2018年問題とは?日本の大学が消える?

2014年に、3大予備校のひとつと言われていた予備校の代々木ゼミナールが27カ所中20カ所の校舎を閉鎖したことが話題になりました。校舎の大量閉鎖の背景には、対象となる世代(代々木ゼミナールの場合は現役志向の高まりによる浪人生の減少も)の減少があります。このように、若い世代の減少は大学、大学の関連ビジネスに大きな影響を与えています。
そのような中、「2018年問題」とは、大学に入学する年齢である18歳の人口が2018年を境に減少し始め、大学が入学者を確保するのが困難になっていくと見込まれる問題を指します。

2018年問題の鍵となる数字:「18歳人口」「大学進学率」「大学数」

2018年問題を考える上で重要な数字を紹介します。

18歳人口

18歳人口は、団塊ジュニア世代(1971年から1974年までに生まれた世代)が18歳を迎えた1992年の時点で205万人でしたが、それ以降2009年までの間に120万人までに減少しました。2009年以降は横ばい状態が続いていますが、2018年から再度減少が始まり、2024年までに110万人、2031年までに99万人になります。

進学率

大学進学率は、1992年の26.43%から上昇し続け、2010年に51.10%に達した後は、頭打ちとなっています。四年制大学・短期大学・高専4年次・専門学校を合わせた進学率は80%にのぼり、これ以上高等教育機関に進学する18歳の割合が増えるとは考えにくいと言われています。すでに、選り好みしなければ誰でも大学に行ける「大学全入時代」となっています。

大学の数

大学の数は、1990年には507校(内訳:国立大学96校、公立大学39校、私立大学372校)でしたが、特に私立大学が大幅に増加し、2012年に783校(内訳:国立大学86校、公立大学92校、私立大学605校)のピークを迎えました。また、地方では定員割れとなった私立大学の公立化が行われているため、公立大学も増加しています。その後微減したものの、2016年の時点で777校(内訳:国立大学86校、公立大学91校、私立大学600校)となっています。

(出典:文部科学省(2017)「文部科学統計(平成29年版) 大学」)

「18歳人口」「大学進学率」「大学数」から読み解く2018年問題

2018年以降は、これ以上進学率の増加が見込めない中、18歳の母数は減少する一方です。その結果、大学に進学する18歳は10万人以上減り、単純計算でも入学定員1000人の大学が100校以上消えることになります。大学数ばかりが増加してしまい、大学にとって学生の獲得は熾烈な争いとなりました。実際、過去10年で廃止された学校は10校を超えます。定員充足率は、2014年の時点で、私立大学578校のうち265校で100%未満、84校で70%未満、15校で50%未満でした。

(出典:日本私立学校振興・共済事業団私学経営情報センター(2014)「私立大学・短期大学等入学志願動向」)

影響を受ける大学

人気のない大学に追い打ちをかけるように、大学の定員充足率が低下すると、文部科学省から得られる補助金が大幅に減ります。学生の質が下がったり、受験料や授業料を大きな収入とすることができずに設備に投資できなかったりして、人気はさらに低下します。

逆に、国はスーパーグローバル大学(SGU)の指定により、10年間で13の大学に42億円ずつ、24の大学に17億円ずつを上限に補助金を支給するほか、ブランド性を与えています。少ない18歳のプールが、人気の高い大学に集中し、大学間の格差が広がると予想されます。

かといって、人気のある大学も慢心しているわけではないようです。学生獲得の有力な施策であるキャンパスの「都心回帰」は、有名な大学によっても行われています。例えば、東洋大学、明治大学、青山学院大学、中央大学がキャンパスの移転を実行・決定しました。

大学による対策

2018年を間近に控え、大学は早急に対策を練っています。多くの大学が採用している施策として、以下のものがあります。

AO入試の実施など選抜方法の工夫

多くの大学がAO入試(※1)の実施を開始し、生徒を獲得しています。受験生にとっては、受験年の早い時期に進路を決定出来たり、一般入試では合格できない大学に合格できたりするというメリットがあるため、AO入試を実施する大学を受験することがあります。
また、出願期間やその他の重要な日程の設定を工夫し、有名な大学とずらすことで、滑り止めとして受験する生徒を狙う大学もあります。たとえば、摂南大学は、入学金の支払期限を付近の有名大学・近畿大学の合格発表の翌日に設定し、近畿大学の受験者がリスクなく摂南大学にも出願できるようにすることで、入試志願者の数を維持しています。
さらに、多くの大学で、複数の方式で出願したり、複数の学部に出願したりすることができるようになっています。

(※1:AO入試:面接・小論文を通し、志望動機・大学や学部への適性・意欲などを総合的に評価して入学者を選抜する入試。)

都心回帰

都心志向の学生のニーズに合わせ、キャンパスの移転を計画する大学も少なくありません。たとえば、2016年10月、阪急梅田駅やJR大阪駅から徒歩5分以内に梅田キャンパスを新設した大阪工業大学では、志願者数が前年度の1.5倍に増加しました。新学部創設による定員増加を差し引いても、キャンパス新設の大きな効果が見られました。

この都心回帰の傾向は、2002年に工場等制限法が廃止されたことをきっかけとしています。首都圏と関西において、都心部での施設拡大が規制されていたために、キャンパスの都心から郊外への移転が相次いでいましたが、今では都心のキャンパスの人気が注目されています。前述したように、東洋大学、明治大学、青山学院大学、中央大学が都心へのキャンパスの移転を実行・決定しています。

教育プログラムの改変

グローバル化へ対応したり、設備や授業の質を向上することも重要な戦略の一部となっています。
たとえば、山梨学院大学では、2015年に「国際リベラルアーツ学部」を新設し、国際教育で人気と知名度の高い国際教養大学から招集した教員が、英語でハイレベルな授業を行っています。

また、明星大学では、2010年に大学のプログラムを教育中心に変更しました。人文学部から教育学部を独立、教職免許が取得可能な課程を大幅に増加、入学定員を倍増させ、教職免許取得支援の充実をアピールした結果、志願者が倍増しました。