金沢工業大学工学部情報工学科 松井くにお教授(人工知能)の研究室では、2018年から開発を進めてきたコード化点字ブロックによる音声情報案内アプリ「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」(Kanazawa Institute of Technology)を正式にリリースしたことを発表した。
App Store(iOS)、Google Play(Android)からインストールできる。
「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」概要

「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」は、スマートフォンのカメラでコード化点字ブロックを読み取ることで観光情報など地域情報を音声で案内するアプリ。

「Walk&Mobile -コード化点字ブロック認識アプリ」での認識例 敷設されたコード化点字ブロックをスマートフォンでかざすと文字と音声情報が得られる
2020年10月にAndroid版が、そして翌11月にはiOS版が完成し、約2ヶ月間の検証を経て、今回正式にリリース。
利用料はいずれも無料。
コード化点字ブロックは、昨年敷設された金沢21世紀美術館周辺歩道のほか、新たに出羽町の石川県立美術館~国立工芸館周辺にも敷設箇所を拡大し、金沢の新たな観光ルートにも対応。
この取り組みは、金沢市の市民生活AI技術等促進事業として実施されている。
取り組みの概要
松井くにお教授研究室では、視覚障がい者向けの点字ブロックにコードを付し、AIを活用した音声誘導システムにより地域情報を提供することで、視覚障がい者の歩行課題を軽減する社会インフラの整備を目指している。
またシステムは健常者、特に金沢に不慣れな観光客や外国人にとっても地域の情報や災害避難情報等が取得可能になるため、国連・SDGsが目指す「誰一人取り残さない世界」の実現に貢献するものとして期待されている。
開発は2018年10月から始まり、2019年1月12日に金沢駅東口地下広場で、プロトタイプの検証実験を実施。
同年12月には金沢市の協力のもと、金沢21世紀美術館周辺の24箇所にコード化点字ブロックを敷設し、2020年2月15日に情報案内実証実験を行った。
今年1月には金沢の新しい観光名所として注目されている国立工芸館や石川県立美術館、石川県立能楽堂周辺など計21箇所にコード化点字ブロックを敷設。金沢21世紀美術館から国立工芸館一体まで辿れるようにしている。
また新たな取り組みとして柿木畠振興会の協力を得て、加盟店舗敷地内10箇所にコード化点字ブロックを設置。位置情報に加えて、個別店舗の情報案内も可能になった。
松井研究室ではコード化点字ブロックの敷設完了後に社会実証実験の実施を予定しているという。