国際バカロレア(IB: International Baccalaureate)は、国際バカロレア機構による国際的な教育プログラムです。

認定校には共通するカリキュラムがあり、プログラムの修了試験に合格した生徒には国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が授与されます。

2017年6月1日の時点で、140以上の国・地域の4,846校で導入されています。

このプログラムを特徴づけているのは「全人教育」の考え方で、知識の詰め込みや教員から生徒への一方的な指導とは大いに異なるものです。

国際バカロレア(IB)の理念

国際バカロレア(IB)の目的は、「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」(文部科学省「国際バカロレアについて 2.国際バカロレアの理念」 http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1353422.htm (2017年10月3日)より抜粋)です。

生徒にグローバル社会に貢献できる能力と態度を身に付けさせると同時に、大学進学への道筋を整える役割を担っています。具体的には、「IBの学習者像」が10の人物像として説明されています。

  • 探求する人
  • 知識のある人
  • 考える人
  • コミュニケーションができる人
  • 信念を持つ人
  • 心を開く人
  • 思いやりのある人
  • 挑戦する人
  • バランスのとれた人
  • 振り返りができる人

国際バカロレア(IB)のカリキュラム

国際バカロレア(IB)では、生徒の年齢によって分かれた4種の教育プログラムが提供されています。

プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP) 【1,509校 (国内:22校)】3歳~12歳を対象として、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。どのような言語でも提供可能。1997年設置。

ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP) 【1,398校 (国内:14校)】
11歳~16歳を対象として、青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。どのような言語でも提供可能。1994年設置。

ディプロマ・プログラム(DP) 【3,209校 (国内:33校)】
16歳~19歳を対象としたプログラムであり、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能。原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施。 1969年設置。

キャリア関連プログラム(CP) 【136校(国内:-校)】
16~19歳を対象として生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を重視した、キャリア教育・職業教育に関連したプログラム。一部科目は英語、フランス語又はスペイン語で実施。2012年設置。
(出典:文部科学省「国際バカロレアについて 1.国際バカロレアとは」 http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1307998.htm (2017年10月3日))

ディプロマ・プログラム(DP)の生徒は、「グループ」の科目と「コア」と呼ばれる必修の授業を受けます。グループは、言語と文学、言語習得、個人と社会、理科、数学、芸術の6つで、それぞれに多数の科目が設置されています。「コア」は、課題論文、知の理論、創造性・活動・奉仕の3つで、このうち、知の理論は知識とは何かを考えさせる有名な授業です。

国際バカロレア(IB)の教育を受けるメリット

国際バカロレア資格を保持する18歳以上の生徒は、日本の大学への入学資格が認められます。現在、日本の多くの大学でAO入試や帰国子女入試の出願資格の1つとして募集要項に挙げられており、条件を満たす場合は大学入学試験を国際バカロレア資格を用いて受験できます。

海外では、大学入学試験において国際バカロレアがさらに広く利用されています。たとえば、イギリスでは、日本のセンター試験に該当する共通試験・Aレベルのスコアと、国際バカロレアのスコアの換算表が作成され、大学が国際バカロレアのスコアを入学者選抜時に利用できるようになっています。また、アメリカでも、大学が国際バカロレアの履修を推奨したり、入学者選抜にあたり高く評価することが少なくありません。海外の大学では、国際バカロレアの上級レベル科目(HL)で高得点を取得した生徒に対して、入学後にその科目の授業の履修を免除することもあります。

さらに、国際バカロレア(IB)の推奨者は、大きな変化を迎える国際社会の中で活躍するために必要な素養が育まれることをメリットとして挙げます。

日本における国際バカロレア(IB)に関する取り組み

日本政府は、2013年に閣議決定された「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」に基づき、国際バカロレア認定校を2018年までに200校に増やすことを目指しています。特に画期的な取り組みとして、国際バカロレア機構と協力し2013年度より「日本語DP」を導入しています。国際バカロレアのプログラムは基本的に英語、フランス語、スペイン語で実施されますが、このことが日本でのIBの普及を妨げているという観点から、一部の認定校でディプロマプログラムの科目の一部を日本語で実施できるようになりました。日本語で受講可能な科目は以下の通りです。

経済、地理、歴史、生物、化学、物理、数学、数学スタディーズ、音楽、美術、知の理論(TOK)、課題論文(EE)、創造性・活動・奉仕(CAS) さらに、文部科学省として、国際バカロレア資格やスコアを入試選抜に利用することを大学に推奨しています。

日本における国際バカロレア(IB)認定校

日本には、45の国際バカロレア(IB)認定校があります。そのうち、1条校(※1)は市立札幌開成中等教育学校、仙台育英学園高等学校、茗渓学園高等学校、ぐんま国際アカデミー、昌平中学校、筑波大学附属坂戸高等学校、玉川学園中学部・高等部、東京学芸大学附属国際中等教育学校、東京都立国際高等学校、山梨学院大学附属高等学校、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢、法政大学女子高等学校、サニーサイドインターナショナルスクール、加藤学園暁秀高等学校・中学校、名古屋国際中学校・高等学校、立命館宇治中学校・高等学校、英数学館高等学校、AICJ中学・高等学校、リンデンホールスクール中高学部、沖縄尚学高等学校の20校です。

(※11条校:学校教育法第1条に規定されている学校。日本の高等学校の卒業資格が取得できる。)