教育現場や学習の現状を紐解き、教育×インターネットの未来を切り開くイベント『EdTech Night!』の第3夜が5月に開催されました。イベントの様子をレポートします。

2013年11月に開催した第1夜ではリーディングカンパニーや、ベンチャー、学校関係者など教育の現場に立つ方を交えてのイベント、2014年2月の第2夜では、データは学習のあり方を変えるのか?という疑問提起のもと、学習効果や継続性を高める取り組みに注目し、教育現場の方を交えて開催、第3夜はグローバルな視点でトレンドを追っています。
『EdTech Night! 第3夜』 概要
2014年5月28日(水)
17:30~18:00 受付 (会場:株式会社ドリコム セミナールーム)
18:00~18:20 元ベンチャーキャピタル勤務 尾島 菜穂 氏
18:25~18:45 デジタルハリウッド大学大学院 専任教授 佐藤 昌宏 氏
18:50~19:05 株式会社SMATOOS 代表取締役CEO Alan Moonsoo Kim 氏
19:10~19:30 Quipper Ltd. 日本オフィス代表 横井 明文 氏
19:40~20:20 パネルディスカッション モデレーター:株式会社ドリコム ソーシャルラーニング事業部 部長 石井 学
元ベンチャーキャピタル勤務の尾島氏とデジタルハリウッド大学院大学 佐藤氏からは北米の先端事情、SMATOOS Alan氏には韓国で今起こっていること、Quipper 横井氏には東南アジアの教育×インターネット事情のお話がありました。
以下、それぞれ詳細をお伝えします。
元ベンチャーキャピタル勤務 尾島 菜穂 氏 アメリカの教育イノベーション
1.Edtech投資のトレンド
2013年のベンチャー投資
・アメリカ 2.9兆円 そのうちEdtech1250億円(5%弱)
・日本 1604億円
2014年のベンチャー投資は、アメリカは1Qで既に559億円103社。K12のベンチャー投資が増えている。
2.K12の変革
Edtechは教育イノベーションの一部=
・alpha
・Leadership Piblic School
・sum mit
■Rocketship(どちらかというと貧困層)を事例
- 教師:教師としてもともと優秀な人間を採用。給料も高く設定
- 親:親をどんどん巻き込む。「
最低30時間ボランティアをしてください」 というメッセージも出している。親の中には、ボランティアではじめて学校の活動(遠足など) に参加する等、親への教育にもなる。 - 生徒:個別化した学習(テクノロジーを活用)
- ラボローテーション:
2時間パソコン教室でアダプティブな教材に取り組む。 教材を柔軟に採用できるので、 スタートアップの商品をよく活用している。 - Flexmodel:個人にスケジュールが渡されていて、
少人数指導、個人学習、パソコンでの学習、 などはそれぞれが進める。
■Lynbrook高校(裕福なアジア系の学校)の事例
- テクノロジーで教育をレバレッジする段階ではなく、
既に日常にテクノロジーが溶け込んでいる印象。 - 生徒の個人端末としてはタブレットを配布しているが、
キーボードが必要でパソコン教室もかなり稼働しているという。
3.大学の未来?!
スタンフォード大学 d.school 2100年にタイムスリップしてから2025年を振り返るという
Q&A
デジタルハリウッド大学大学院 専任教授 佐藤 昌宏氏 「SXSWeduのレポート」
【SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)SXSW eduとは】
- SXSWは、音楽、映画からはじまっており、
2007年にインタラクティブ(IT) のカンファレンスがはじまった。
- SWSX eduはその前座的なイベントで、2012年から始まっている。
テキサス州、オースティン。街全体が会場になるような非常に大きなもの。
- 参加者としても、イーロン・マスク、アル・ゴア、
スノーデンがスカイプで出たり、ITO JOIが出たりと、かなり豪華な顔ぶれ。
- ここは世界へ売り込む発信の場。カンファレンスという意味で、
情報を仕入れる場所でもあるが、 世界にアピールするきっかけの場として使える。
- Todai to SXSWは、
東大からSXSWに学生を送り込む産学連携の取組み。ロボットのチームが展示会での発表が注目され、現地の「 いいとも」のような番組に取り上げられたりもした。
- 先端のテクノロジーやその教育手法を含めて紹介しているのが、
SXSW eduというもの。参加費は3-5万円程度( インララクティブは10万円以上するので参加しやすい)。参加者6000人、7割が大学院卒以上
- SXSW eduにも、
Edxやcourseraの創始者が講演をしていたり、ビル・ ゲイツがEdtechに投資すると発表するなど、注目度は高い。
【SXSW eduのレポート】
- 講演からキーワードを拾ってみると、イノベーション、ゲーム、
デザイン、Edtech、STEM、 MOOCなどが注目キーワード。
- eラーニングという言葉はない。
タブレットやLMSというワードも出てこない。日本では何かと「タブレットタブレット」という感じだが、 だいぶ色が違うと感じる。
- eduでもローンチピッチコンテストがある。
- 昨年の優勝は、「Clever」という、
複数のLMSに対して、 横串をさしてAPIでデータ連携を取らせることのできるサービス 。Y combinatorの出資を受けるなどしている。
- 今年は、ロボットのアームの形でsin cos tanを教えたり、
クアドロコンプター飛ばして数学的なことを体験しながら勉強した りというアイデアなどが発表されていた。
- 2013年はITの色が強かったが、
今年はTech要素がメッセージとしては薄まってきたと感じた
- これはそこを強調する意味が薄れてきているということで、
重要性が薄れているわけではない。 当たり前の用にTechを使っている。
- 教育にイノベーションを起こすきっかけの一つとしてTech要素
を位置づけている印象。
【インキュベーション環境】
- オースティンは、シリコンバレーと並んで、
スタートアップのインキュベーションが行いやすい環境が整えられ ている土地。Silicon Hillsなどと呼ばれている。
- スタートアップ、
インキュベーションの雰囲気で街とカンファレンスが融合している 。
- スタートアップ×先生・教員 のコミュニケーションが非常に盛んであり、
日本でもやっていきたいと感じる。
- 現地で注目されているサービスを見ていると「
日本のSharewizの方が優れているじゃないか」 と感じることもある。
- 日本のEdtechを世界へ。
Tech系のギークが盛り上がっている見向きもあるが、 教育にテクノロジーが当たり前に入っている世界を作りたい。