教員・教育関係者など200名が参加した「未来をつくる教育フォーラム2020」開催報告を公開

「自立学習」「生涯学習」を事業の軸とし、学習塾・学校・PC教室向けICTシステムの企画・制作・販売を手がける株式会社日本コスモトピア(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:下向峰子、以下:日本コスモトピア)は、2020年11月28日(土)に今年で4年目となる「未来をつくる教育フォーラム2020」をオンラインにて開催し、当日の内容を公開した。

「未来をつくる教育フォーラム2020」概要

このイベントは、年に一度日本コスモトピア主催のもと、教育に関わる全てのステークホルダーとこれからの学びを語り合うイベント。

今年は、3年計画だったGIGAスクール構想が新型コロナの影響で前倒しされ、全学年一斉配布となったため現場が困惑していることから、「事例から学ぶ ICT・タブレット活用における学校現場のチャレンジ 」と題し、子どもたちの“主体的な学び”を引き出すためにどのような活用ができるのか、学校現場のあらゆる場面での「ICT活用の可能性」を実践者の6名の人々に報告してもらった。

今回は約200名の小中学校・高校・大学の教員や教育関係者をはじめ、保護者、企業、大学生も参加。

またオンラインでの開催ということもあり、参加者に内容をより深く理解してもらうために、フォーラムの内容をタイムリーにイラストやキーワードで体系的に見える化する「グラフィックレコーディング」(以下:グラレコ)をコトバグラフィッカー室伏長子(むろふしながこ)氏に行ってもらった。

日時

2020年11月28日(土)10:00-12:00

開催方法

zoomウェビナー ※視聴はこちらより申込み。アーカイブ内でグラフィックレコードも視聴できる。

対象

教員及び教育関係者、教育に関心のある人

参加費

無料

参加人数

約200名

実施プログラム

① 教科学習でのタブレットの活用で見えた子どもたちの変化と課題

奈良市立春日中学校 校長 坂本 靜泰 氏

講師:坂本 靜泰 氏 / 奈良市立春日中学校 校長

臨時休校期間でのICT活用

新型コロナウイルス感染症による臨時休校期間の際、奈良市、奈良県教育委員会の全児童生徒へのGsuiteのアカウント付与、家庭のインターネット環境調査に伴い、春日中学校はオンライン授業の対応を急ピッチで進めた。

4月末からの「怒涛の10日間」で、家庭訪問による個別アカウント配布、ログインの確認など設備や環境を整えた後、5月14日にはオンライン授業を開始。

その過程では県や市による研修のほか、自然発生的に職員同士の研修が行われるなど、教育委員会、学校、教職員が一体となって動いた。

オンラインでの朝の会が始まると、先生・生徒双方が繋がった喜びや安心感を感じることができた。

GIGAスク-ル構想実現への奮闘

9月、奈良でタブレット端末の配布が始まった。

春日中学校では、「やるからにはスタートダッシュを」の掛け声のもと、校内Wifiスポット新設と総延長7,000mもの校内LANケーブルの工事を約10日間で終え、9月9日にはいち早く560台の端末が学校に届いた。

先生がフィルタリング対応などの初期設定をタブレット端末1台1台に行うという大人たちの奮闘があり、無事生徒たちに端末が配布された。

運用スタ-トと授業での実践

タブレットの破損、紛失などを恐れずにどんどん使うこと、まずは使ってみて、試行錯誤の中で修正していった。

その中で、IDの管理など失敗はあっが早期に修正することができ、全生徒に導入スケジュール、使用ルール、情報モラルについてのプリントを配布することで一定のルールを決められている。

今後の教育フォーラムでは喫緊の内容を取り上げていただきたいと思います。自校の追いかけもお願いしたいですが、他にも豊かな取組をされておられているところがたくさんあります。困っておられるのは、他がどうされているのかだと思います。そこをつなげるようなことができていけばと思います。

