全国高校AIアスリート選手権「U-18シンギュラリティバトルクエスト2020」東京・芝浦工大附属中高等学校が総合優勝

シンギュラリティバトルクエスト実行委員会(事務局:一般社団法人未来キッズコンテンツ総合研究所、本社:東京都港区、代表理事:山田洋久)は、ギーク系高校生が3人1組でチームを組み、AI/ICTの知識と技術、そしてチームワークを競う全国高校AIアスリート選手権「U-18シンギュラリティバトルクエスト2020」の決勝大会を2020年12月27日(日)に開催。

東京都の芝浦工業大学附属中学高等学校チームLuminous(ルミナウス)が総合優勝に輝いた。

『シンギュラリティバトルクエスト』決勝大会の様子

経済産業省では人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など先端的な情報技術を担う人材が2030年に55万人不足する恐れがあるとの試算をしている。

『シンギュラリティバトルクエスト』は、先端的なIT人材を発掘し、育成することを目的に、全国の高校におけるコンピューターや最先端の情報通信技術を駆使する部活動(パソコン部、プログラミング部、ロボット部、ゲーム部など)の存在価値を高め、従来の体育会系や文化系と並ぶ「ギーク系」部活動の新しいムーブメントを作ることを目指し、今後年1回の開催を予定している、国内初のAI/ICTスキルの総合競技大会。

大会に出場する選手は「AIアスリート」として各校を代表し、3人1組でチームを組んで参加する。

第1回となる今回の決勝大会(以下、今大会)は、2020年9月に開催された一次選考会を勝ち抜いた上位8組による頂上決戦となった。

今大会では「ホモ・デウス世代のPENTATHLON(近代五種)」をイメージした5つの競技、AIクエスト(団体戦)、サイバークエスト(団体戦)、データクエスト(個人戦)、ロボクエスト(個人戦)、Xクエスト(個人戦)を通して、卓越した技術、情熱、感性、チームワークを競う。

今大会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点だけでなく、今後の「教育環境のオンライン化」及び「教育のDX」を積極的に推進するため、各チームがインターネット経由で競技に参加する「オンライン対戦形式」で開催となった。

大会結果

総合優勝

Luminous(芝浦工業大学附属中学高等学校:東京都)

準優勝

  • 午後の乙女(県立酒田光陵高等学校:山形県)
  • 沼商Aチーム(県立沼津商業高等学校:静岡県)

各競技受賞

  • AIクエスト
    • 1位:Luminous(芝浦工業大学附属中学高等学校:東京都)
    • 2位:沼商Aチーム(県立沼津商業高等学校:静岡県)
    • 3位:午後の乙女(県立酒田光陵高等学校:山形県)
  • サイバークエスト
    • 1位:ボツ案(県立酒田光陵高等学校:山形県)
    • 2位:沼商Aチーム(県立沼津商業高等学校:静岡県)
    • 3位:公立の星(県立浦和高等学校:埼玉県)
  • データクエスト
    • 1位:田中勇吾選手  2学年(TripleT/県立浦和高等学校:埼玉県)
    • 2位:後藤八基選手  2学年(ボツ案/県立酒田光陵高等学校:山形県)
    • 3位:後藤あすか選手 2学年(午後の乙女/県立酒田光陵高等学校:山形県)
    • 3位:元田颯太選手  2学年(公立の星/県立浦和高等学校:埼玉県)
    • 3位:中岡遥己選手  2学年(沼商Aチーム/県立沼津商業高等学校:静岡県)
  • ロボクエスト
    • 1位:大塚卓柾選手  2学年(Luminous/芝浦工業大学附属中学高等学校:東京都)
    • 2位:後藤有輝選手  2学年(午後の乙女/県立酒田光陵高等学校:山形県)
    • 3位:橋口伊吹選手  1学年(公立の星/県立浦和高等学校:埼玉県)
  • Xクエスト
    • 1位:田子依美里選手 2学年(Luminous/芝浦工業大学附属中学高等学校:東京都)
    • 2位:松坂匠選手   2学年(公立の星/県立浦和高等学校:埼玉県)
    • 3位:岡部乙女選手  2学年(午後の乙女/県立酒田光陵高等学校:山形県)

