ICTで人材育成力を強化!ウェディング大手PDPがフィードバックツール「リフレクトル」を活用した取組を推進

上司・先輩が後進を育てることは、人材育成の古典的なテーマですが、クラウドやモバイルデバイスなどのICTを活用するとより効果的・効率的にできます。

この分野に明るいCo-Growth株式会社の佐々木文平氏に、最新の事例としてウェディング大手・株式会社ポジティブドリームパーソンズの取組みについて寄稿して頂きました。

上司・先輩による若手指導はICTを活用したフィードバックでより効果的に

上司・先輩による後進への指導は人の成長に大きな影響を与える力・働きかけの一つです。対比として集合研修をとりあげると、要点を体系的に伝えられるものの、単日であるなど接する時間が限られ、かつ大勢の人に当てはまるよう一般化された働きかけが主になり、それだけでは効果はやや限定的です。それに対して、上司・先輩は後進と基本的に毎日接触しますし、一人一人の特性、実際の行動を踏まえたうえでの働きかけが可能なため、大きな影響を与えます*。

同時に、一対一など少人数の間でのやりとりであるため、ブラックボックス化し易くもあります。人により指導の質・量に大きなばらつきが生じやすく、また本部などによる管理や質の向上がこれまでは困難でした。結果、良い上司に「恵まれた人」は成長の機会を手にし、恵まれないと成長の機会を逸する、あるいは極端な場合潰されてしまう状況を目にします。

後進を良く育てられる上司・先輩が数多くいる企業は、人を育てる「文化がある」などと呼ばれたりしますが、抽象論で語るだけでなく、具体的に企業が取り組める仕組みはないものでしょうか。

本記事では、東京白金の「ザ テンダーハウス」、東京築地にある聖路加ガーデン47階の「レストラン ルーク」、福岡の「ザ マーカススクエア福岡」などを展開する株式会社ポジティブドリームパーソンズ(以下PDP、敬略)の取組みをご紹介します。PDPはウェディングプロデュースを中心に感動を創出する企業として、1997年の創業から20年間で売上高154億円、スタッフ930名まで成長を遂げてきました。

ポジティブドリームパーソンズが運営する「レストラン ルーク」

高いお客様満足度を実現するために、これまでも「感動度」をKPI**に設定したり、皆が参考にできる台本を整えたり、新人育成には一対一でトレーナーをつけたりなど、様々な取組みをしてきました。そして2016年10月よりICTツール・リフレクトルを活用し、接客力/営業力育成をさらに効果的・効率的にすることに成功しています。

今回は、本取組みを実務責任者として推進している、PDPウェディング事業 戦略・オペレーション推進室ゼネラルマネージャーの坂本真紀さんに、背景にあった課題意識、推進の過程、障壁と乗り越え方、成果についてお話を伺いました。また本取組みを支援しているコンサルティング会社・株式会社BRICOLEUR(以下、ブリコルール)の小野寺友子さんにもご考察を頂きました。

なお読者の方々に、できる限り生の、実際に取り組んでいる方の声に触れて頂きたく、坂本さんのお話はインタビューを再現したQ&A形式で記しました。

* 効果的・効率的な成長には、集合研修で要点を体系的に伝えること(OFF-JT)と、日々の職場で定着するまで指導を繰り返すこと(OJT)の組み合わせが大切です。しかし集合研修の内容は良く吟味されるものの、職場での定着については、研修終了時に「あとは職場で頑張って」と伝えるのみでフリーハンドとなり、定着は上司次第となることが大概だと現状認識しています。(具体的な仕組みは、存在してに、上司の関心を高めるために、受講者が実践内容を記載して上司にコメントをもらう程度で、指導の質に焦点をあてられていることは稀です。)

** Key Performance Index : 重要指標

フィードバックとナレッジシェアのプラットフォーム「リフレクトル」とは【参考】

PDP坂本氏に伺った取り組みの内容と成果の記載に先立ち、前提となる「リフレクトル」について簡単にご紹介します。

リフレクトルは、コミュニケーション力強化のためのフィードバックとナレッジシェアのプラットフォーム(ICTツール)です。「動画」x「具体的場面にフォーカス」したフィードバックと振り返りを可能にすることが最大の特徴で、ロールプレイやリハーサルの学習効果を大きく高められます。またクラウドで動くため、例えば福岡で行ったロールプレイの内容を、東京にいる人が参照する、フィードバックすることが可能になります。

http://co-growth.jp/reflectle/

 

