学習到達度調査(PISA)とは?気になる日本の順位は?

学習到達度調査(PISA)は、経済協力開発機構(OECD)が実施する、世界の生徒の学習到達度の調査です。

科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野について、72国・地域の生徒の能力を調べます。2000年より3年毎に実施されており、前回実施されたのは2015年です。

各調査では1つの中心分野が設定され、重点的に調べられます。他の2つの分野は概況が報告されます。これまでの中心分野の設定は以下の通りです。

  • 2000 年調査:読解力
  • 2003 年調査:数学的リテラシー
  • 2006 年調査:科学的リテラシー
  • 2009 年調査:読解力
  • 2012 年調査:数学的リテラシー
  • 2015 年調査:科学的リテラシー

学習到達度調査(PISA)は生徒のどのような能力を見ているの?

学習到達度調査は、義務教育修了の段階にあたる 15 歳の生徒が、保持する知識や技能を実生活において活用する力を見るものです。

思考プロセスの習得や概念の理解、そして応用力に重きを置いています。OECDは、調査を行う3分野を以下のように定義しています。

科学的リテラシーとは,思慮深い市民として,科学的な考えを持ち,科学に関連する諸問題に関与する能力である。科学的リテラシーを身に付けた人は,科学やテクノロジーに関する筋の通った議論に自ら進んで携わり,それには以下の能力(コンピテンシー)を必要とする。

現象を科学的に説明する:自然やテクノロジーの領域にわたり,現象についての説明を認識し,提案し,評価する。

科学的探究を評価して計画する:科学的な調査を説明し,評価し,科学的に問いに取り組む方法を提案する。

データと証拠を科学的に解釈する:様々な表現の中で,データ,主張,論(アーギュメント)を分析し,評価し,適切な科学的結論を導き出す。

 

読解力とは,自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,社会に参加するために書かれたテキストを理解し,利用し,熟考し,これに取り組むことである。

 

数学的リテラシーとは,様々な文脈の中で数学的に定式化し,数学を活用し,解釈する個人の能力のことである。

それには,数学的に推論することや,数学的な概念・手順・事実・ツールを使って事象を記述し,説明し,予測することを含む。この能力は,個人が現実世界において数学が果たす役割を認識したり,建設的で積極的,思慮深い市民に求められる,十分な根拠に基づく判断や意思決定をしたりする助けとなるものである。

出典:国立教育政策研究所(2016)「OECD 生徒の学習到達度調査 Programme for International Student Assessment ~2015 年調査国際結果の要約~」

学習到達度調査の対象は誰?どのように実施されているの?

調査の対象となるのは各国・地域の義務教育修了段階の15歳です。

前回、日本では、高等学校本科の全日制学科・定時制学科・中等教育学校後期課程・高等専門学校の 11年生約 115 万人のうち、199校の約6600人が参加しました。これらは、層化二段抽出法によって無作為に選ばれた生徒です。

調査では、選択肢形式や自由記述形式などの問題が出題され、生徒は約2時間かけて回答します。2015年より、筆記型調査からコンピュータ使用型調査に変わりました。この学力の調査のほかに、約 45 分間の生徒質問調査、 ICT 活用調査、学校質問調査も行われます。

前回の学習到達度調査(PISA)の結果は?

前回(2015年)の調査の結果は、日本の生徒の学力の平均が世界でも高いと言えることを示しています。

日本は、科学的リテラシーの分野でOECD加盟国1位、全参加国・地域2位、読解力の分野でOECD加盟国6位、全参加国・地域8位、数学的リテラシーの分野でOECD加盟国1位、全参加国・地域5位につきました。

各国の頂点に立ったのは、3分野すべてにおいて1位を獲得したシンガポールです。

科学、数学の分野でそれぞれ約4分の1の生徒がトップレベルの成績を残し、科学の分野の上位 5% に位置する生徒の得点が各国のうち最も高いという結果が出ました。

また、学校修了時までに知っているべき基礎的な能力を参加者の9割以上が身につけていたのは、日本のほか、カナダ、エストニア、フィンランド、香港(中国)、マカオ(中国)、シンガポール、ベトナムでした。

日本の学習到達度調査(PISA)の結果の推移は?

これまでの日本の平均得点、順位は以下の図のように変化しています。

出典:国立教育政策研究所(2016)「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント」)

この図から、日本は、科学的リテラシーで6位以内、数学的リテラシーで10位以内に常に収まり、比較的高水準の結果を出し続けていることが読み取れます。

読解力に関しては、最初の3回は最低で上位40%に位置するなど他のOECD加盟国と比べて高いとは言えませんでしたが、2009年に順位を上昇させてから、2012年には1位(OECD加盟国内)を記録するなど、好成績を残しています。

学習到達度調査(PISA)の役割は?

調査の結果は、教育成果の公平性を示すことなどにより、2030年までの達成を目指す持続可能な開発目標 (SDGs) (※1)の目標4「すべての人が公平に受けられる質の高い教育の完全普及と、生涯にわたって学習できる機会の向上」の達成に向けた課題を明らかにしています。

ほかにも、成績が良い国々に共通する政策を発見し、世界における教育の質の向上に貢献しています。

また、前述の通り、学習到達度調査は、知識を問うよりも実際に役立つ能力を評価する問題を多く出題します。

そんな中、順位の上昇を目指す各国において、生徒がPISAで高得点を取ることのみを目的とした短期的な取り組みが進められることを危惧する専門家もいます。

(※1持続可能な開発目標(SDGs):世界共通の目標として2015年9月に国連で採択された行動指針。)