日立ソリューションズと早稲田大学、学術交流協定を締結しセキュリティ分野で協力

株式会社日立ソリューションズ(本社:東京都品川区、取締役社長:星野 達朗/以下、日立ソリューションズ)は、学校法人早稲田大学 データ科学総合研究教育センター(所在:東京都新宿区、所長 松嶋 敏泰/以下、CDS)と、セキュリティをはじめとするデータサイエンス分野の人材育成および産学連携促進を目的とした学術交流協定を2020年2月1日に締結したことを発表した。

また締結を記念し、学生向けハッキング体験ワークショップやパネルディスカッションを交えた2部構成のシンポジウム「情報セキュリティ vs AI ~未来の脅威を読み解く~」をサイバーセキュリティの日である、2月3日に共同開催、当日の内容を公開した。

早稲田大学との学術交流協定締結の背景と目的

昨今、サイバー攻撃の手法は日々高度化、複雑化しており、企業や公共機関ではセキュリティ対策が重要な課題となっている。

2020年3月には次世代通信規格「5G」のサービスが日本で始まり、より便利な社会になる一方で、IoT機器などへの攻撃リスクの高まりが予想され、強靭で堅牢な社会インフラの構築が急がれている。

政府や官公庁も、高度な専門知識を持つセキュリティ人材の育成に急務として取り組んでいる。

このような課題を解決するため、日立ソリューションズとCDSは、2019年6月から協力し、セキュリティ分野の高度次世代人材育成に取り組んできた。

この協定の締結によって、今後はセキュリティ分野をはじめ、他のデータサイエンス分野での連携も視野に入れ、便利で安全安心な社会づくりに貢献していく。

早稲田大学とのこれまでの取り組み

CDSは、AI、IoT、ビッグデータなどのデータサイエンス分野における高度な専門知識を持つ人材育成に取り組んでいる。

日立ソリューションズは、セキュリティ分野で、AI(人工知能)や生体認証などを活用し、コンサルティングからシステム構築、運用、教育まで、企業のニーズに合った最先端のソリューションをトータルに提供してきた。

2019年6月に両者はセキュリティ分野で連携し、日立ソリューションズのホワイトハッカーやセキュリティコンサルタントが講師となり、「情報セキュリティの現場論」の講座を正規科目として実施。

また、2020年2月3日に、「巧妙化するサイバー攻撃、ビジネスメール詐欺をAIで守れるか」をテーマに、シンポジウムを共同開催した。

早稲田大学との学術交流の概要

今回締結した学術交流協定において、日立ソリューションズのホワイトハッカーやセキュリティコンサルタントが講師となり、正規科目としての授業を継続して行う。

また、社会人が専門知識を取得するために学び直しをする「リカレント教育」においても、データサイエンス分野の教育プログラムの開発・運用に協力していく。

さらに、日立ソリューションズは、早稲田大学の幅広い専門分野の教員や研究者との交流を図り、高度情報社会を支える最先端のセキュリティの研究に取り組んでいくことをめざす。

講座「情報セキュリティの現場論」について

この協定の締結に先駆けて、日立ソリューションズは、2019年6月10日~7月29日、早稲田大学の CDSの正規科目として、セキュリティの基本知識と実践的なスキルを学ぶことを目的に、全8回(2時限連続の講座を4日間)の授業を開講した。

授業では、第一線で活躍するホワイトハッカーやセキュリティコンサルタントが講師を務め、企業が直面するセキュリティの課題やその対策について、ケーススタディやオリジナルのカードゲーム、ハッキング体験などを通じて演習形式で行われた。

来年度も6月より講座を開講する予定。

記念シンポジウム「情報セキュリティ vs AI ~未来の脅威を読み解く~」について

両者は、サイバーセキュリティの日である2020年2月3日、学生を対象に2部構成でシンポジウムを開催。

テーマ

情報セキュリティ vs AI ~未来の脅威を読み解く~

  • 第1部:参加型ワークショップ(ハッキング体験)
  • 第2部:シンポジウム

日時

2020年2月3日(月)14:00~17:00

会場

早稲田大学 喜久井町キャンパス40号館

第1部:参加型ワークショップ(ハッキング体験)

第1部では、日立ソリューションズのホワイトハッカーである米光一也氏、青山桃子氏をモデレーターに、ハッキング体験ができるワークショップを行った。

「ハッキングは真正面から攻撃を仕掛けるというより、脇道や裏側から攻撃を仕掛けてくる」という基本的な考え方の下、参加者自身がファイルのパスワードを入手するような課題に取り組んだ。

参加した学生からは「ハッキングについて外側からのアプローチという点はおもしろかった」といった感想があがった。

ハッキング体験で説明する米光 ハッキング体験で説明する青山

第2部:シンポジウム

第2部では、長崎県立大学の松田健准教授とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)セキュリティセンターの研究者である伊藤博康氏による基調講演、そして、「巧妙化するサイバー攻撃、ビジネスメール詐欺をAIで守れるか」をテーマに、松田准教授、伊藤氏、米光によるパネルディスカッションを実施し、聴講者も日立ソリューションズのサイコロ型IoTデバイス*1を使って議論に参加。

松田准教授の講演では、データサイエンス分野において、数理的かつ柔軟な思考でマシンラーニングを活用した攻撃検知の自動化の可能性などが紹介された。

また、伊藤氏による講演では、ビジネスメール詐欺の複数の事例を通じて複雑化する攻撃手法が紹介され、その対策にはシステムのセキュリティ強化だけでなく、人の意識向上の必要性も語られた。

最後のパネルディスカッションでは、「サイバー攻撃をAIで防ぐことができるか」というテーマについて、

  • 「進化し続けるサイバー攻撃をAIで見抜くのは難しいのではないか」
  • 「ビジネスメール詐欺は特定の企業や人を対象にしている。公開されない情報なので、AIに学習させるデータを集めにくく、AIで見抜くのは難しいのではないか」
  • 「特化型のAIをたくさん早く完成させて組み合わせられれば、汎用AIを完成できると思う。ただし、その過程では、データを精査する人の手間が必要になるので、実現はなかなか難しい」

という議論がなされた。

松田准教授は最後に、「AIに学習させるデータには、攻撃に関するデータだけでなく、文化や商習慣などの多様なデータを集める必要がある。社会人より時間があり、色々なことに挑戦できる学生の方が活躍できる可能性がある」と、会場の参加者に期待を込めた。

*1:サイコロ内のIoTタグのセンサー情報をルータ経由でPCに送信し、PCの専用アプリケーション上で集計結果を可視化することができる。聴講者は、サイコロの面を変えることでパネルディスカッションに対するアンケートに参加した。

パネルディスカッションモデレータの扇 パネルディスカッションの様子

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Natsuki Shinbo
埼玉県出身。2018年12月からほぼ毎日EdTech Mediaの記事を更新しています。 EdTech Mediaのほかに、教育業界専門の転職サイト「Education Career」を運営している株式会社ファンオブライフのマーケティング担当です。