東洋大学が全国15大学の学生対象にコロナ禍対応のオンライン講義に関する意識調査を実施、40%がオンライン講義・33%が対面講義を希望

東洋大学(東京都文京区/学長 矢口悦子)現代社会総合研究所 ICT教育研究プロジェクト(代表:経済学部 教授 松原聡)は、全国15大学の学生を対象に「コロナ禍対応のオンライン講義に関する学生意識調査」を実施し、結果を発表した。

2020年10月14日に公表された調査結果では、

  • オンライン講義に対する学生の評価は概ね高い
  • 不満点は、課題等の負担増と、コミュニケーション不足
  • 教員の負担感と学生の評価との間には、相関がない
  • スマホ利用者は、パソコン利用者に比べ、学習時間が少ない

といった結果が判明している。

「コロナ禍対応のオンライン講義に関する学生意識調査」概要

調査の目的

2020年度、コロナ禍対応として日本の多くの大学でICTを活用したオンライン講義が実施されている。

本調査では2020年度前期について、全国の中堅大学の学生にオンライン講義の実情や学習成果に関する意識調査のための、アンケート調査を行った。

本調査は、オンライン講義に対する学生の評価を分析するとともに、これまで日本においては十分に進んでいたとはいえない高等教育でのICTの活用が、このコロナ禍対応におけるオンライン講義の経験を通じ、今後にどう活かされるかを探ることを目的とした。

学生アンケート結果

アンケート回答者(学生)

  • 回答者数:1,426名
  • 学年:2年生48%、3年生41%、4年生10%
  • 性別:女性34%、男性66%
  • 滞在先:実家80%(うち帰省中12%)
  • 使用デバイス:スマートフォン16%、タブレットPC10%、パソコン74%

対面講義とオンライン講義の比較(1)

  • オンライン講義と対面講義の希望者はオンライン40%、対面33%。
  • 学習効果は、上がったと上がらないがほぼ同数(上がった38%、上がらない35%)
  • 講義の集中度は、ほぼ同数(増えた33%、減った39%)

対面講義とオンライン講義の比較(2)

  • 総学習時間が増えた講義が多い(増えた、77%)
  • 教員とのコミュニケーションは、減少が多数(増えた16%、減った57%)

オンライン講義の評価

  • オンライン講義のよい点、劣る点の複数選択で、平均選択数が「よい」(4.09)が「劣る」(3.48)を上回った
  • よい点は、6割以上が以下の4点を上げている。
    • 「通学時間がかからない」82%
    • 「自分のペースで学習できる」68%
    • 「自宅で学習できる」66%
    • 「教室移動がない」61%
  • 劣る点は、よい点に比べると、分散している。
    • 「自宅だと他の誘惑に負けそうで授業に集中できない」43%
    • 「(ネットワークやデバイスの不具合等で)音声や動画が途切れて聞き逃すことがある」39%
    • 「開始・終了のメリハリがない」36%
    • 「教員ごとに使用するシステム(ZoomやWebex等)が異なるため、混乱しやすい」36%
    • 「対面時よりも単調に感じてしまう」35%
    • 「他の受講生とのディスカッションや交流が少ない」34%

オンライン講義の評価(自由記述)

自由回答文の極性分類では、ポジティブ37%、ネガティブ28%と、肯定的な評価が多かった。

演習、語学科目

  • 両科目ともオンラインの希望は30%ほどであるが、対面については演習が45%と多くなっている(語学は32%)
  • 演習は、対面での希望が強く、語学は、オンライン、対面がほぼ同数となっている。

教員アンケート結果

  • 動画が85%(うち、リアルタイム35%、オンデマンド50%)、文書による課題提示が15%
  • アクティブ・ラーニングに、オンデマンドが適しているが50%、対面が適しているが10%
  • オンデマンドで教育効果が高まったが40%、やや落ちたが20%
  • 今後、オンラインを希望が50%、対面を希望が25%
  • いずれも、オンデマンドに高評価

クロス集計

学習効果×学年

学習効果については、学年進行とともに上昇

  • 「多くある」2年生8%→3年生11%→4年生18%
  • 「多くある」「やや多くある」2年生33%→3年生40%→4年生51%

デバイス×学習時間

  • 「多くある」スマホ30%→タブレット37%→ノート・デスクトップ47%
  • 「多くある」「やや多くある」スマホ62%→タブレット78%→ノート・デスクトップ80%

授業規模×学習効果

授業規模(受講者数)では、授業規模が大きくなるにつれて評価が上がる傾向

受講者×学習効果

「オンライン講義の中で、従来の対面型講義と比較して、予習、復習、課題提出等を含めて、総学習時間が増えたと思う講義はどのくらいありましたか?」に対し、「多くある」「やや多くある」50人以下32%、100人以下34%、101人以上44%となった。

講義形式×総学習時間

「LNS上で文書での課題提示、レポート提出」型の講義は、負担が大きい(文書提示型で「多くある」59%、「やや多くある」26%)。

講義形式×コミュニケーション

リアルタイムは、教員とのコミュニケーションが取れる利点は大きい。

ビデオのオン・オフ×総学習時間

常時オン、適宜オンオフは、常時オフに比べ、学生の評価が高い(「多くある」常時オン79%、適宜オンオフ45%、常時オフ37%)

教員負担×学習時間、学習効果

教員の負担と、学生の受け止め(学習時間等)との間に相関はない

調査概要

アンケートは、「学生」および調査担当教員に実施した。教員アンケートは、主として、学生アンケートとのクロス集計用に取得した。

調査担当教員所属大学(15大学)

大阪市立大学、作新学院大学、札幌大学、島根県立大学、淑徳大学、椙山女学園大学、大東文化大学、高崎経済大学、中央大学、中京大学、東京交通短期大学、東洋大学、名古屋学院大学、兵庫県立大学、弘前大学

対象学部・科目数

17学部・33科目(総履修学生数3,191人)

調査担当教員数

20名

調査期間

2020年7月

回答数

1,426件(回答率44.7%)

学生アンケートの構成

  1. フェイスシート(5問)
  2. オンライン講義全般について(12問)
  3. 当該受講科目について(6問)
  4. 語学、演習科目について(3問)
  5. 講義全般について(3問)

の合計29問で構成。

学生アンケートの特色

オンライン講義と対面講義の比較を中心に、意見聴取を行った。

学生は同一講義でのオンラインと対面での比較はできないため、現在受講しているオンライン講義と、過去に受講した対面講義との比較を尋ねた。

対面講義の経験のない1年生を除外し、意見の分散を避けるため、調査対象講義を講義の性格が近い「文系・一般講義科目」に限定し、実習、演習や語学、理工系科目などは、対象外とした。