株式会社パスコ(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:島村秀樹、以下:パスコ)と東京大学エドテック連携研究機構(所在:東京都文京区、機構長:越塚登大学院情報学環長、以下:エドテック連携研究機構)は、空間情報事業分野におけるAI(人工知能)人材の育成に特化した独自の教育プログラムを共同で開発、2020年度からパスコにおける空間情報技術者を対象に、本格的な教育を開始することを発表した。
パスコと東京大学エドテック連携研究機構、教育プログラム開発の背景

現在の第3次AIブームは産業革命と位置付けられており、米中を筆頭に技術研究や社会実装が進んでいる。
特にディープラーニング(深層学習)は画像解析の分野で急速な進化を遂げており、国内企業での導入事例も多く報告されている。
こうした中、東京大学ではAIなど新しい技術を用いて教育や学習の効率化や質の向上を支援するとともに、技術を開発する取組(EdTech:エド・テック)に関する研究を実施するエドテック連携研究機構が2019年10月に発足。
一方で、空間情報事業を展開し、航空写真や衛星画像を幅広く取り扱うパスコでは、業務の効率化や新サービス創出のサイクルを高速化していく上で、AIの活用は必要不可欠な状況にある。
そこで、空間情報事業分野におけるAI人材育成を目指すパスコと、先端的技術を活用し高品質な教育・学習環境の実現を目指したエドテック連携研究機構の目的が一致し、エドテック連携研究機構の立ち上げ当初から民間企業との最初の共同プロジェクトとしてAIに特化した教育プログラムを開発した。
空間情報×AIに特化したパスコ教育プログラムについて
空間情報分野におけるAIの業務適用に際して、第一段階としてAIで実現可能な範囲を理解することが重要である一方、AIと総称される技術分野は幅広く、初学者がゼロから学ぶ障壁は高いものだ。
空間情報の収集・加工・分析を行う上で、活用できる主要なAI技術分野を、AIを専門とする外部機関、および先行する社内の習熟者が整理・集約し、具体的な事例や実践手順と組み合わせて広く展開するため、3つのステップで学習する教育プログラムを開発。
【レベル1】 e-learningによるAI基礎知識習得
AIの業務適用に向けたリテラシー向上を目的として、AI概要、組織適用上の注意点、AI基礎技術などのe-learning
【レベル2】 WorkshopによるAI技術にかかる課題解決
組織レベルでAIを業務に適用する際の注意点や課題を把握するWorkshop(レベル1受講者から選抜)
【レベル3】 機械学習の実務トレーニング
AI活用の実践に向け、基礎となる技術を習得することを目的として、自社版権の実データを教材に使用した演習と対面講義
今後の計画
2019年度に技術系管理職130名を対象に「レベル1・2」の教育を試験的に実施、その成果を反映し2020年度からは、対象技術者を400名規模に拡大し、AI人材の育成を開始する。
この教育プログラムの実施により、AI技術の実業務への適用可能性を見出し、業務の高度化・効率化を図り、さらに、能動的に自らAI技術の実践・挑戦ができるイノベーション人材の創出を目指す。
パスコにおけるAI技術の活用実績
AI 技術の研究開発は2013 年から取り組みを開始し、2014 年度以降に本格化している。
2017年から現在に至るまでに、実業務へのAI技術の実装に関して、以下のような実績を保有している。
- 航空写真や衛星画像からの地物検出(建物、道路等)、家屋の新築・改築・滅失などの異動判読
- 航空写真や衛星画像からの人工構造物、森林、裸地などの土地被覆分類抽出
- 航空写真や衛星画像からの森林の樹種判読
- 衛星画像からの駐車場の駐車車両台数抽出
- 道路面の撮影画像からのひび割れ箇所の検出