2020年度国内eラーニング市場規模は2,880億5,000万円(前年度比+22.4%)の見込み、矢野経済研究所発表

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内eラーニング市場について調査を実施し、BtoB、BtoC各市場の動向、参入企業動向、将来展望を発表した。

国内eラーニング市場概況

2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比22.4%増の2,880億5,000万円を見込む。

内訳は、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が845億5,000万円(前年度比23.6%増)、個人向けのBtoC市場規模が2,035億円(同21.9%増)であり、両市場ともにコロナ禍による需要の高まりを受けて大きく市場を拡大させる見込みである。

コロナ禍以降、ネットワーク・ラーニング(BtoB)市場では、企業での集合研修や対面教育などが制限され、その代替サービスとしてオンラインで完結するeラーニング関連サービス全般への需要が急激に高まった。

ただ、顧客層が広がったことで、これまでeラーニングの導入が遅れていた中小企業などからの需要が小規模・低単価なサービスに集中し、コロナ禍以前から課題となっていたeラーニングの価格下落が一層強まっている。

BtoC市場では、コロナ禍の影響で事実上、対面教育が行うことが出来ない環境が生じたことによって遠隔教育の必要性が高まり、結果としてユーザー数が増加し当該市場を大幅な拡大に導いた。

2020年度においては、当該市場を構成する、概ね全ての学習ジャンルが市場拡大を果たしたものとみられ、個人の学習形態の一つとして、ネットワーク・ラーニングサービスが一般化する環境がさらに加速化している。

注目トピック

学習サービスにおけるAIの活用領域は広がりつつある

近年、AI技術(機械学習、音声認識、自然言語処理、音声合成 等)を活用した学習サービスの展開は活発化しており、コロナ禍によって講師が直接授業を行うことや、学習者ごとの学習状況を管理することが困難になったことで、これまで以上にAI技術によるeラーニングの進化が求められている。

現在AI活用の主流となっているのは、学習者の学習理解度・習熟度をAIが分析し、学習者個々に最適な学習を提供するアダプティブラーニング領域のサービスであり、その他に語学習得、学習アドバイス・学習に対するモチベーション維持、ナレーション音声の自動作成、などの領域でもAIを活用した学習サービスの提供が進んでいる。

また、実際に提供されているAIを活用したeラーニングは、独立したAI技術によるものだけでなく、複数の技術を組み合わせてサービス化しているものも多い。

例えば、アダプティブラーニングとモチベーションの維持機能(声掛け・コーチングなど)の組み合わせや、アダプティブラーニングと音声認識機能(語学のスピーキング訓練など)の組み合わせなどがみられており、AI技術の適用領域は着々と拡大している。

将来展望

2021年度の国内eラーニング市場規模は、3,126億円(前年度比8.5%増)と予測する。

当年度は、コロナ禍の収束時期の見通しがつかないことから、BtoB市場、BtoC市場ともにコロナ禍によって高まった需要が維持されると見込まれ、eラーニングのユーザー数および利用企業数が増加することが想定される。

ただ、BtoB市場では価格下落の進行、BtoC市場では対面教育への需要の高さや無料学習サービスが数多く生まれていることなどの阻害要因(課題)があることから、前年度に比べて金額ベースの伸長は抑制されるものとみられる。

そうした点から、2021年度のBtoB市場規模は951億円(前年度比12.5%増)、BtoC市場規模は2,175億円(同6.9%増)と予測する。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報。

調査要綱

調査期間

2021年1月~3月

調査対象

eラーニングシステム開発・構築・販売事業者、eラーニングコンテンツ開発・製作・販売事業者、 eラーニングを介した研修や講義を提供・運営する事業者(学習塾、語学学校、研修事業者等)、 学習ソフトウェア開発・製作・販売事業者等

調査方法

専門研究員による直接面談、電話・FAX・メールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

発刊日

2021年03月26日