競技内容

AIクエスト(団体戦)

  • 概要  :構築したAIモデルの予測精度や速度を競う競技
  • テーマ :AIじゃんけん
  • 競技形式:トーナメント方式
  • 競技開発:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト

サイバークエスト(団体戦)

  • 概要  :情報セキュリティに関する知識と技術をCTF形式(※)で競う競技
  • テーマ :Capture The Flag
  • 競技形式:クイズ形式
  • 競技開発:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト

※CTF(Capture The Flag)…クイズ形式の問題を出題。問題に隠された言葉(Flag)をセキュリティの知識や専用のソフトウェアを駆使して見つけ出し、獲得した得点を競う競技。

データクエスト(個人戦)

  • 概要  :データから社会的に有用な知見を抽出するためのスキルを競う競技
  • テーマ :人口変動分析予測AIモデルの育成
  • 競技形式:予測精度評価方式
  • 競技開発:株式会社MILIZE

ロボクエスト(個人戦)

  • 概要  :ロボット制御のためのプログラム作成などロボットテクノロジー関連の競技
  • テーマ :AIロボカーレース
  • 競技形式:タイムアタック方式
  • 競技開発:ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社

Xクエスト(個人戦)

  • 概要  :人とコンピューターのインタラクションに関するUI/UX、HCI、デザイン思考関連の競技
  • テーマ :AIチャットボット育成
  • 競技形式:オーディション方式
  • 競技開発:エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社

受賞者メッセージ

総合優勝 Luminous(芝浦工業大学附属中学高等学校:東京都)

大塚卓柾選手のコメント:(中央)

サイバークエストとデータクエストでは順位があまりよくなく、不安要素が残って後半戦に入りましたが、残りの3つの種目で一位になったのでそれが勝因につながって良かったと思います。

もともとAIに興味があったので、今回の大会でさらに一歩踏み出せるような機会になりました。これからはもっと活かせるように頑張っていきたいです。

佐藤大生選手のコメント(向かって左)

自分の個人戦(データクエスト)の結果は残念でしたが、そこで反省点ができて、団体戦でみんなと協力した甲斐があって一位が取れました。AIクエストで一位が取れたのが嬉しかったです。

田子依美里選手のコメント(向かって右)

私は個人戦(Xクエスト)に力を入れていたので1位を取れて嬉しかったです。団体戦ではチームワークが良かったということで、このような結果になったことを踏まえると、すごく良い試合ができたのかな、と思います。

大会協力者から参加選手へのメッセージ

神奈川県教育委員会 教育局 指導部高校教育課 指導主事 橋本雅史 氏

皆さんおはようございます。神奈川県教育委員会教育局指導部高等教育課橋本でございます。本日は「第1回シンギュラリティバトルクエスト2020決勝大会」を迎え、多くの皆様のご尽力のもと無事開催されることお慶び申し上げます。

昨年度の0回大会より、高校生の情報教育に携わるという立場から、様々な場面でお話をさせて頂いております。そのような関わりがあり、今日は一言ご挨拶させていただきます。

教科「情報」では、高校生に対する、ICT活用を含む、情報教育がなされておりますが、このような形で、他者と競う、という場を提供して頂くことで、より一層、科目の学習という目標を持ち、色々な経験ができるのではないか、と考えております。

本大会は、多くの大学・企業を始めとし、これまで御尽力頂いた多くの方々のお陰で開催されております。今後も継続的に開催され、高校生の皆さんの一つの目標とされて行くことを切に願っております。

本日は皆さん、どうぞ日頃の練習の成果を存分に発揮して頂き、一生懸命大会に参加していただければと思います。簡単ではございますが、開会の辞とさせていただきます。ありがとうございました。

ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社 COO 虫上広志 氏

皆さんおはようございます。ウーブン・プラネット・ホールディンス株式会社COOの虫上でございます。

本日のシンギュラリティバトルクエストの決勝戦は、たくさんの高校生参加者の中から予選を勝ち抜いてこられたソフトウエア、人工知能に関わる学生の戦いの場と伺っています。皆さんが大人になられた時を含め、これから日本の産業が競争力を維持していくためにはソフトウエア、人工知能、ICTの持つ計り知れない強みを使いこなしていく必要があります。

私たちウーブン・プラネット・ホールディングスも自動運転、人工知能に関するソフトウエア技術の会社です。世界中からたくさんの優秀な技術者が集まってきています。ソフトウエア、人工知能が持つ計り知れないパワーとトヨタグループが培ってきたものづくりの強みを融合させることで、さらなる新しい価値を、これからも日本から世界中に提供することを目指しています。そのような意味に於きましても、このシンギュラリティバトルクエストに集われました、若き高校生、ソフトウエアエンジニアの皆さんは日本の産業の競争力の源泉と考えており、皆様のさらなる成長、ご活躍を心から応援しております。

それではみなさん、存分に大暴れしてください。皆さんの活躍を楽しみに見守っています。それでは頑張ってください。

アドビ株式会社 デジタルメディア マーケティング デジタライゼーションマーケティング本部 教育市場部マーケティングマネージャー 原渓太 氏

こんにちは、アドビ株式会社の原です。本日はこのような素晴らしい大会において、大変貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございます。

アドビではグラフィックソフトの「フォトショップ」や動画の編集ソフト等、ビジュアルの世界は静止画はもちろん動画から更に立体まであらゆるすべての表現ができるデジタルクリエイティブツール「アドビクリエイティブクラウド」を扱っております。こうしたデジタルの世界ですが、日進月歩の発展を遂げ、今日も様々なサービスを作り出していますが、その根底にあるものはゼロと1という二つの数字の組み合わせ、つまり、近年のテクノロジーやサービスはすべてゼロと1のコンビネーション、その組み合わせにより色がついたアウトプットがなされます。これはいつでも必ず人の思いで考え、スキルが存在しているということになります。

このようにデジタルこそ、人と深く関わり合うそして特に、これから沢山の「思い」を発信していくであろう学生の皆さまが学校を超えた沢山の仲間と「AIアスリート」としてテクノロジーの習得の場や知の場を得るということは、世界レベルでのデジタルの発展につながると感じています。そのような経緯から、今回協賛となるに至りました。ギガスクールやデジタライゼーションが成長する世界的な情勢を受け、学生の皆様やその周辺におられる支える側の方々激動の流れを受けておられるかと存じます。ぜひ積極的にデジタルの波に乗っていくことができるように、弊社もサポートさせていただきたいと考えております。その一歩として今大会、非常に楽しみにしています。

ぜひ皆さん、これまでの力を存分に発揮して大会を楽しんでいただければと思います。本日はどうぞよろしくお願いします。

デジタルハリウッド大学 学長 杉山知之 氏(工学博士)

AIアスリートのみなさんおはようございます。デジタルハリウッド大学学長の杉山です。

僕がコンピューターを使い始めたのは50年ほど前です。なんと、マイクロプロセッサーが発明される前、つまりパソコンの前ですね。でもその頃、1950年代の後半からですが、すでに人工知能という言葉があり、「21世紀には人工知能の時代が来る」と、言われていました。それがいよいよ来たな、ということです。

今、全世界の殆どの人がそのような感覚だと思いますが、テクノロジーは人間が思っているよりも、もっともっと早く発達しています。「指数関数的」と言うのですが、そのお陰で2045年にはシンギュラリティという時が来てしまうという予測が立っているわけです。さらに、今回のシンギュラリティバトルクエストの競技説明でも使われている、ユヴァル・ノア・ハラリ氏が言い出した「ホモ・デウス」という言葉があります。ホモ・デウスとは何か、つまりそれは「人が神になる」ということです。