ポジティブドリームパーソンズ坂本真紀氏に伺った取り組みの内容と成果

佐々木 : まず前提としてウェディング事業の概要や特徴を教えてください。

坂本 : ウェディング事業は、プランナーがご結婚されるお二人に寄り添って、最良の日を共に作りあげていく仕事です。そして世の中に数多あるモノやサービスを提供して対価を頂く仕事の中で、提供者とお客様との信頼関係がこれほど重要な仕事は無いと考えています。

そもそも形あるモノではないですし、大変高額です。何より、結婚式については妥協して良いと考えているお客様はいらっしゃいません。例えばレストランであれば、行きたかったお店が予約で埋まっていれば、入れるところで妥協できるでしょう。しかし結婚式については、そこそこで良いとか、失敗があっても良いと思っている人などいません。お客様の想いは本当に強く、プランナーも目の前にいらっしゃるお二人のためにどこまで本気になれるか、応じられる力があるかが問われます。会場を見学にいらっしゃったお客様に、接客したプランナーが信頼して頂けないと、結婚式を任せてはもらえません。

株式会社ポジティブドリームパーソンズ坂本真紀氏

佐々木 : 大切な役割を果たすプランナー育成のために、これまでどのような取組みをされてきましたか。

坂本 : PDPは自らを「感動で満ちあふれる日本を創ってゆく」企業だと定義しています。この感動を偶然ではなく必然として創りだすために、「感動の技術化」に取り組んできました。

まず目標について、「感動度」を「利益」と同様に重視しています。「感動度」とは、お客様に提供した感動の総量を、当社独自のサーベイとアルゴリズムで数字化したものです。そして入社した新人がお客様の前に立てるようになるまでは、一対一でトレーナーがついて育成します。その際に参照・活用できる台本はとても充実しています。さらにOJTにおいて、ロールプレイを週に何回行うこととの定めもありました。

佐々木 : ホームページや過去の記事をみても、「感動の技術化コンテスト」を開かれたり、社内カレッジを整えたりと人材育成に大変真剣に取り組んでいる様子が伺えます。その上で、どのような課題がありましたか。リフレクトルの導入は課題解決にどうつながりましたか。

坂本 : 重要な課題は、育成の質量がトレーナーの属人性に大きく左右されていたことでした。これまでPDPでは各会場で最も好成績の人をトレーナーに任命していました。これはPDPが人材育成を重視してきたことの表れでもあります。しかし今回リフレクトルを導入し、指導内容が見える化されたことによる発見は、プレーヤーとしての優秀さと、指導者としての優秀さは必ずしも一致しないことです。

これまでも薄々感じてはいましたが、ロールプレイの実施状況と内容、フィードバックの中身が見られるようになったことで、事実として確認できました。この事実を目の当たりにして、指導を受けた人と、その後の成績の関係性を調べました。すると指導を受けた人により、その後の成績に大きな差が出ていると分かりました。

これまで、新人が一年経っても結果が出るようにならないと、その人には適性が無いとして別の仕事に配置転換することがありました。しかしこれは誤りで、トレーナーの責任である部分が大きかったのです。PDPが企業として手を打つべき先は、新人ではなくトレーナーでした。

佐々木 : 具体的にトレーナーによりどのような差がありましたか。

坂本 : まずリフレクトル導入前は、チーム間でロールプレイの実施度合に極端な差がありました。PDPでは、ロールプレイを週に何回何時間やることと規定しています。予めスケジュールの中に組み込まれているはずです。しかし「トレーナーが忙しくて時間が取れない」ことが理由で、殆ど実施していないチームもありました。

トレーナーの側は、「それでも教わる側から依頼してくるべき」と捉えていました。しかし新人の側からすると、とても忙しそうにしている先輩に、一定の時間を使ってもらうロールプレイの依頼はし難いものです。チームとしてディシプリンをもたなければ、着実な遂行は難しいでしょう。一方、しっかりと実施しているチームでは、チームとして、新人がお客様の前に出られるデビュー日のゴールを定め、逆算したいつまでに何ができるべきかのステップを着実に登るために、ロールプレイを実施していました。