② プレゼン力を高めるタブレット活用とオンライン授業の実践

大阪市立築港中学校 校長 西本 晃 氏

講師:西本 晃 氏 / 大阪市立築港中学校 校長

タブレットを活用した、プレゼンテ-ション力を引き出す授業

音楽では書画カメラで先生の手元を撮影、指使いがよりわかりやすく生徒の習得を助ける。

理科では発表ノートで資料の共有や発表。『まなボード』を活用し、各自課題を解いたりグループでの発表も行う。

技術ではスクラッチを使いプログラミングを学ぶ。

タブレット端末を使いながらこのように発表やディスカッションを中心にし、生徒たちのプレゼンテーション力を引き出す授業を行っている。

またタブレットやプリンターなどの機器類を生徒たち自身で管理することも自然に行われていた。

このような授業の結果、築港中学校の調査・研究などの取り組みがいろいろな方面で発表されている。

昆虫食へのチャレンジ、海遊館との連携による大阪湾の干潟の調査を実施し、様々なコンテストにも応募し入賞している。

オンライン授業の取り組み

オンライン授業で双方向に学習するため、回数を重ねながら様々な工夫をしている。

  • 『生徒の反応を見るためチャット機能をうまく使う』
  • 『カメラを複数用いて場面ごとに切り替える』
  • 『発言時のルールを決めておく』

入力が遅い生徒のために、簡単な発言のルールを決め数字などサインによるコミュニケーションで生徒の反応を見るようにしている。

築港中学校は生徒数の減少により統廃合の対象になるのではという危惧を抱いていますが、築港中学校だからできる、築港中学校でなければできない教育を目指していきたいと考えています。

③へき地教育でのICT機器活用の可能性

うるま市ICT機器活用
  • 講師:砂川 成人氏 / うるま市教育委員会 指導課 指導主事
  • 講師:宮城 渉氏 / うるま市立津堅小中学校 教諭
  • 講師:園 利一郎氏 / 学校法人 角川ドワンゴ学園 N高等学校
  • モデレ-タ-:下向依梨氏 /  株式会社roku you 代表取締役

うるま市島嶼(とうしょ)地域の中学校3校とうるま市に本校をおくN高等学校が連携し、インタ-ネットを活用した、学校間・生徒間で協同で取り組む「部活動」や総合の時間のプロジェクト学習においてICTを活用した取り組みを実践している。

ICTを活用した”遊び”から学ぶをコンセプトに、離島にいながらにして、他地域とつながり、課題解決や価値創造に取り組める人材を育てることをビジョンに掲げている。

島嶼地域の課題への取り組み

島嶼地域では生徒の人数が少ないため、『子どもたちの交流の機会や課外活動の機会が限定的』『将来的な学校存続危機』『多様な考えに触れにくい』など、様々な問題を抱えている。

インターネットの活用でこれらの問題を解決すると共に、地域にいながら、地域の内外と連携して課題解決や価値創造に取り組める人材を育てること、そういったノウハウがグローバル教育に繋がっていった。

21世紀型スキルプログラムを基盤とした魅力的なプロジェクト学習やネット部活動の企画、実施した。

ネット部活・プロジェクト学習実施の中での子どもたちの変化

ネット部活の中で、子どもたちが島の良さについて語り合い、より自分の育った環境を認識し、また発信する力をつけていく様子が見られた。これらはテレビでも放送され、子どもたちからはこのような以下のような意見が出ている。

  • 「いろいろな意見があって自分の勉強になった。相手の表情が伝わってきて楽しかった」
  • 「最初は違和感があったがだんだん慣れてきて、普通の日課になってきている」

子どもたちは最初から歓迎していたわけではなく、次第に子どもたちが楽しく没頭するようになった経緯についても話してもらった。

うるま市ではMacbook Airを配布し使用しているが、学校から配られた機器を「学校のもの」から「自分のもの」にする工夫があった。

「開封の儀」を行い、指紋認証を設定する。そういった一つ一つの仕掛けが子どもたちの気持ちを変えていった。

また、小学校の修学旅行での事前学習、マインクラフトでの創作活動、他校との交流学習など、使う場面をどんどん増やしていった。

うるま市教育委員会 砂川氏コメント

失敗してもいいからやってみよう。子どもが先生になることもある。 教育に対する思考の転換も必要。

津堅小中学校 宮城氏コメント

最初から教科学習を目的にするのではなく、『とりあえずやってみて』、その後教科学習に繋げていった。大人がワクワクできることをやればいい。

N高等学校 園氏コメント

スキルを学ぶことは大切、でもそれだけでは面白くないので楽しいことを。

株式会社roku you 下向依梨氏コメント

地域にいながら世界中と仕事をする人材を育てていきたい。今日を始まりとしてこれからも続けていきましょう。

株式会社日本コスモトピア 代表取締役社長 下向峰子 氏コメント

株式会社日本コスモトピア 代表取締役社長 下向峰子

今年のフォーラムでは、各校現場の生の声をきかせていただき、参加いただいた方々には非常に刺激になったと思います。ご発表の中で共通していたことは、「ワクワクすることを恐れずとにかくやってみる。行動を起こしてから修正していくことが大事」だということです。

先生がワクワクしていると生徒との垣根が、いい意味でなくなっていくことが素晴らしいと感じました。私どもが主催している「未来をつくる教育フォーラム」は今年で4回目の開催にあたり、身近な存在である学校現場のことを取材いたしました。様々な立場のステークホルダーが現場を知って、アイデアを出していくということを今後も続けていきたいと考えています。新しい時代の教育を目撃するだけでなくそれぞれが実践者となっていきましょう。