学習アプリ開発を手掛けるフィール・フィジックスは、先端科学教材(※)体験型イベント『指でつまんで動かす!空中に浮かぶ立体映像』(遠隔授業のニューノーマル)を2020年9月19日(土)、愛知総合工科高校(愛知県名古屋市)で実施し当日の様子を発表した。

オンライン授業は既に定着しつつあるが、画面を見るだけの授業には限界がある。
今回のイベントの授業は、遠隔授業のニューノーマルであり、オンライン授業では実現しない「からだの動き」を取り入れることができる注目の未来型体験授業である。
今回は、教材を愛知総合工科高校(愛知県名古屋市)に事前配送し、Zoomを使い三重県のフィール・フィジックスから授業を実施、19名の生徒が参加した。
実際に、指で操作したり歩き回って観察することを体験。
生徒がMRゴーグルで見ている風景は、Zoomを通してフィール・フィジックスの教員が見つつ、解説を行った。
※先端科学教材とは、MRゴーグル(VRの発展形)を用いた磁界の可視化教材。
※MRとはMixed Reality(複合現実)の略称。今回は Microsoft HoloLens 2 を使用。
体験レビュー
体験した生徒の声
- 装着するだけで楽しかったのに、学習までできて、本当に楽しかったです(1年生・男子)
- 磁界は目に見えず理解しにくいけれど、それを分かりやすく可視化されており、理解しやすかった(2年生・男子)
- 空間にあるものを操作することができるのが新しくて、とても直感的で面白かった(1年生・男子)
- 夢物語として話していたものにとても近いくて、嬉しい(1年生・女子)
実施した高校教員の声
7年目・男性教員
機器が到着したときからSTEM部(科学、IT )の生徒たちは夢中でいじり始めて、さらには帰宅部だった生徒も参加してきて、驚いた。私はほとんどサポートする必要がなかった。このような未来を感じさせる機器には、生徒の心に火のようなものをつける力があるように思う。もっと多くの生徒に体験して欲しいと思う。
実際に子どもたちが体験した世界とは
体験者が「透過型ゴーグル」を装着すると、目の前に立体映像が現れる。
それは、『磁石の世界』(磁界)。
体験者は、目の前に現れた立体映像を、指でつまんで自由に動かすことができる。
さらに、立体映像のまわりを歩き回って観察することができる。
「立体映像」=『磁石』ということを忘れるほど、子どもたちは夢中に。「わあ!未来だ!!」という歓声が沸き起こったたという。
子どもたちは、立体映像のボタンを自分の指で押すことで、磁界の様子(2次元、3次元)の切り替え、磁力線の表示も体験した。
体験授業では、磁石の世界だけでなく【アプリ開発の方法】【普段の授業(数学・物理)】がどのように役に立つのか?についても説明。
これにより約70%の生徒が『自身の学習に対する意欲が高まった!』と応えた。
現状の学校教育だけでは満足できない科学サークルの生徒、画一的・集団生活の環境に合わない不登校の生徒など、さまざまな子どもたちの未来の可能性を引き出し【学習意欲に火をつける】ことが期待できる。
体験授業後アンケートの結果
体験授業後のアンケートでは、80%以上の生徒が「映像」型ではなく「体験」型の遠隔授業の方が【学習した内容が定着しやすいと思う】と回答。
さらに、約80%の生徒が、従来の教材ではなくMR技術を使った教材のほうが、通常の教材と比較して【学習内容がわかりやすかった!】と答えた。
空中に浮かぶ立体映像とは

AR(拡張現実)では、ポケモンGOで普及しているように、スマホを通して現実風景のカメラ映像の中に、キャラクターが立っている様子を見ることができる。
今回のイベントの体験では、スマホの代わりに『透過型ゴーグル』を使用。
大きなメガネのようなガラスを通して周りの様子を見ることができる。
実際に、目で見ている現実空間に仮想の立体映像が『あたかもそこにあるかのように』見える。
見るだけでなく、手でつまんで動かしたり、仮想のボタンを、自分の指で押したり、からだを使った様々なインタラクションを行うことができる。
5か国での実績
これまで、イギリスやガーナなどを含む5カ国、10の学校で300人に対し、体験授業を実施。
実践結果は、査読論文として日本物理学会誌(物理教育67巻4号)にも採録されている。
教材は、三重県発・教育系ITのスタートアップ・フィール・フィジックスが開発したもの。