またリフレクトルで可視化されたロールプレイとフィードバックの内容を見てもトレーナーにより大きな差がありました。例えばPDPでは台本が充実していますが、トレーナーによっては暗記がゴールの指導をしていました。

「地上215メートルでなくて221メートルだよ」のような枝葉末節なフィードバックに終始しているなどです。しかし、トレーナーがフィードバックするべきは、その台本の内容を伝えることでお客様の感情がどう動くか、です。「この景色はそこにあることが凄いのではなくて、景色がお客様の描いている結婚式に相応しい演出を加えてくれるから凄いのに、今のだと景色をさらっと説明しただけなので伝わらないよ。」などと伝えられて、はじめてトレーニングを受ける側の接客力の向上につながります。

こうしたチームは一生懸命取り組んでいるからこそ、時間ばかりが費やされて結果が出ないことに、気持ちが萎えていました。

現在はロールプレイを行う際、できるかぎり実施直後にリフレクトルで指摘場面を振り返り、その場でフィードバック内容を入力するルールにしています。そのことにより、適切なフィードバックが行われているかをリモート環境でも見てとれ、あるべきフィードバックの仕方を伝えられています。

なお、ロールプレイの相手をするのは若手同士でも良く、そのレコードを質の高いフィードバックできる人が見ることが大切です。

佐々木: PDPではリフレクトルの導入に2016年10月から着手し、2016年12月から全国展開されていらっしゃいます。導入はどのようなステップで進められましたか。またその際の成功のポイント、苦労した点などを教えて頂けますか。

坂本:まず2016年10月から約2か月間、ブリコルールの支援も受けながら、あるべきPDPの接客の姿を整理し、「評価基準」を策定しました。ウェディングの接客に「正解」はないものです。これまでも、プランナー個人の魅力でお客様の支持を得られている人を「パーソナル型」、論理的に分かりやすい説明により支持を得られている人と「シナリオ型」と呼んできて、異なる姿が両立していると認識してきました。今回の取組みを始めるにあたり、二人のハイパフォーマーの接客内容をプロジェクトメンバーで聞きましたが、やはり大きく異なる。

しかしそうした中にも共通項がありました。パーソナル、シナリオと自由演技の接客の姿を模索する以前に、押さえておくべき基本の型がある。これを「評価基準」としてまとめました。これまでは「パーソナルを目指してこうするべき」「シナリオを目指してこうするべき」と、同じ接客でもトレーナー自身の属性により指摘内容がぶれていました。評価基準を定めて以後は、特に新人に対しては指摘するべきことが明確になりました。

続いて、12月中旬に全国のプランナーを集めたキックオフを開催しました。まず評価基準を含むPDPのあるべき接客の姿を伝えました。その後、リフレクトルについて、口頭で説明するだけでなく、全員が自分の携帯にインストールして、実際に使うようにしたため、とてもスムースに浸透できたと思います。目新しさもあり、翌週から数多くのロールプレイ・レコードがアップされている様子をクラウドで確認できました。

一方で、評価基準を活用しながらフィードバックをしっかりと入力すべきことについては、より強調しておけば良かったと思っています。当日もフィードバックの模範例入力済みのレコードを作成して説明しましたが、実際に運用が始まって、やはり一番大切なことだと感じています。

全国キックオフ(東日本編)当日の様子1

全国キックオフ(東日本編)当日の様子2

佐々木:取組み継続のポイントと、成果について教えて頂けますか。

坂本:キックオフからひと月くらいして、飽きもあってか使用率の落ちた時期がありました。そこで、人ごとにロールプレイをレコードする回数を定めたり、各会場のトップであるゼネラルマネージャー(GM)やトレーナーの理解を得られるよう、働きかけをしました。

取り組みが継続し、成果につながる最も重要なポイントは、指導側、特にトップであるGMの理解とマネージメントだと感じています。本取組みでは評価基準を作る際に、九州地区より2名がプロジェクトメンバーとして参画しました。この2名は全国キックオフの後、地元である九州地区のGMに重点的に働きかけ、理解を得ました。GMが積極的になったこれらの会場では、一週間のトレーニングスケジュールをきちんと組み、リフレクトルを活用したトレーニングが数多く行われ、そして成果につながっています。