20世紀までは神様の領域として、神様がやってくれていたことが、テクノロジーによって可能になる。我々が、我々自体を改造する大変な時代まで来ているということです。その中で大事なのは、皆さんに人類の存亡がかかっているということです。人間、もしくは人間が発展したホモ・デウスなのかもしれませんが、この人類というものが生き残れるかどうかは、今後50年間で決まると思います。そして、それを決めるのは皆さんなのです。もう託すしかありません。

でも、託すまでには、これまでに様々に発展した、皆さんの先輩たちが一生懸命作ったあらゆるテクノロジーを皆さんに吸収していただいて、人々が幸せに安心に暮らせる世界、未来を作ってもらいたい。そのために、このシンギュラリティバトルクエストがあると思います。

是非、全ての脳をガンガンに回してください。まさにアスリートです。脳はものすごいエネルギーを使いますから、今日は疲れると思いますが、AIアスリートの皆さん、今日は本当に頑張ってください。期待しています!

東京工業大学 工学院機械系 特任准教授 遠藤央 氏(工学博士)

皆さんこんにちは、東京工業大学機械系の遠藤と申します。

ロボットクエストの関係で、本大会に関わらせて頂きました。皆さんが今回取り組んだものはAIやロボット,プログラミングなど、いろいろな名前で呼ばれ,分類されていますが、全部をまとめると“エンジニアリング”と言われるものの一部です。このエンジニアリングでは、今日まで君たちがいろいろと取り組んできたような,発想をするとか、学習をするとか、技術を積み重ねるとかなどということだけでなく、今日皆さんが触れるであろう現場での生きた経験が大変重要になります。

そして,その経験というのは,今後の君たちの強い強い強みになると思いますので、最後の一秒まで経験をいろいろ吸収していってください。また、私はいろいろな大会などにも顔を出したりしていますけれども、このような大会は往々として最後の1秒で勝負が決することがありますので、気を抜かずに取り組んでください。

健闘を祈ります。ありがとうございました。

東京工芸大学 芸術学部 ゲーム学科 教授 遠藤雅伸 氏(工学博士)

みなさま、おはようございます。

シンギュラリティバトルクエストというのは、色々なコンテストがある中で一番創造性とか総合性というものを試されるものだと思います。「ゲーム」という言葉はもともと「競技」という意味です。オリンピックも正式には「Olympic Games」といいます。つまり、ゲームというのは競技という部分もありながら、それでも楽しんでいくものだ、ということなのです。今日1日皆さん楽しんで頑張ってください!

大会背景

1990年代後半のインターネットの爆発的な普及以来、急激に加速する情報通信産業界における熾烈な開発競争において、アメリカのGAFAM(注1)や中国のBATH(注2)などの「メガテック」による市場の寡占化は着実に進んでいる。

これに対して大きく後れを取っている日本にとってAI/ICT人材の育成が、国の将来を左右する喫緊の課題となっている。

内閣府は 2019年3月に「AI戦略」を発表。政府が掲げるSociety5.0の実現に向けて、AIという観点から方策を策定するという方針が示された。

特に人材育成面においては内閣府が示した「年間100万人の全ての高校生」「文理を問わない全ての大学・高専生年間50万人」「年間100万人の社会人」などへのAI人材教育の目標に沿う形で、同年11月に文部科 学省から発表された「AI戦略等を踏まえたAI人材の育成について」では、「新学習指導要領の下で、全ての高等学校卒業生(約100万人卒/年)に、「理数・データサイエンス・AI」に関する基礎的なリテラシーを習得させるとともに、問題発見・解決学習の体験等を通じた創造性を涵養する。」と言う大目標が掲げられている。

注1:GAFAM:アメリカ合衆国を代表する IT5社、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの総称

注2:BATH:中華人民共和国を代表する IT4社、Baidu、Alibaba、Tencent、Huaweiの総称