ベネッセ、アジア3か国とフィンランドで「幼児期の家庭教育国際調査」を実施

株式会社ベネッセホールディングスの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2017年に、アジア3か国とフィンランドの都市圏で、幼児期の子どもを持つ母親を対象に「幼児期の家庭教育国際調査」を実施した。

「幼児期の家庭教育国際調査」実施の背景

「幼児期の家庭教育国際調査」は、母親の子育て意識・実態や、小学校入学に向けて幼児期に育みたい力として設定した「学びに向かう力」「文字・数・思考」「生活習慣」の発達状況と保護者のかかわりについて、国による違いや共通点を明らかにすることを目的としている。

今回の調査では、日本と同じアジア圏から、経済的な成長が著しく、日本と同様に幼児教育の中で非認知的なスキルを重要視している中国、多様な民族が融合しているインドネシア、アジア圏との比較のためにヨーロッパ圏からフィンランドを対象とした。

尺度は、2012年の国内調査で設計したものを、各国の文化・習慣に合うように留意して翻訳し、使用た。また、幼児期の家庭での教育・養育の実態や、保護者の教育・育児意識も合わせて調査し、背景となる環境や意識の違いや共通点を把握した。いずれの国も、各国の子どもたちが小学校に入学する月の1~3か月前に時期を合わせて調査を行った。

「幼児期の家庭教育国際調査」調査概要

「学びに向かう力」について

ベネッセ教育総合研究所では、幼児期に育みたい生涯にわたって必要な力、小学校入学以降の学習や生活につながる力として、「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」の5つの非認知的なスキルを「学びに向かう力」として定義した。

ベネッセ教育総合研究所では、2012年より「学びに向かう力」の縦断研究(「幼児期から小学生の家庭教育調査」)に取り組み、幼児期の「学びに向かう力」が、「言葉」などの認知的なスキルの土台となることを明らかにしている。

「学びに向かう力」の説明

「学びに向かう力」に関する主な調査結果

  1. 小学校入学に向けて育みたい力のひとつである「学びに向かう力」は、社会文化的な環境に関わらず、4か国で共通の5領域(「好奇心」「協調性」「自己主張」「自己抑制」「がんばる力」)で構成されていることがわかった。
  2. 「学びに向かう力」の5項目の内、いずれの国でも、「好奇心」の得点が最も高い傾向にあった。一方「がんばる力」や「自己抑制」は、得点が低い傾向があった。
  3. 「学びに向かう力」や、「生活習慣」などの自立にかかわる力の育成を子育てにおいて重視する傾向も各国共通しており、どの国でも8~9割の母親が「力を入れている」と回答。
  4. 母親の「寄り添い型養育態度」が、いずれの国でも「好奇心」や「がんばる力」の発達に関連していた。「好奇心」や「がんばる力」を育てるうえでは、保護者のかかわり方の影響が大きい。

ベネッセ教育総合研究所では、グローバル化・IT化が急速に進む社会においては、異なる文化に対する「好奇心」、コミュニケーションの上では「協調性」や「自己主張」、「自己抑制」、困難な環境にあっても「がんばる力」といった、非認知的スキルがより重要であると考えている。

その力が、いずれの国の家庭においても、幼児期に共通して育まれていることがわかった。また、その力の成長が、保護者による子どもの意思の尊重や、子どものがんばりを見守る、といった保護者の関わり方と関連することは、国を超えた貴重な知見だと言えるとしている。

本調査結果は2018年3月18日、チャイルド・リサーチ・ネット主催「アジア子ども学交流プログラム第2回国際会議」(2018年3月17日~18日)でも紹介する予定。

また、2018年夏ごろには、本調査より、「母親のワーク・ライフ・バランス」に焦点を当てた分析結果を発信する。