を展開する清教学園中・高等学校(大阪府河内長野市、校長 森野 章二)では、コロナ禍で海外研修を実施できない中、グローバル・イシューに関心を抱く生徒たちがフィリピンの高校生たちとのオンライン会議を通じて知らされた現地貧困層の子どものニーズに応えて、現地の子どもたちに情報端末を贈るクラウドファンディング「SSS プロジェクト」を立ち上げ、今回情報端末約40台を送り届ける奉仕活動を完了したことを発表した。

これにより、コロナ禍で学びの場に加われず取り残されていたセブ島の山岳地帯の子どもたちもオンライン授業に参加できるようになり、持ち前の元気な笑顔をさらに輝かせることに結びついた。

また今後は、情報端末を活用できるようになった現地の子どもたちとオンラインでつながり、清教学園中・高等学校の生徒およびクラウドファンディング支援者との交流会も計画されている。

清教学園中・高等学校では、コロナ禍で海外研修の実現が難しい中でも自分たちにできる世界とのつながりの仕方を考え、海の向こうに暮らす子どもたちの教育環境の充実化のために奉仕するということを通じて、「グローバル」の裾野を広げ、人と人との温かな絆をますます深められるような生徒たちが育っているという。

「SSS プロジェクト」について

生徒たちがみずから立ち上げたクラウドファンディング

清教学園中・高等学校のオリジナル授業「キリスト教概論 Global Studies」※の一環として取り組まれたこのプロジェクトは、フィリピンのスラム街の子どもたちの教育を支援したいという思いから始まったもの。

キリスト教概論 Global Studiesとは論理的思考やプレゼンテーション能力をグローバル・イシューに向き合う中で習得すると共に、キリスト教主義学校で学んでいるということの意義について考察を深めていくオリジナルの授業。「隣人と共に平和を築く」という「目指す人間像」を踏まえつつ、清教学園で学ぶ生徒として、キリスト教から何を学び、世界に向けて自分たちの考えや行動をどのように発信していくことができるのかを協働しながら考えていく。年度末には、1年間の学びの集大成として、有識者も招いての研究発表会が行われる。

清教学園中・高等学校で夏期に実施されてきたセブ島での語学研修でボランティア体験に参加した経験や、先輩たちが取り組んでいたフィリピンの子どもたちに本を贈るブックプロジェクトをもとに、「深刻なグローバル・イシューである貧困問題を教育で解決しよう」と、リロケーションサイト(フィリピン政府がスラム街の住民を強制的に移住させる場所)に住む子どもたちを支援するのが主旨。

「SSS プロジェクト」では、現地の山岳地帯の子どもたちがオンライン授業で使用する情報端末を届ける支援を実施。

清教学園中・高等学校の生徒・保護者に呼びかけを行って約 40 台の端末を寄付してもらい、教職員もフォローに入っての機器確認やセットアップを経て、輸送費をクラウドファンディングで集めて現地に届けるという流れを生徒が主体となって進めた。

クラウドファンディングでは当初目標の150,000円を大きく上回る211,000円の支援が寄せられた。

コロナ禍で海外研修ができない中、オンライン会議を通じて知った現地の子どもたちのニーズ

コロナ禍により海外研修ができないことから、清教学園中・高等学校ではオンラインを通じた海外との生徒間交流を進めているが、その中の一つにフィリピンの NGO の協力によるオンライン会議があり、その際に生徒たちは「コロナ禍でオンライン授業になったが、情報端末が足りなくて困っている」という現地の子どもたちのニーズを知ることになった。

とりわけ高校2年生(2020年度当時)には、高校1年生時のセブ島語学研修に参加した際に現地のスラム街でボランティア経験をした生徒がおり、そこで目のあたりにしていた貧困層の子どもたちの教育事情を思い返して、現地に行けなくてもそのニーズに応える仕方があるのではないかと、クラスの違いを超えて自発的に集まった高2の5名の生徒による奉仕グループが形成された。

