トモノカイと東海大、2,000名超の中高生のデータから「主体的学習」を分類・指標化した共同研究成果を発表

株式会社トモノカイ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:徳岡臣紀)は東海大学情報教育センター 白澤秀剛講師とともに進めている共同研究における研究成果、「学習行動頻度を用いた中高生版主体的学習分類尺度の開発」を教育システム情報学会第45回全国大会(2020年9月2日~5日)で発表した。

この研究では、首都圏の中学校高校で30校超の支援実績を持つ株式会社トモノカイ学習デザイン事業が2000名を超える生徒の学習行動におけるデータを収集。

東海大学とともに分析し、生徒の主体性の変化を可視化するための尺度を開発した(図表1)。

分析の結果、学年進行により生徒の主体性の分類が変化する傾向が見受けられたこと(図表2)、学校やコースによって主体性分類の構成比が異なることが確認された。

また本分類により家庭学習時間などの割合に違いが見られた。(図表3)

この研究により、生徒の学びへの主体性を育むため、今後の学習支援の事業に活用されることはもちろんのこと、ICT教育や今後本格的に進む探究活動の拡大に向けた指針となることが期待されている。

トモノカイと東海大学情報教育センター 共同研究のサマリ

(図表1:学主体的学習分類)

(図表1:学主体的学習分類)

(図表2:学年推移と主体的学習分類比)

(図表2:学年推移と主体的学習分類比)

(図表3:主体的学習分類と週の平均学習時間割合)

(図表3:主体的学習分類と週の平均学習時間割合)

予備調査で得られた57の学習行動の頻度を調査する質問紙及びWeb調査フォームを作成し、中高生約2000名から回答を得た。

調査結果の分析から、知識を得たり良い成績を目指したりする「獲得行動」15項目と、教員からの指摘を回避したり能力不足との直面を回避しようとしたりする「回避行動」13項目の2因子が抽出された。

2因子の大小組合せにより、「成長志向」「完了志向」「防衛志向」「参加志向」に4分類が可能であることを確認。

学年進行に伴い成長志向の減少、完了・防衛志向の増加が見られた。

分類の構成比は学校やコースによって異なることがわかり、生徒への働きかけや取り組みによって変化すると推測。

今後の展開や期待

  • (株)トモノカイの放課後学習支援事業への活用
  • 「総合的な探究の時間」の効果検証
  • 教育用ICTデバイスの効果測定
  • 授業やカリキュラム、行事などの指導方針の策定指針
  • アクティブラーニング指導方法の効果測定
  • 教員、保護者の適切な声掛け内容の検討・啓蒙
  • 校や教育機関における生徒ロイヤリティの調査、改善
  • 退学の阻止への応用

研究者のコメント

東海大学 情報教育センター 白澤秀剛講師

本研究で開発した主体的学習分類尺度は、主体的学習ができているかどうかを評価するような尺度ではなく、今、学習に対してどのように向き合っているのかを知るための尺度として開発したものです。

学習に向き合えない状態の生徒に無理やり教員の理想とする学習方法をやらせても、それは決して主体的学習とは言えません。医師が薬を処方する前に検査をするように、主体的学習分類尺度を使って生徒の様子を捉えた上で指導することで、生徒自身が学びに向かうことができるようになると考えます。

ぜひ、学校の指導方針や教員の指導方法のチェックに役立てていただければと思います。

株式会社トモノカイ 河合類氏

これまで我々は「生徒の主体性をいかに育むか」という学びにおける根幹的な問題に対し、多くの学校様、先生方と向き合ってまいりました。その中で“主体性”や“やる気”を単にある、ないと二者択一で捉えるのではなく、生徒の主体性について改めて見つめ直すことが必要であると感じております。

分析を進める過程で見えてきた、序列化やホラーストーリーによる学習への促しは生徒の主体性を防衛的な志向へと導く可能性など、感覚的に捉えていたものを事実として示唆付けられたことは大変有意義な研究だったと考えております。

今後は学習支援の事業に活用することは勿論のこと、この研究を探究活動やICT教育、各種の学校の取り組みなどに活用し、少しでも学校や生徒の学びに貢献できればと考えております。


ABOUT US

シンボ ナツキ
埼玉県出身。2018年12月からほぼ毎日EdTech Mediaの記事を更新しています。 EdTech Mediaのほかに、教育業界専門の転職サイト「Education Career」を運営している株式会社ファンオブライフのマーケティング担当です。