ワールド・ファミリーバイリンガルサイエンス研究所、小学校での英語活動や授業に関する教員向けオンライン勉強会のレポートを公開

ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(東京都新宿区、所長:大井静雄、以下、IBS)は、現場の先生の一助となるべく、小学校での英語活動や授業に関する教員向けのオンライン勉強会を2021年3月28日に開催し、当日のレポートを発表した。

「4月からの英語授業 こうやってみよう」開催レポート

開催背景

キリスト教系の少数言語の研究団体、国際SILが公開するウェブサイト「Ethnologue」が2021年2月に発表した、「What are the top 200 most spoken languages?(世界で最も話されている言語トップ200は?)」によれば、1位は英語で約13億4800万人。

2位が北京語で約11億2000万人、3位はヒンディー語で6億人、4位がスペイン語で5億4300万人、5位が標準アラビア語で2億7400万人と続く。

同発表によれば、英語は母語ではない話者が9億7800万人と、半数以上が第一言語(L1)としてではなく話していることがわかる。

こうした社会背景がある中、文部科学省では英語を国際共通語と捉え、英語教育改革を進め、2020年度からは、英語が教科化され、小学校5年、6年生では評価の対象となった。

1年間、実際に授業を行ってきた小学校の教員からは、「授業の進め方」「評価の仕方」などについて、疑問や不安があるという声も挙がっている。

そんななか、幼少期からの第二言語習得、特に英語習得について、海外の論文や独自の調査を行う、ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所では、現場の先生の一助となるべく、小学校での英語活動や授業に関する教員向けのオンライン勉強会を2021年3月28日に開催。

英語の活動や授業運営について、玉川大学 大学院教育学研究科 名誉教授 佐藤久美子氏、岐阜大学 教育学部教育学研究科 准教授 瀧沢広人氏が登壇した。

今回はその内容の一部を、佐藤氏の講演内容を中心に届ける。

英語教育は小学校・中学校で連続して考える必要性

佐藤氏は「具体的なアクティビティに基づく授業づくりと評価の仕方」をテーマに約50分話した。

2020年度から、小学校3・4年生の外国語活動は35時間×2学年分=70時間に、5・6年生の外国語活動は70時間×2学年分=140時間になり、4学年の合計が210時間となった。

中学校の1学年の授業は週4時間×35週=140時間なので、中学校1年間の学習時間よりも多くの授業時間が小学校4年間で確保されていることになる。

小学校でも中学校でも「4技能5領域」、つまり「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「読む」「書く」を学習することになっているので、学びの連続性を意識した指導が大切になると佐藤氏は言う。

また、外国語活動の目標は小学校・中学校・高校まで「コミュニケーションの資質を育成」する点は同じで、小学校では「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」ことが大切である。

ゴール設定が難しいと感じている場合、改めて「小学校で英語を導入する意味・目的」、つまり、「人前で堂々と自分の思いや意見が伝えられる+友だちの話をしっかりと聞ける」児童の育成という点を見直すとよいとも。

こうした児童の育成は社会の変化、国際化・価値の多様化に対応できる人財の育成でもある。

「言語活動はどんな時に高まるか」を考え授業を展開

ただ、そうはいっても実際にどのような授業を展開すればいいのかは難しいところ。これについて佐藤氏は、「言語活動はどんな時に高まるか」を考えることについて言及。

  1. 必然的な場面
  2. 友達に英語を使って発表するという具体的なゴールイメージがある
  3. 身近なトピックを扱う
  4. 自分の思いや考えを自由に表現できる(自由度が高い)

という設定をすることを勧めた。

また「小学校英語の授業づくりのポイント」について、「1年生から6年生まで、授業の流れをある程度一定にすることが大切」と佐藤氏。

つまり1年生だから、6年生だからという項性の仕方ではなく、「Warm-up→Practice→Activity→Presentation」という流れにし、なおかつ一方的ではない授業、つまりやり取りが多い授業をすることで、児童が「自分はここで発言をすればいいのだな」ということが理解しやすく、その授業の中でのゴールが明確になるという。

発表について、クラスの中で発表する自信がない子には、まずグループで発表するようにすると、児童全員が楽しめるようになり、安心感を持ち、友達の話も聞ける楽しさが出ると佐藤氏は説明した。

評価基準に必要な「+α」とは

勉強会に参加した先生のなかで、もっとも関心が高かったのが「評価基準」についてである。

佐藤氏が重要だと述べたのは、「+α」の評価の仕方。学習指導要領に示された、目標の3観点に沿った評価が最も気になるところだ。佐藤氏は、以下のようにポイントを伝えた。

  • 学習評価の場面や方法を工夫。学習の過程は成果を評価する。単元や学期の一番最後に評価することにこだわらず、いろんな場面や方法でする。成果は、成果物でもいい。スペシャルでいいので絵でも評価する。
  • 学習指導・評価は組織的かつ計画的にすること。評価は等しくできるわけでないので、これくらいできたらA、ここまでならBということを、学校全体で決めることの大切だと言います。少なくとも学年の先生方で共有しておくこと。絶対評価ではない。
  • 主体的・対話的な学びの観点から授業改善・評価が大切。例えばノートがきれいとかいったこと。粘り強く取り組んでいる態度や、自分で工夫しているかどうか。発言が多い子は目立つけれど、発言が少なくてもきちんと成果物が良い子もいる。それを見る。
  • 児童の学びを振り返る。これはつまり児童自身が振り返ることで、どんな発見をしたかという+αの評価にもつながる。

以上の点から、

  1. 知識及び技能:正しく目標表現が発表できる
  2. 思考力、判断力、表現力等:少々間違えてもOK(+αで判断)
  3. 学びに向かう力、人間性等=主体的態度:少々間違えてもOK(+αで判断)

ことが大切と伝えた。

また相対的評価がうまく作用しないときには、「個人内評価」を付けてあげるようにも促し、数値には示せない進捗などをユニットごとに付けることを勧めた。

このほか佐藤氏は、CLIL(内容言語統合型学習法)についても言及。今後、高学年の授業で取り入れていくことに期待を込めた。

「初めて」が不安なのは教員も児童も同じ…まず「やってみよう」

また、瀧沢氏には「スモールトークを入れた授業構成と具体的事例紹介」と題し、「Small Talkのやり方とねらい」「1時間の授業の組み立て方」を、具体的な授業構成を見せながら、約50分間のなかで、提案。

瀧沢氏は、ある参加者が初めての授業に不安を抱いていることをうけ、「それは児童も同じなのです」とアドバイス。

英語の授業をすることに不安があったとしても、その授業を受ける児童側も初めて。

「やってみることの大切さ」を説いた。

勉強会の最後の質疑応答では、

  • 「ALTやJTEの評価を聞くべきか」
  • 「PCが1人に1台ある場合、どう活用すればいいのか」
  • 「やり取りの評価方法は」
  • 「絵本の活用方法について」

など、教員からの活発な疑問、質問が寄せられ、佐藤氏、瀧沢氏がそれに一つ一つ答えていた。

多くの学校で指導してきた先生の話は、今、現場で悩み戸惑う教員にとって、貴重なもの。

もちろん他校や、あるいは他の教員の授業との比較をする必要はないが、良いところは取り入れ、日々、多忙な中、どのように授業の準備をすればいいのかなど、メソッドを教えてもらう良い機会となったようだ。

新年度の授業が始まる直前の勉強会ではあったものの、今後はまた、1学期終了のころまでに、引き続いての勉強会が期待されている。