メンバーはコロナ禍で学校での活動に制約の課された期間も週3~4回はオンラインでやりとりを続けて互いの意見を交わし合い、SNSを通じて不要になった情報端末を持っている在校生がどれくらいいるのかを調べて学校で端末を集める計画にまとめあげ、また端末を現地に送る資金の工面についてクラウドファンディングを立ち上げることを企画し、魅力的なサイト制作のために再び互いに意見を交わすという取り組みに励んだ。

学校に行きたい、本当は学びたいのに環境のせいでそれができないという境遇にいながらも、元気さを失わず暮らす現地の子どもたちの夢に思いを馳せ、その夢の実現に手伝いができればとアイデアを出し合った日々だった。

ようやく情報端末が現地の子どもたちに

生徒・保護者、またクラウドファンディング支援者からの応援で送られた約40台の情報端末は、2021年2月11日にフィリピンの空港に順調に到着したものの、2月16日にフィリピンの税関での通関手続きに回されてしばらく動きのとれない状態になり、想定以上の税金を支払うことを余儀なくされた。

当初予定とは違った流れに生徒たちも戸惑ったが、現地コーディネーターによる協力も得て、ようやく5月29日、18箱中1 箱分の紛失という憂き目に遭いながらも現地セブ島の山岳地帯の子どもたちの手に情報端末とみんなの思いが届けられた。

現地の子どもたちがオンライン授業や同校の生徒・今回支援者とのオンライン交流などに喜んで参加してくれる光景が見られるのは、もうまもなくという。

引き続き、コロナ禍で海外との交流に制約が生じている中でもグローバル・イシューに向き合い、世界の未来を担う者どうしとして、フィリピンの子どもたちとの心の絆を深める取り組みを進めた清教学園中・高等学校の生徒たちからの活動報告を待ちたい。

寄贈先

221 Dahlia Road, Greenhills Subd, Casuntingan Mandaue City, Cebu 6014 Philippines

本プロジェクトに関わる生徒たちの声

  • このプロジェクトを通じて、新しく物事を始める勇気が身につきました。0 から 1 を作る自信がつき、この経験を社会に出てからも生かしていきたいと思います。
  • コロナの影響で海外との交流機会がなく、国際問題を勉強するときも身近に感じることのできないことが多かったですが、自分たちが行動することで、自分でやれること、やってみないと分からないことがあるのだとも学びました。
  • 今回の活動は区切りを迎えつつありますが、より多くの人に伝えることで国際ボランティアに関心を持ってもらい、自分もやってみようかと行動に移す人が一人でも増えたらと思います。
  • このプロジェクトを通じて、自分たちで考えたことを実現するところまで進めることが重要だし、その方がずっと楽しいと分かりました。
  • 自分はもともと消極的で慎重なタイプなので、クラウドファンディングなんてリスキーなことはしないし、考えもしなかったと思いますが、フィリピンの子どもたちの夢の実現にお手伝いするこの活動を経験してみて、迷うくらいならまずはやってみようと思えるようになりました。

清教学園中・高等学校 校長からのメッセージ

長年にわたり「英語の清教」と地域の皆さまから評価を頂き、グローバル教育に取り組んできた本校ですが、近年、生徒たち自らが学習プログラムを通じて気づきを得、教師主導ではなく自発的に新たな取り組みを始めてくれるケースが増えてきました。たいへん嬉しいことであります。

コロナ禍で、海外研修も海外からのゲストのお招きも難しい状況ではありますが、文部科学省による SGHネットワークの認定校として、今回のプロジェクトでのチャレンジのように創意工夫に励む本校生徒たちの賜物(ポテンシャル)を生かして行けるように、ICT の有効な活用も図りながら、制約下でも意義深いグローバル教育のプログラムを工夫したいと思います。

これからのグローバル社会で、他者の思いを的確に受け止めながら、人と人とのつながりを豊かにし、生き生きと自らの賜物(可能性)を生かし活躍して行くことのできる生徒たちの育成 ―― その重要な務めに資するグローバル教育を今後も提供して行きたいと思います。