博報堂とLITALICO、「ASD(自閉症スペクトラム)と子育て実態調査」第1弾ASD理解ギャップ編の結果を発表

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の次世代育児アイテムPechat開発チームと博報堂こそだて家族研究所は、学習塾や障害児支援事業を行う株式会社 LITALICO(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:長谷川敦弥)と共同で、ASD(Autism Spectrum Disorder=自閉症スペクトラム)の診断や傾向のある子どもを育てる家庭の実態や、周囲の支援のあり方を把握するため、「ASDと子育て実態調査」を実施した。

今回は第一弾の調査結果として「ASD理解ギャップ編」と題し、ASDの診断や傾向のある子どもを持つ保護者と典型発達の子※を持つ保護者のASDに対する認知・理解の実態とそのギャップについて発表した。

なお3月26日より、三者共同でASDの実態や子育てのヒントを研究・発表するWEBサイト「教えて!はったつ博士」を公開している。

「ASDと子育て実態調査」結果概要

調査結果のポイント

  • 0~22歳までの子の中で、「ASDと診断された子」は2.3%(推計60万人)、「グレーゾーンの子※」は、5.4%(推計138万人)。合計すると、約13人に1人という割合に。
  • ASDと診断された際の年齢は、2~3歳が特に多く、全体の約4割を占める。
  • 気づいたきっかけとして多いのは「発語の遅さ」や「医師・専門家の指摘」「パニックを起こす」など。
  • ASDの名称認知は、「典型発達の子」の保護者でも約8割と高水準だが、詳細理解度では約6%と低い。
  • 「ASDと診断された子」の保護者の約半数は「世の中から正しく理解されていない」と感じている。
  • ASDについて「知る・学ぶ機会がほしい」と答えた人は、「グレーゾーンの子」を持つ保護者が32.7%と比較的高め。
  • ASDの特性に対する理解内容のギャップを分析すると、医学的な知識のほか、周囲の対応方法に関する知識を広めることの重要性がうかがえる。

参考情報

ASDと診断された子・グレーゾーンの子の割合

0~22歳までの子の中で、「ASDと診断された子」は2.3%(推計60万人)、「グレーゾーンの子」は5.4%(推計138万人)で、合計すると約13人に1人という割合になる。

ASDと診断された際の年齢は2~3歳が特に多くなっており、合計すると約4割を占める

気づいた「きっかけ」として、「発語の遅さ」(37.7%)、「医師や専門家から言われた」(34.1%)、「パニックを起こす」(29.3%)などが上位に

ASDの認知・理解状況

「典型発達の子」の保護者の約8割(80.7%)が、「ASDという名前を知っている」と答える一方で、ASDが「どのような特性か何となくわかる」人は約3割(29.9%)、「特性の内容について詳しく知っている」人は約6%と、特性まで理解している人はまだ少ないことがわかった。

さらに、「ASDと診断された子」の保護者の約半数(45.7%)は、「(ASDの特性について)世の中から正しく理解されていない」と感じている。

ASDについて知る・学ぶ機会へのニーズ

ASDについて「知る・学ぶ機会がほしい」と答えた人は、「グレーゾーンの子」を持つ保護者が32.7%と比較的高く、三者の中で最もニーズを感じていることがわかった。

(「ASDと診断された子」の保護者で28.4%、「典型発達の子」を持つ保護者で23.9%。)

「グレーゾーンの子」の保護者は、医療機関の診断がないこともあり、情報が少なく周囲に相談できる人も少ないことも、「知る・学ぶ機会へのニーズ」を持つようになる理由のひとつと考えられる。

ASDの特性に対する理解内容のギャップ

ASDの主な特性を挙げ、各内容について知っているか聞いたところ、以下のような内容が、「典型発達の子」の保護者に特に知られている。

  • 「社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手くできないことがある」(47.5%)
  • 「学校で特別支援を受けることがある」(45.3%)
  • 「一度決めたやり方やルールにこだわり、変化を受け入れられないことがある」(42.6%)

「ASDと診断された子」の保護者と、「典型発達の子」の保護者の理解内容を比較すると、医学的な知識のほか、周囲の対応方法に関する知識を広めることの重要性もうかがえた。

具体的に、ギャップが大きかった上位3項目は、以下の通り。

  • 「知的障害やADHD、学習障害やてんかんなどが併存する場合もある」(差分52.6ポイント:以下pt)
  • 「行動を切り替えるタイミングを知らせておく、見通しを持たせるなどが重要」(52.4pt)
  • 「発達の特性自体が『障害』になるとは限らず、周囲の不理解や自尊心の傷つきを減らすことが重要」(51.1pt)

※第二弾リリースは、4月上旬の発表予定。次回は「ふかい!すごい!『好き』のパワー」と題し、ASDの子が持つ特性の強みについてレポートする。

【例】Q. 子どもの発達特性を強みに思うことがありますか?⇒「ある」と回答したASDの子を持つ保護者:60.9%

調査概要

この調査は菅佐原 洋(すがさわら・ひろし)氏の監修のもと実施された。

調査手法

インターネット調査

調査エリア

全国

調査時期

2020年1月

調査対象者

20~60代男女(N=13,262)

  • ASDと診断された0~22歳の同居子を持つ保護者(N=440)
  • ASDの診断はないが、疑いがある(グレーゾーン)0~22歳の同居子を持つ保護者(N=988)
  • ASD以外の発達障害の診断や疑いのある0~22歳の同居子を持つ保護者(N=523)
  • ASDやその他の発達障害の診断や疑いのない(典型発達)0~22歳の同居子を持つ保護者(N=11,311)

ASD(自閉症スペクトラム):「スペクトラム」と言われる通り、虹の帯のように境目なく連続しており、症状や特性は一人ひとり多様。また、生活における困難さは個人の特性と周囲の人的・物的環境との相互作用によっておこるため「どこからどこまでが障害」と機械的に線引きできるものではない。最近では、 ニューロダイバーシティ(neurodiversity:自閉症スペクトラムなどの発達障害の特性は障害ではなく「ヒトの脳の神経伝達経路の多様性」とする考え方)も広がっている。

「グレーゾーンの子」:医療機関での診断はないが、ASDの疑いがあると保護者が感じている子。

「典型発達の子」:自閉症スペクトラムやその他の発達障害の疑い圏にいない子。NT(神経学的典型: neurotypical)という分類が由来。

「教えて!はったつ博士」の概要

ASD(自閉症スペクトラム)の実態や子育てのヒントを研究・発表するWEBサイト。

実態調査のレポート発信や、ASDの子どもの「こだわりエピソード」の紹介、ASDの子どもたちの「好き」に寄り添うコミュニケーションのヒント集などのコンテンツを、専門家やASDの子どもを持つママ・パパと一緒に研究しながら情報発信をしていく。