アルク、SGUの1つである豊橋技術科学大学における英語学習アドバイザーの5年間運用実績を公開

株式会社アルク(東京都千代田区 代表取締役社長:天野 智之、以下アルク)は、『アルク英語教育実態レポート』の第20弾となる「豊橋技術科学大学における英語学習アドバイザーの5年間運用実績― 2015~2019年度の事例紹介 (2020年度前半の新型コロナウイルス感染症への対応も一部含む)―」を発表した。

豊橋技術科学大学は2014年度に「スーパーグローバル大学(SGU)」の一つに選ばれたのを機に、「多文化共生・グローバルキャンパス」の実現に向けた10年間のプロジェクトをスタート。

その一環で全学的に「英語学習」に力を入れている。

2015年1月から現在(2020年12月)まで、アルクのESAC®認定資格を持つ「英語学習アドバイザー」が大学に「常駐」する形で、学部生、大学院生、教職員の英語学習を支援している。

10年間プロジェクトの中間報告の一つとして本レポートをまとめることになった。

レポート内容全般について大学に監修をお願いし、英語学習アドバイザー制度の管理運営担当の英語教員(豊橋技術科学大学総合教育院特任教授)には一部原稿を寄せた。

このレポートは大学の意図・狙いを明示したうえで、2015~2019年度に蓄積してきた「英語学習アドバイス」の実績データを公開している。

新型コロナウイルス感染症対策に奔走した2020年度前半の取り組みも紹介している。

第20弾『アルク英語教育実態レポート』概要

( 1 )豊橋技術科学大学が英語学習アドバイザーを活用する背景と狙い

全ての専門科目および一部を除く教養科目の授業で、英語の教科書を使用し、教員の説明は日本語と英語をうまく折り混ぜて行う「バイリンガル講義」を実施中であるが、工学部の学生は英語を苦手とする者が多く、支援体制をとる必要性が出てきた。

その一つの手段として外部人材である「英語学習アドバイザー」を導入し、個別学習の支援、eラーニングの利用促進、TOEIC® L&R(以下TOEIC)テスト対策や英会話の講座を運用している。

( 2 )5年間(2015~2019年度)の蓄積データ公開

「英語学習支援」の成果の可視化、「英語学習アドバイザー」導入の効果検証のため、様々なデータを蓄積してきている。以下にその内の一部を公開する。

2.1)個別・グループカウンセリング対応件数

5年間で伸び続け、1名の常駐英語学習アドバイザーの対応可能件数のほぼ上限に達してきている。

2.2)課程・専攻別相談件数の割合

アドバイス利用率の増減をみると、課程・専攻の特徴が見える

アドバイス利用率の増減をみると、課程・専攻の特徴が見える

5年間を通じて比較的利用率が高いのは「機械工学」「情報・知能工学」である。

一方、最も変化が目立つのは「教職員」の利用である。2015年度は27.0%と全カテゴリの中で最も高く、2017年度は9.2%まで急落するが、2019年度は5年間で全カテゴリを通して最高の利用率28.6%に急上昇した。

これは、留学生の送り出し、受け入れが増加する一方、教職員の「グローバル化」を推進するなど、大学の方針を反映しているものと思われる。

2.3)学年別相談件数の割合

大学院生、教職員の利用も多いのが特徴

大学院生、教職員の利用も多いのが特徴

みると、1、2年生の利用割合はかなり低く、3、4年生、大学院生、教職員の利用が多いのが特徴。

これは、1年次の入学定員(80)より、高専等からの編入学を見込んだ3年次の入学定員(360)が多いことが関係していると思われる。

さらに、年度によって利用率が変動するパターンが学年によって異なっている。大学院生を例にとると、2016年度の30.2%から17年度は17.6%に下がったが、2018~19年度は、26.8%、41.6%と急増した。

2.4)初訪・再訪の割合

リピーターによる利用率が毎年高く、しかも年々増加している

リピーターによる利用率が毎年高く、しかも年々増加している

複数回利用、つまりリピーターによる利用率が毎年圧倒的に高く、しかも年々増加している。

2.5)相談項目別割合

相談内容は大学の英語教育に対する方針を反映している

相談内容は大学の英語教育に対する方針を反映している

これに示される学習相談内容の内訳は、「TOEIC対策」「留学関連」など多岐にわたる。

「TOEIC対策」が多いのは、大学が学生・教職員にTOEIC受験を奨励していることを反映していると思われる。

「特定の英語スキルに関する相談」が2018~19年度に増えてきているのは、「4年生」「大学院生」「教職員」の割合が同年度に高まっていることを考え合わせると、英語を「話す」「書く」事を通じて研究や仕事をする必要性が高い人が相談に訪れていることの反映とみることができる。

( 3 )2018年のアンケート調査

2018年度のアンケートで、TOEICスコア下位層と上位層の繰り返し利用が顕著であることがわかった

2018年度のアンケートで、TOEICスコア下位層と上位層の繰り返し利用が顕著であることがわかった

個別カウンセリング(グラフでは「個別セッション」)の利用者、非利用者を対象に英語学習に関してアンケート調査を実施した。

利用者の全般的満足度は高い。利用者をTOEICスコア別にみると、スコア下位層と上位層の繰り返し利用が顕著である。

( 4 )英語学習アドバイザーからの報告

英語学習アドバイザーが毎月、大学に報告した事例の一部を紹介。

  • 3年から修士1年まで(2015年7月~2017年7月)に79回にわたり、日常英会話、国際学会発表前・海外研修前の英会話練習、専門分野の質疑応答、TOEIC、院試対策などを相談
  • 研究室職員が2017年7月~2017年12月の間に7回、日常英会話などを相談

など、具体例を豊富に掲載しており、現場で何が起こっているかが分かる。

( 5 )2020年度の新型コロナウイルス感染症対応

2020年当初からの日本国内における新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、英語学習支援は「オンライン」での提供に移行。

オンラインならではのやり方、利点を活かして個別支援を続ける英語学習アドバイザーの「現場報告」を紹介。

まとめと考察

豊橋技術科学大学における個別・グループカウンセリングの利用率は年々上がり、利用者の満足度も高いものになっている。

特に、大学院進学を目指す3、4年生、海外での発表・活動を控えた大学院生、「多文化共生・グローバルキャンパス」の実現の最前線にいる教職員の利用が目立つ形になっている。

「英語学習アドバイザー」は原則として1対1で学習を支援する。支援する対象は大学全体からみれば一部の人に留まっているのかもしれないが、5年、6年と支援を続けてくると、学生の間では先輩から後輩に「アドバイザー利用」を勧める言葉が聞こえるようになってきた。

「英語学習アドバイザー」が育成を目指す「自律的学習者」がキャンパス内に増えていると言えるのかもしれない。

本レポートが英語学習を支援したい教育機関にとって何らかの参考になれば幸いである。