人にまつわるデータを活用し、グローバルに活躍する人々を生み出す株式会社レアジョブ(以下、レアジョブ)は、企業の人事担当者289名を対象に、人材育成研修やジョブ型人材、グローバルに活躍できる人材の育成状況に関する調査を実施した。
日本企業が抱える人材の雇用や育成に関する動向をまとめるとともに、2021年以降の予測レポートを発表する。
グローバルに活躍できる人材の育成状況に関する調査結果概要

調査背景
2020年はコロナ禍の影響から、移動を伴うグローバルな人の動きは大きくスローダウンした。
その一方で、オンラインコミュニケーションをベースとしたビジネス展開や社内の人材研修などが普及し、リモートワークなど新しい働き方が現実的に進展したという側面もある。
なかでも、日本では従来の新卒一括採用や年功序列といった仕組みを構築してきた「メンバーシップ型雇用」から、タスクに対して人材を割り当てていく「ジョブ型雇用」への変化に注目が高まっている。
ジョブ型雇用はグローバルで活躍できる人材確保の点からも有効である一方で、グローバルで通用する職場環境づくりや人材育成、個人のスキルの可視化など、従来の常識や社会構造からの大きな変化を必要とする。
そこで、今回はグローバルで活躍できる人材育成に向けた企業の取り組みや実態の調査を行い、日本企業が2021年以降の企業運営や人材確保・育成において目指すべき方策を探った。
調査結果
① 約9割の企業でリモートワークを導入。半数以上の企業がジョブ型雇用導入を検討・予定

コロナ禍以前より、人材不足の解消や優秀な人材の流出防止策として、フリーランス人材や時短就業者の活用、副業・兼業の許容などが進んでいた。
加えて、コロナ禍によって多くの企業がリモートワークを導入し、その流れからジョブ型人材の採用や制度導入の検討につながっていったと考えられる。
今回の調査においても、ジョブ型人材の採用や制度導入について「既に導入している/導入に向けて具体的に検討している/導入の是非について調査している」と回答した企業は54%に上った。
ジョブ型雇用は“特定のタスクを定め、そのタスクを完遂できる人材を割り当てていく”という手法である。
したがって、それぞれの人材がどのようなスキルを・どの程度のレベルで持っているのかを定量的にジャッジする必要がある。
ところが、従来の日本では“個別の担当領域を持ちつつ、互いにフォローし合っていく”というメンバーシップ型雇用が主流だったので、ジョブ型雇用の推進に欠かせない「スキルの可視化」が十分に進められていないという課題が浮き彫りになりった。
② 7割以上の企業でジョブ型雇用に必要な「スキルの可視化」が進んでいない

今回の調査では、既に「スキルの可視化」が進んでいると回答した企業は全体の28%にとどまった。
さらに、「グローバル人材のスキルの可視化」に限定すると、8%にまで下がる。
グローバル人材に求められるスキルは、英語力はもちろん、異文化理解やそれを踏まえたうえでのマネジメントスキルなど多岐にわたる。
日本企業がグローバルなビジネス展開を前提としてジョブ型雇用を推進していくには、「スキルの可視化」が喫緊の課題であると考えられる。
③ 「グローバルに活躍してもらいたい人材」の英語力が不足しているのが実情

グローバルでビジネスを展開するうえで、英語力は不可欠なスキルのひとつである。
一方で、グローバルビジネスでの活躍を期待する人材が十分な英語力を備えているかと言えば「英語力はやや/かなり不足している」との回答が9割以上を占めた。
必要性は認識していながらも、適切な人材育成ができる状態まで落とし込めていないことがうかがえる。
④ 特に英会話力については、2割の企業しか測定を行っていない

前述の通り、「英会話力(英語スピーキング力)」は、グローバルなビジネスシーンの実務において非常に重要なスキルである。
一方で、このスキルを定量的に測定している(スピーキングテストの活用など)企業は、2割しかいないという結果になった。
ジョブ型雇用に必要な「スキルの可視化」の一環でもあり、英会話力の測定は今後ますます重要性が高まっていくと考えられる。
総括:レアジョブ グローバルリーダー育成事業開発担当 坪内氏より
今回の調査結果を通して、メンバーシップ型雇用が一般的だった日本企業がジョブ型雇用に変化していくうえで重要な「スキルの可視化」において、多くの企業が課題を抱えているという現状が見えてきました。グローバルにビジネスを展開していくには、日本固有の慣習や制度、価値観だけではひずみが生じてくる可能性があることは否めません。グローバルスタンダードにフィットした企業運営のためにも、まずは「スキルの可視化」を推進していただくことが第一歩になると考えられます。
グローバル人材育成研修や、英語研修を実施中/検討中の人事担当者の方には、ぜひ、当社にお声がけいただければ幸いです。今回のような調査を通して、定量的かつ客観的な事実を基に、研修の設計をご提案させて頂きたいと思います。
調査概要
調査対象
法人契約にてレアジョブサービスを利用中・検討中の担当者(2020年10月時点)
回答数
289名(274社) ※1社につき複数名回答の企業あり
調査期間
2020年10月13日~2020年10月30日
調査方法
インターネット調査
属性
