金沢工業大とNECソリューションイノベータ、サイバーセキュリティ人材育成に向けコーオプ教育プログラムを開始

金沢工業大学(石川県野々市市)は、NECソリューションイノベータ株式会社(東京都江東区)と共にサイバーセキュリティの高度な実践スキルを学ぶことのできる独自の「KITコーオプ教育プログラム」を2021年度から開始することを発表した。

「KITコーオプ教育プログラム」概要

「KITコーオプ教育プログラム」は、企業の第一線で活躍する技術者を「実務家教員」として招聘し、学生が実際の業務に従事しながら企業が持つ最先端の技術について実践的に学び、社会と顧客に貢献するという価値と行動を理解する新しい産学協同プログラム。

Society5.0社会に向けて、産業界との協同によりイノベーションを創出する次世代リーダを育成するため、世界産学連携教育協会(WACE:World Association for Cooperative Education)の世界標準コーオプ教育(CWIE)にさらに独自性を付与し、これからの産学協同教育のスタンダードとなることを目指している。

今回のNECソリューションイノベータ株式会社とのプログラムでは、同社社員による寄附講座「サイバー攻撃への対策・解析講座」を2021年度前学期に開講する。

さらに、受講者の中から選抜された学生は4ヶ月間、NECソリューションイノベータ株式会社北陸支社サイバーセキュリティグループに勤務し、サイバー攻撃対応・解析に関連する業務に従事する。

背景

昨今、スマートフォンの普及、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みなどにより、サイバー空間がより身近なものとなっている。

その一方で、サイバー攻撃の増加、対策強化の必要性の高まり、攻撃に対処できる人材の不足が社会的課題となっている。

金沢工業大学は、こうした状況下において、サイバーセキュリティ人材の育成を目的に、NECソリューションイノベータ株式会社の協力を得て、その高度な技術・知識習得と実践的な学びを得るための今回のプログラムを開始することとなった。

3月25日(木)には、金沢工業大学とNECソリューションイノベータ株式会社が、コーオプ教育実施に向けた協定の締結を行った。

金沢工業大学は2020年度に、NTT西日本との間で「データサイエンティストの育成」を課題にKITコーオプ教育プログラムを実施したことを発端として、日本を代表する様々な企業とこれからのSociety5.0社会を牽引する人材の養成を目指している。

その中で、今回の取り組みはDX人材に関する中核のプログラムと位置付けられている。

今回の協定締結、そしてプログラムの実施を機に、サイバーセキュリティに関する人材育成に努めていくとともに、NECグループと連携し、これからのSociety5.0社会に資する実社会をフィールドとした教育研究を推進していく。

協定締結に関するコメント

協定締結にあたり、両者のコメントは以下のとおり。

金沢工業大学 学長 大澤 敏氏

金沢工業大学は、AI・IoT・データサイエンスなどの情報技術が高度に融合された新しい社会「Society5.0」で活躍できる技術者の育成に取り組んでいます。そのために情報技術を活用した社会実装型の教育研究と教育DXを推進しています。

KITコーオプ教育は、教育研究活動と社会課題の解決を同時に達成していくための全く新しいプログラムです。NECソリューションイノベータ株式会社と実施する教育プログラムでは、高度なサイバーセキュリティの知識・技術を実践的に学べる機会を学生に提供することで、社会から希求される技術者育成への寄与を共に目指して参ります。

NEC 執行役員常務 吉崎 敏文 氏

NECグループは、かねてよりサイバーセキュリティ人材の育成の重要性に着目し、社内外に対して人材タイプやスキルレベルに応じた人材育成プログラムを提供しています。

金沢工業大学との今回のプログラムは、こうした取り組みの一環であり、NECグループは今後もサイバーセキュリティ人材の育成などを通じて、安全・安心で豊かな社会の実現に貢献していきます。

寄附講座「サイバー攻撃への対策・解析講座」について

サイバー空間はますます身近なものになり、パソコンやスマートフォンに代表されるサイバー空間を活用したサービスは、私たちの生活において必要不可欠な存在となっている。

こうしたサービスは時間と空間を超えて世界中と接続される非常に利便性が高い反面、サイバー攻撃の対象となるリスクがあり、実際に世界中で被害が増え続けている。

このような状況下で、サイバー攻撃の知識や対応技術の重要性も必然的に高まっており、これまで以上に技術者が不足している状況にある。

この講座では、サイバー攻撃の内容、会社組織における対応について、実際の対応内容や解析について学ぶ。

また、最新の攻撃手口と対策手段について習得することで、将来、新種の攻撃が発生した場合にその手口を紐解き、先んじた対策を講じることが可能となる。

講座を担当するNECソリューションイノベータ株式会社北陸支社は、自社及び全国の顧客に対する最先端のサイバー攻撃への対応・対策に取り組んでおり、寄附講座に参加する学生は、第一線で活躍する技術者からその対策・解析手法を習得する。

科目名

「サイバー攻撃への対策・解析」(寄附講座:1単位)

対象学生

大学院進学予定の学部4年生(大学院生も受講可能。ただし、寄附講座では大学院生には単位を付与しない)

開講期間

5月12日~6月30日の毎週水曜日4限目(計8回)

NECソリューションイノベータ株式会社での業務従事について

寄附講座の受講者の中からNECソリューションイノベータ株式会社北陸支社が学生を選抜。

選抜された学生は、4ヶ月間、北陸支社サイバーセキュリティグループに勤務し、サイバー攻撃対応・解析に関連する業務に従事する。

参加者が大学院生の場合、業務への従事が、授業科目「コーオププログラム」の4単位(大学院科目)として認められる。

参加者が学部4年生の場合、大学院進学後に、「コーオププログラム」の4単位にあてることができる。または、指導教員および勤務先の許可の下、プロジェクトデザインⅢ(卒業研究)の研究テーマとして認められる。

コーオプ教育について

KITコーオプ教育 インターンシップ 
長期間の雇用 比較的短期間の就業体験
教育主導の正課教育。大学と企業が共同でカリキュラムを策定し、専門に関連した業務に従事する(教員もフォロー) 企業主導による就業体験。プログラムは受け入れる各企業が策定する。必ずしも学生の専門に関連した業務に限定されない
原則的に給与を支給 原則的に無給
大学のカリキュラムの一環として事前学習を共同で実施 社会人としての基本を学ぶための体験を得る
企業と大学が共同で管理運営(協定を締結) 企業が主体で管理運営

コーオプ教育(Cooperative Education、COOP教育)は米国が発祥の産学協同教育。

インターンシップが、企業により策定された職場体験に短期間、無給で参加するのに対し、コーオプ教育ではプログラムそのものを大学が主体となって作成し、学生が企業で実際の業務に長期間従事する。

その間の給与も企業により支払われるのも大きな違い。

大学にとっては、実社会の課題を扱った課題発見・解決に学生が取り組むことで、理論と実践の両面を効率的に学べる教育プログラムとなっている。

金沢工業大学は、世界産学連携教育協会(WACE:World Association for Cooperative Education 本部:アメリカ・ボストン)に加盟しており、「KITコーオプ教育プログラム」は世界標準コーオプ教育(CWIE:Cooperative & Work Integrated Education)に準拠した内容となっている。

※世界産学連携教育協会(WACE)は世界52カ国、約1,000の教育機関、企業、団体からなる非営利組織。グローバル人材育成に向けて、産学連携教育・CWIEの展開・拡大を行う唯一の国際機関である。