桐蔭学園、学びの3本柱の1つ「探究」の授業「未来への扉」で生徒全員による発表会を開催

桐蔭学園中学校・高等学校・中等教育学校(横浜市青葉区)では、学びの3本柱として「アクティブラーニング(AL)型授業」「探究」「キャリア教育」を掲げている。

「未来への扉(みらとび)」はこの中の「探究」に位置づけられる重要な教育コンテンツだ。

コロナ禍においても全生徒が探究に取り組み、自ら取り組んだ探究の成果を発表する発表会を行ったことを発表した。

桐蔭学園中学校・高等学校・中等教育学校の「未来への扉(みらとび)」概要

1964年に誕生した桐蔭学園は、2014年の創立50周年を機に「新しい進学校のカタチ」を目指した学校改革に着手。

学びの3本柱に「アクティブラーニング(AL)型授業」「探究」「キャリア教育」を掲げた。

AL型授業については、アクティブラーニング研究の第一人者で、当時京都大学の教授だった溝上慎一・現理事長を教育顧問に迎え、理論と実践の両面から指導と助言を受けながら推進してきた。

今やAL型授業は桐蔭学園の代名詞ともいえる存在となっている。

学びの3本柱の2本目の柱「探究」は、「未来への扉(通称:みらとび)」という授業で推進している。

授業名には「この授業によって、未来への扉を開いてほしい」という願いが込められている。

「みらとび」では情報の集め方、情報の整理の仕方、発表資料の作り方といった基礎的なスキルから、さまざまな角度からの分析の仕方、問題解決の方法などを学習する。

(1)自ら課題を設定→(2)情報の収集→(3)整理・分析→(4)まとめ・表現という流れをスパイラルに展開して、自ら考え判断し行動できる力と学び続ける力を身につけることを目標としている。

コロナ禍における今年度の「みらとび」の取り組み

コロナ禍でスタートした今年度の「みらとび」だったが、ICT環境が整っていたおかげで自宅学習期間中も、通常の年度とほぼ同じペースで進められた。

また、「みらとび」を学びの柱としている学校の教育方針から、自宅学習期間中であっても通常通りこの授業を続けることで、「5教科にとどまらず、すべての授業を大切にする」というメッセージを生徒に伝えられた意義も大きかった。

そうした価値観を一人ひとりの教員が共有していたことも、円滑な実施を後押ししたと言える。

探究・みらとび発表会(10月29日に開催)について

発表会は10月29日(木)、午前と午後の二部構成で行われた。

各生徒が指定された教室に分かれ、1教室あたり生徒20名程度と教員1名が1単位となる。普段のHRやゼミとは違うメンバーが集まるので、どの教室にも独特の緊張感が漂う中での発表会となった。

今回の発表者は、中等教育学校の1年生、2年生、3年生、5年生、中学校3年生、高等学校の2年生。

選ばれた代表者だけが発表するのではなく、対象学年の生徒全員が発表の場を与えられるのが桐蔭学園の特徴だ。

ゼミに入りたての中等教育学校4年生と高等学校1年生が来年の発表に向けてしっかり聴講しているのも大事な点である。

テーマの決め方と傾向

自分の探究課題は前述の通り自ら決めるが、中等教育学校の1年生は「偉人探究」、2年生は「未来探究」、中学校3年生は「職業」などの大きなテーマがある。

中等教育学校5年生と高等学校2年生は、各教員が主催するゼミに所属して自分の探究する課題を決めていく。

例年、社会問題に敏感に反応したテーマや、自分の普段からの問題意識に取り組んだテーマが多い。今年の傾向としては、新型コロナウィルスやLGBT、AI、Society 5.0などの社会問題に取り組む生徒が多かったようだ。

発表会の進行

発表時間は中等教育学校1・2年生が一人当たり各6分、中学校3年生は各7分、中等教育学校5年生・高等学校2年生は各10分で、その中で発表と質疑応答、ふり返りシートの記入が行われる。

司会とタイムキーパーを生徒が担うなど、生徒たち自身によって発表会は進行する。

聞く側にとっては初めて耳にするテーマもあるので、質疑応答では意表を突く質問が出ることも少なくない。

多方面からの質問に的確に答えるためには、いかに深く自分のテーマを理解しているかが問われる。

「みらとび」では、自分のテーマにじっくり取り組むことで、表面的ではない、深い理解と探究力が身につくと言えるだろう。

「みらとび」の特設サイトについて

コロナ禍においても探究を止めない「みらとび」の取り組みを内外に発信するため、6月に特設のWEBサイトを公開した。

学年ごとの取り組み状況や、どのようなゼミがあるのかなどが閲覧できる。

探究統括主任の登本洋子教諭のコメント

今年度がスタートした4月の時点では、10月の発表会を予定どおり行うことができるか不安がありましたが、ICT環境が整っていることや、探究を教育の柱とする理念が学校全体に浸透していたこともあり、通常の年とほぼ変わりなく『みらとび』の授業を進めることができました。

生徒に対して、『コロナ禍だからといって5教科だけをやっていればいいわけではない』『考えることを止めてほしくない』というメッセージになったのではないかと思います。今日の発表会で印象的だったのは、意表を突く質問に対してもしっかりと答えていた生徒の姿でした。自分の発表に使った知識だけでなく、その背景や周辺の事柄にも守備範囲を広げて探究してきたからこそ、多方面からの質問にも対応できていたわけです。探究の姿勢が生徒に根付いてきたという手応えがありました。コロナ禍でも探究が続けられたことは意義深く、桐蔭学園の文化になりつつあると感じています。