MOOCの修了率はなぜ低い?平均や改善策は?

大規模に無料のオンライン教育を提供するMOOC(Massive Open Online Course)により、世界の有名大学の授業が受けられるようになり、学習機会は拡大しました。今やPCやスマホさえあれば、いつでもどこでも講義を受けることができます。

一方で、MOOCの修了率は低迷が続いています。この背景にはどのような原因があるのでしょうか。

MOOCの修了率は10%以下

MOOCの修了率は、平均で5~10%だと言われています。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で設立したedXは、最新の統計でコースの修了率が5.5%であったと発表しました。(https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2889436)90%以上の受講者が途中で離脱していってしまうことになります。なぜこれほど多くの受講者が途中で脱落してしまうのでしょうか。その理由については以下のような指摘がなされています。

そもそもコースを修了するつもりがない

受講の目的が修了証を得ることではなく、コースの内容に興味があるだけという場合、途中で受講をやめてしまうことがあります。

時間がない

コースを始める前は修了しようと考えていても、十分な時間を取れずに受講を断念する場合もあります。

コース内容が難しく、サポートも足りない

学習内容が予想よりも難しく、受講が続けられないこともあります。オンラインでの講師のサポート体制にも限界が指摘されています。
(https://www2.warwick.ac.uk/fac/sci/dcs/people/research/csrmaj/daniel_onah_edulearn14.pdf)

このようにMOOCの修了率の低さにはいくつかの理由が考えられます。最初にあげたそもそも修了する意思がない場合を除いて、何らかの要因により受講を続けるモチベーションが保てないことが共通しています。ではどうして学習意欲を維持できないのでしょうか。

どうしてモチベーション・学習継続意欲を保てないのか

MOOCは受講を開始するハードルが低いのが特徴であり、メリットです。

ハードルが低いことが、そもそも学習意欲が高くない生徒を集めることに繋がっていたり、学習継続のモチベーション維持に繋がっていなかったりする可能性は指摘出来るでしょう。従来の学習環境である、学費や退学などのペナルティがある場合と比べて、学習する動機付け・強制力が働きづらいと言えます。

また、MOOCはオンライン教育であるため物理的なキャンパスが存在しません。そのため、受講者同士のつながりや、教員とのつながりが物理的な教室やキャンパスをもつ場合と比べて弱くなりがちです。コースによっては受講者どうしが授業の内容について話し合うコミュニティや、講師に質問ができる機能がありますが、基本的には自律でき、自学自習が求められます。

また、毎日大学のキャンパスに通っていればそれだけで学習の時間をつくることができますが、MOOCの場合は自主的に時間を捻出しなければならず、学習に意識を向けることの難易度が高いといえるでしょう。MOOCで学習を継続するには、自学自習出来る自律心、定期的にスケジュールを作るタイムマネジメントが要求されます。

指標としての修了率

モンゴルの15歳の学生がedXのコースで満点を取り、マサチューセッツ工科大学への入学を許可されたというニュースがありました。このようにMOOCの教育効果について期待させる話題がある一方、全体的な修了率は低迷を続けています。

現在、MOOCの学習効果を測る指標として、修了率が利用されています。MOOCの学習効果への疑問を投げかける意見の多くは、通常の大学の授業と比較したときのMOOCの修了率の低さを根拠としています。

テクノロジー系の講義を提供するUdacityの創始者であるセバスチアン・スランは、修了率が低いことを理由に自らのMOOCのコースを「粗末なプロダクトだ」と批判したこともあります。しかしながら、そもそも修了証を得ることが目的ではない人もおり、修了率だけでMOOCのポテンシャルを判断するのは早計とする意見もあります。

(http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/manage/wp-content/uploads/2016/03/86_5.pdf)

MOOCの修了率を高めるには

ここまでMOOCの修了率の低さと、その背景にある受講者のモチベーション・学習意欲を保つ困難、MOOCの効果を測る指標としての修了率について確認してきました。

今後、MOOCが修了率を向上させるためには、受講者の学習意欲を維持しなければなりません。MOOCが持つオンラインの手軽さや便利さはそのままに、受講者に学習を継続させるような工夫を凝らしていくことが必要です。例えば日本のJMOOC公認のプラットフォームであるgaccoは、受講者どうしのミートアップ(自主的な交流会)を推進しており、コースの受講モチベーションを向上させています。修了率は他のMOOCの平均を超え、10~20%を維持しています。

(http://www.ntt.co.jp/journal/1602/files/jn201602050.pdf)

それぞれの目的に応じた授業の設計やコース期間の設定、課題の量の調整など、受講者のニーズに応じたサービスの転換により受講者がMOOCを利用しやすい環境を整えていくことが求められます。