成約率を2016年11月~2017年1月と2017年2月~4月でbefore/after比較すると、「ザ マーカススクエア福岡」では重点対象若手3名の平均成約率が21%から41%に向上し、「ザ マーカススクエア長崎」では重点対象若手2名の平均成約率が37%から57%に向上しました。なお、福岡のチームは成績の振るわない週があっても翌週にはすぐに戻るようになったのですが、理由は接客内容の確認と課題の特定をし易くなったためと聞いています。

またプロジェクトメンバーのチームにいた、全国で最も多くのレコードをリフレクトルにあげている人は、22%が50%になり、全体朝礼でも取り上げられました。彼は他会場に応援に行った時にも成果を出し、先日九州から異動してきた東京でも4打席中3打席でご成約頂いています。

通常、特に新人は会場が変わると成果が出せなくなることも多いのですが、彼が出せていることは、基本の型を評価基準とリフレクトルでのトレーニングを通じてしっかりとおさえられたからでしょう。

「ちゃんとやれば結果がでる」と分かったことは、私にとっても自信になりました。福岡や長崎の会場を引き合いに、他の会場のGMへも働きかけられるようになりました。

佐々木:人を育てることについて、坂本さんが大切にされていることをお話し頂けますか。

坂本:育成は、教わる人の仕事人生を左右するものです。トレーナーを務める人には、自らの接し方が相手を良くも悪くも変えてしまう可能性がある自覚を持って取り組んで欲しいと思います。自分が過去にこのように取り組んで上手くいった、と語ることに終始してはならず、教わる人の未来にどうつながるかを考えることが大切です。

最近、スキルをただ伝えるだけでは人は育たないとも痛感しています。例えば私は自らが営業接客を担ってきたのですが、この経験を通じて学ぶ側の気持ちが分かることは、トレーナーとして大切だと感じています。実際の接客では、お客様のお気持ち次第で結果につながらないことがあります。それをスキルが原因と指摘されると、正論や客観的情報が含まれていても、言われるほど受け入れられなくなることがあります。そうした気持ちも分かったうえで向かい合う必要があります。

先ほど、本取組みまでPDPでは各会場で最も好成績を収めた人がトレーナーを務めていたとお伝えしましたが、これまではトレーニングシャワーとでも言いますか、成績の良い人のやり方を浴びてもらい、それを吸収できた人が伸びていく形をとってきたと思います。しかし組織の規模が大きくなり、多様な人材を迎え入れるようになると、それでは上手くいかないことも多い。そうした折に、一人一人の現状をフラットに見てフィードバックする仕組みができたことは、とても健全だと感じています。

振り返ると、私がPDPに入社したのは、冒頭でもお伝えしたお客様の最良の日を一緒につくりあげたい想いからですが、最近スキルや数字にかなり意識が寄っていることに気づきました。それは想いを届けるには、スキルや資本がないと届けられないし、実際に自分が届けられた価値を数字が示していることを感じているためです。感動と売上げ。一見すると相反する2つをいかに調和できるか。自分の中でももっと消化したいテーマですし、新しくプランナーになる人たちにも伝えていきたいと思っています。

取り組みを支援しているブリコルール小野寺友子氏による解説

坂本さんもインタビューで言及されていましたが、PDPはリフレクトルという新しい仕組みの導入にあたって、人材育成・組織開発コンサルティング会社のブリコルールの支援***も活用しています。

ご担当された小野寺友子氏に、プロフェッショナルとしてのご考察を頂きました。以下の記事は小野寺氏へのインタビュー内容をまとめたものです。

*** ブリコルールはリフレクトルを活用した人材育成の知見を「スマートロープレ」というサービスにまとめて提供しています。

ブリコルール小野寺友子氏

今回のPDPの取組みを見るポイントは3つあると捉えています。

  • 第1にロールプレイとフィードバックの内容・質を見ること
  • 第2にスキルのレベル分けをして取り組むこと
  • 最後に会場トップであるGMの巻き込みと拠点ごとに旗振り役を作ること

です。

第1の「ロールプレイとフィードバックの中身を見ること」ですが、当初、PDPがリフレクトルの導入を検討した理由は「これでロールプレイの実施を徹底できる」と、行動量の可視化を評価したことが大きいと思います。

