凸版印刷、経済産業省『「未来の教室」実証事業』の成果公開。タブレットを活用した学習サービスの有効性を実証

凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)は、静岡県袋井市(市長:原田 英之、以下 袋井市)と共同で、2019年度『経済産業省「未来の教室」実証事業』に2年連続で採択されている。

今回、同事業のために開発したデジタル・ドリルと連携し動画やチャットボットによる解説などを拡張した新しい学習サービスを活用し、『学びの自立化・個別最適化(教科学習系EdTech(※1)による生産性向上)」に関する実証(以下 本実証)を、2019年10月から12月にかけてモデル校である袋井市立浅羽北小学校にて実施し結果を発表した。

従来、デジタル・ドリルの学習のみだった学習体験から新しい学習サービスを活用したことで、通常の基礎学習に費やす授業時間を最大75%に圧縮し、特に低学力層における習熟度の大幅な向上を確認し有効性が実証された。

これにより、授業時間圧縮で捻出された時間を活用して教員がSTEAM教育(※2)を実践することができ、児童自らが課題を発見し解決できる創造力豊かな人材の育成を目的とした指導機会の創出に貢献したという。

※1 EdTech:Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。教育を、テクノロジーを使って効率的にできるようにしようという取り組み全般のこと。

※2 STEAM教育:「STEAM」という語は、Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学), Mathematics(数学) と Arts(リベラルアーツ) を合わせた造語であり、米国、中国はじめ世界の様々な国で進む、第4次産業革命等の潮流を意識した教育改革において、非常に重視されている概念。なお本実証においては、株式会社STEAM Sports LaboratoryがSTEAM教育を担当。

凸版印刷の2019年度『経済産業省「未来の教室」実証事業』成果概要

本実証にて活用した学習サービスの概要

新しい学習サービス活用した授業イメージ

本実証では、凸版印刷が開発したデジタル・ドリルや従来のアダプティブ・ラーニング・サービス(※3)と連携させた学習サービスを活用し、子ども達一人ひとりの個性や特徴、興味・関心や学習の到達度が異なることを前提にして、各自にとって最適で自立的な学習機会を提供していく考え方で実施。

※3 アダプティブ・ラーニング・サービス:個々の子どもの進捗に合わせ、学習内容や学習レベルを調整し提供する学習サービス。蓄積されたログを解析することでつまずきや弱点を明確にし、子ども一人ひとりに「最適化」されたコンテンツを提供することで、効率的に学習を進めていく。

ねらい

子どもたち一人ひとりの資質・能力に適した学習を進めるため、タブレットを使った新しいスタイルの授業(=未来の学び方)を実践し、その効果を検証。

実施校

袋井市立浅羽北小学校

実施期間

2019年10月~12月の約3ヶ月間

対象生徒

6年生 約70人(一人一台タブレット端末を貸与)

詳細

  1. 児童は、デジタル教科書を使って、各自で学習を進行。
  2. 本実証用に凸版印刷が開発したデジタル・ドリルを使って教科書の練習問題に解答し、教科書の理解度を確認。教科書の練習問題が難しい児童には、チャットボットやレクチャー動画により理解を手助けする。
  3. 児童は、一通り単元の学習内容を終えた後、凸版印刷のアダプティブ・ラーニング・サービスを活用し習熟度を高め、余力のある児童には応用問題を提供し、学びを深める手助け行う。
  4. 教員は手元のタブレット上で、個々の児童の進捗やそれぞれの問題の正答率、誤答の傾向などをリアルタイムかつ瞬時に把握し、児童一人ひとりに合わせた学習の支援を行う。

結果

本実証事業のために開発した学習サービスを使用する前と後において、児童の単元テスト結果やアンケート、授業時間などを計測・集計。

  • 単元テストの結果が全学力層において向上。特に低学力層において習熟度が飛躍的に高まった。
  • 通常の授業時より「自分のペースで学習できた」と72%の児童が回答。(42人/58人)
  • 授業時間を通常の基礎学習に費やす標準時間の最大75%圧縮

今後の展開

凸版印刷と袋井市は、2018年度および2019年度の実証成果を踏まえて、「未来の教室」のビジョンに基づき、公教育全般で実施可能な新しい教育スタイルの実践を行っていく。

また凸版印刷は、本実証で使用するアダプティブ・ラーニング・サービスをベースに、「教科学習の効率化」「STEAM教育」「非認知能力醸成」を組み合わせ、知識習得型の授業から課題解決型の授業へと、転換を支援する新サービスの開発を目指す。

2019年度『経済産業省「未来の教室」実証事業』 について

世界は「課題解決・変革型人材(チェンジ・メイカー)」の輩出に向けた能力開発競争の時代を迎え、各国で就学前・初中等・高等・リカレント教育の各段階におけるEdTechを活用した「学びの革命」が進んでいる。

このような世界の流れを背景に、経済産業省は「『未来の教室』とEdTech研究会」での議論を踏まえ、「未来の教室」実現に向けて必要なサービスやプログラムについて「学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)創出事業)」として実証事業を行った。