アウトソーシングテクノロジーと東京大学が産学連携、非接触デジタル技術を用いたメンタルヘルス不調の予兆検知に関わる共同研究を開始

株式会社アウトソーシングテクノロジー(本社:東京都千代田区、代表取締役:茂手木雅樹、以下OSTech)は、東京大学滝沢龍准教授と、非接触デジタル技術を用いたメンタルヘルス不調の予兆検知に関わる共同研究を開始することを発表した。

OSTechと滝沢龍准教授は、スマートフォンアプリケーションで非接触に取得できる心拍変動や顔色などのバイタルサインを用いたメンタルヘルス不調の検知ロジックに関する共同研究ならびに、共同実証実験を開始する。

OSTechは、東京大学との産学連携によるヘルステック研究プロジェクトを通じ、社会的課題ともいえる就業者のメンタルヘルスケアをテクノロジーの活用により推進していく。

非接触デジタル技術を用いたメンタルヘルス不調の予兆検知に関わる共同研究概要

研究の背景

企業にとって、就業者の健康維持には配慮義務があるだけでなく、生産性向上、離職防止など、安定した企業経営に直結するもの。

就業者の健康維持・増進を経営的な課題と捉え、戦略的に実践する「健康経営」に取り組む企業も増えている。

昨今では、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、在宅勤務やテレワーク、外出自粛等、私たちの働き方や生活様式も大きく変化した。

健康への不安、周囲とのコミュニケーション不足等から生じるストレスにより、メンタルヘルス不調を抱えるケースも顕在化しつつあり、就業者のメンタルヘルス対策は社会課題となりつつある。

非接触バイタルモニタリング技術について

今回の共同研究で用いる基礎技術は、千葉大学と株式会社センシングが共同研究し開発したシステムを、OSTechが非接触型スマートフォン向けアプリケーションとして開発したもの。

基礎技術概要

  • スマートフォンで撮影した顔の動画像からバイタル情報を取得※
  • 独自の色素成分分離技術により、異なる照明下で撮影した動画像も高精度で分析可能
  • 分析はデバイス上のみで実施される

※取得可能なバイタル指標は以下。

  • 脈拍
  • 心拍変動
  • LF/HF
  • 呼吸数(研究開発中)
  • 血圧(研究開発中)
  • 酸素飽和度(研究開発中)

アプリケーションイメージ(開発中)

共同研究概要

バイタルサインを用いて、簡単な自己記入式の回答と組み合わせることで、たとえば抑うつ、不安やパニックなどのメンタルヘルス不調の兆候を、診断名のつくような重症な状態になる以前に、より精度高く検知ができる技術開発を目指すことが研究のテーマとなる。

OSTechと滝沢龍准教授は、検知ロジックの共同研究ならびに、必要な基礎データ取得のための共同実証実験を開始する。

調査期間

2020年10月~2021年9月

対象者

20代~40代の就業中の男女 約500名

取得データ

  1. 平常時とストレス時の判定に必要な自己記入式の指標データ
  2. 日常生活や身体のバイオリズムと検出値との関連性を示すデータ
  3. 平常時とストレス時、それぞれのバイタルサインデータ取得とストレスチェックを実施し関連性を検証する

本研究では、心拍変動や顔色などのバイタルサインを数値化し、メンタルヘルス不調の兆候を早期に検知するため、就業者自身が認識していないストレスの蓄積や、それに伴う不調のサインを早期に発見し、重症化を防ぐことが期待されている。

スマートフォンやPCで、30秒程度の動画を撮影するだけでバイタル指標を取得できる簡便な非接触技術のため、測定自体による身体的・心理的負担が少なく、より自然な日常のデータを取得することが可能。

バイタルセンシングとメンタルヘルスとの連携

精神科専門医、認定産業医、公認心理師であり、メンタルヘルスやストレス健康科学の専門家である、東京大学滝沢龍准教授との共同研究により、バイタルセンシングの技術だけでは実現できない臨床精神医学的・心理学的アプローチも可能にする。

今回の共同研究でのバイタルサインに基づくメンタルヘルス不調のデータ分析により、身体と心の不調の関連性を実証することで、メンタルへルスケアの必要性への理解を深め、より的確な健康管理を実現する。

滝沢龍准教授からのコメント

メンタルヘルスの分野では、症状や問題が目に見えないため、周囲や自身にもわかりにくく、生活に支障をきたすような重症な状態になってから助けを求め治療を開始することになることが多いものです。貝原益軒の「養生訓」にもあるように、いかなる症状や健康問題も、早期発見・早期対処の予防が基本です。

今回、OSTech社と挑む新しい技術開発により、メンタルヘルス不調を日常生活の中で安全に簡便に「見える化」し、手軽に把握できるようになっていけば、次の対処がより早期に行われることにつながり、病院での治療を要するような重症化を防ぐことができる予防の一助になると考えています。

「こころの体温計」とでも言うような、こうした技術の有用性を科学的に実証することで、就業者一人一人の自主的な健康管理にもつながり、世の中の多くの方々に役立つことを目指しています。ウィズ・コロナ/アフター・コロナ時代を見据え、こうした新しい非接触型の科学技術にたいへん期待しています。

今後の展望

OSTechと滝沢龍准教授は、2020年10月より非接触バイタルアプリケーションによる実証実験を開始し、2021年9月を目途に実用化を目指す。

人事労務、経営企画といった、健康経営や働き方改革を推進する部門への導入を見込んでおり、ストレスチェックや遠隔診療など、基礎技術を応用したさまざまな用途へのカスタマイズにも対応予定。

たとえば、毎日の始業および終業時の打刻の際にバイタルサインデータを取得し、ストレス測定や管理ができるアプリケーションなど、就業者の健康管理促進に役立つサービス展開も検討しているという。

継続的にバイタルサインデータを蓄積することで、アプリケーションの精度を高め、利用者一人一人に最適化した支援ができると考えられる。

例えば、メンタルヘルス不調の予兆を検知し、休息やリフレッシュ、運動を促すなどの改善策を提案することで、自身のストレス傾向とその際の回避方法を知ることができる。

心身ともに健康的な生活を維持する習慣づけと、セルフケアが可能となり、重症化する事態を自ら防ぐことが期待される。

OSTechは、滝沢龍准教授と連携し、就業者一人一人の健康維持・管理を実現することで、企業の健康経営による「well-being(ウェルビーイング)」の実現に貢献していく。また、メンタルケアという社会全体の課題に向き合い、一人一人の生活や働く環境の豊かさに寄与していく。


ABOUT US

シンボ ナツキ
埼玉県出身。2018年12月からほぼ毎日EdTech Mediaの記事を更新しています。 EdTech Mediaのほかに、教育業界専門の転職サイト「Education Career」を運営している株式会社ファンオブライフのマーケティング担当です。