ロールプレイの内容や質への関心はあまり高くありませんでした。しかしそれではPDPが大切にしている「感動を創造し提供する」というビジョンと、足元の行動量のマネージメントの間がつながらないと感じました。元々お客様と一対一で応対するウェディングセールスのお仕事では、接客内容がブラックボックス化し易いものです。

そこで現場で起きていることを具体的に知るために、私も第三者として様々なプランナーの接客を受けさせてもらいました。まず感じたのはハイパフォーマーとローパフォーマーの接客内容、特にお客様との最初のやりとり、つまりカウンセリング時における大きな差でした。ハイパフォーマーは自分らしさを発揮しながらも、カウンセリング後に得たい情報、目的は共通していたことです。そして3つに集約されていました。

例えば過去の結婚式への参列経験はよく聴くことですが、それはお二人の「結婚式のテーマ」を把握するという目的のためでした。このようにハイパフォーマーが無意識に実施してきたことを言語化し”型“化したこと、さらにゴールすなわち「何のために」をシンプルに整理できたことで、育成対象者により効果的なフィードバックができるようになりました。

この内容を評価基準としてリフレクトルに入れ込み、フィードバックする機能と組み合わせたことで、これまでの「なんかいい感じだった」「私だったら成約するなぁ」といった感覚的なフィードバックが行われがちだった現状にメスを入れられました。

第2の「レベル分け/階層分けをして取り組む」ことについて。既述の通りプランナーにより大きな差がある状況において、全員が同じトレーニングをすることは理に適いません。

力量の伴わない新人のうちは基本の型に沿った規定演技をする、ある程度力量が着いてからは自由演技をすると同時に規定演技を他の人に教えられるようになる、と定めました。基本の型は、お客様に聞くべき内容に加え、その順番までを定義しています。

これまで、新人は上司やハイパフォーマーのやり方を真似することで接客力向上に取り組んでいましたが、表面だけの真似になりがちで、成果にはつながりにくい現実がありました。基本の型によりおさえるべきポイントが明確になり、成果につながるようになりました。

今回、一つ失敗し後に修正したことは、規定演技をミドルパフォーマーにも求めたことです。この層では基本の型はほぼおさえており、どう自由演技に脱皮するかを模索していました。

そこに基本の型の徹底を求めたことで、一時的に成績を落とす人もでました。そのため、後にこの層は規定演技の対象からは外し、別のトレーニング体系を構築しました。一人一人の成長段階を見極めながら、トレーニング内容を定めることはとても大切です。

第3の「会場トップであるGMの巻き込みと身近なところに旗振り役を作ること」については、坂本さんがインタビューのなかで十分に説明してくださっています。本来は、当初からGMへの説明や巻き込みにもっと力を入れ、また全国各地の拠点に旗振り役がいる状態になるよう、プロジェクトの体制を組めていることが理想的でした。2017年5月からGMを対象にした活動がスタートします。

最後に。世の中を見渡すと、自社がお客様との接点で提供している価値を見極めないまま、やみくもに営業力向上、成績向上の旗を振っている会社が散見されます。しかし自社の提供価値と、その提供方法を整理しないままにトレーニングを繰り返しても、成果にはつながりません。

ハイパフォーマーとローパフォーマーが混在していれば、そこには何らかのコツが眠っているはずです。そのコツが可視化・型化され、それに基づいたトレーニングとフィードバックが積まれれば、届けたい商品・サービスを、必要としているより多くの人々に適切に届けられます。

リフレクトルのようなICTツールを活用すると、多店舗・他地域に事業展開していても、その型を体現するハイパフォーマーの接客内容をいつでも手軽に見ることができ、意義あるトレーニングを実現できる機会は広がっています。そうしたトレーニングを多くの方に重ねて頂きたいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

佐々木文平

東京大学経済学部を卒業後、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立。 現在Co-Growth株式会社代表取締役社長。同社はテクノロジーを活用した人材・組織開発の新しい形・仕組みづくりに取り組んでいる。特に重点を置いている人材・組織開発の分野は、「実践とフィードバックを通じた育成」、および「ビジネスコミュニケーション力 (プレゼンテーション力や商談力、面談力、リーダーによるメッセージ発信など)」