「新学習指導要領」の外国語教育方針に、保護者の約4割が賛成。教師は異論

ジャストシステムが提供する、タブレットで学ぶ通信教育「スマイルゼミ」では、2017年3月末に文部科学省より告示される「新学習指導要領」に関して意識調査を、2017 年3 月14 日から20 日にかけて実施し、その調査結果を公表した。

調査対象は、公立小学校でクラス担任をしている教師250 名と、今年4月に小学1 ~ 4 年生になる児童の保護者1,116 名。以下の記事でポイントをまとめているが、この記事では詳細結果をまとめている。

新学習指導要領、保護者の最大の懸念は「教師の英語力」。対して、外国語授業実践に、75.2%の教師は「自信がない」

2017.03.29

保護者の最大懸念は「教師の英語力」。一方、教師の75.2%が外国語授業に「自信ない」

今回の「新学習指導要領」の改訂で、小学校での外国語学習が大きく変わることへの最大の懸念点として、保護者が最も多く挙げたのは「英語を教える教師の英語力」( 41.3 %)。次いで、「これまで英語を習ってきた児童と、学んでこなかった児童の学力差」( 33.0 %)、「授業数、学習量が増えることによる児童への負担」( 30.7 %)※1 。一方、現在、クラス担任をしていて、「将来、外国語の授業をする可能性がある」と答えた教師のうち、「新学習指導要領」で求められる外国語授業の実践に「自信がある」と答えた教師は24.8%。対して、「自信がない」と答えた教師は 75.2%※2 。
※ 1 複数回答あり。
※ 2 「自信がある」は「かなりある」( 2.7 %)と「そこそこある」( 22.1 %)、「自信がない」は「まったくない」( 29.7 %)と「あまりない」( 45.5 %)の合計。

最も多い教師の英語力は、「初歩的な単語やフレーズを言える」

教師に英語力をたずねたところ、最も多かった答えは「初歩的な単語やフレーズを言える」( 35.6 %)。次に「単語や定型句を並べてコミュニケーションがとれる」( 27.5 %)、「自信がない」( 20.7%)。一方、「日常会話はできる」は11.3 %、「おおよその自分の考えを伝え、相手の考えも要点は把握できる」は3.6 %、「自分の考えを明確に伝え、相手の考えも正確に理解できる」は1.4 %。日常会話以上の英語力を有する教師の割合は、全体の16.3 %だった。

教師の英検合格は「3級」が最も多く、3割程度

最も多くの教師が取得している英検の級は、中学卒業レベルである「3 級」( 28.8 %)。「準2 級」は6.8 %、「2 級」は13.1 %、「準1 級」は1.4 %、「1 級」は0.5 %でした。「3 級」以下の英検取得者の割合を合計すると、41.9 %。なお、未取得者は36.5 %。

※ 英検以外の英語資格を保有している場合は、その資格を英検合格レベルに換算して回答。また、複数の英語資格を保有している場合は、一番英語力が高いことを示す資格で回答。

保護者の2割以上が、小学校卒業までに「英検5級から3級を取得させたい」

小学校卒業時までに児童に取得させたい英検の級を聞いたところ、「取得は考えていない」( 45.0%)、「特に目標は定めていないが、資格を習得させたい」( 23.0 %)と答える保護者が多いことが分かった。一方、中学卒業程度である「英検3 級」を挙げた保護者は10.5 %で、「英検3 級から英検5 級(中学初級レベル)」の取得を目指したいと答えた保護者の割合を合計すると20.8 %。「英検準2 級」以上と答えた保護者は11.1 %。

※ 英検以外の英語資格を考えている場合は、その資格を英検合格レベルに換算して回答。

「新学習指導要領」の外国語教育方針に、保護者の約4割が賛成。教師は異論

2020 年度から3 ~ 4 年生に「外国語活動が前倒し」、5 ~ 6 年生は「外国語が教科化」することについて、児童の教育面からの考えを保護者に聞いたところ、「外国語(英語)は年齢が小さいときから取り組んだほうがよいので、今回の改訂はよいこと」( 41.1 %)と答えた保護者が最も多いという結果になった。

一方、教師で最も多かった答えは「現行のまま( 5 ~ 6 年生での外国語活動)の方がよい」( 35.1 %)で、次いで「外国語よりも自国語の教育を充実させた方がよい」( 33.3 %)だった。

5~6年生の「外国語の教科化」に、保護者の約6割が賛成、教師の約6割が反対

2020 年度からの5 ~ 6 年生に対する「外国語の教科化」(成績がつく)方針に賛成する保護者は55.8 %、教師は20.8 %。反対する保護者は9.2 %、教師は62.1 %だった。

3~4年生の「外国語活動の必修化」に、保護者の約6割が賛成、教師の約6割が反対

2020 年度からの3 ~ 4 年生に対する「外国語活動の前倒し」(必修化)方針に賛成する保護者は60.0 %、教師は25.2 %。反対する保護者は10.4 %、教師は58.1 %だった。

ほぼすべての教師が、改訂内容は「教師への負荷が高い」

「新学習指導要領」改訂により、学習量・授業数ともに増え、「児童、教師ともに負荷が高い」と答えた教師は64.0 %だった。

「教師への負荷が高い」と答えた教師31.5 %と合計すると、95.5 %の教師が、今回の「新学習指導要領」改訂は「教師にとって負荷が高い」と回答した。

教師に最も負荷が高い改訂内容は、「外国語学習の早期化・充実化」

教師に、今回の「新学習指導要領」改訂の中で、最も負荷が高い改訂内容についてたずねたところ、「3 ~ 4 年生に外国語活動が前倒し、5 ~ 6 年生は外国語が教科化」を挙げる教師が最も多く、34.9 %でした。次いで、「道徳が特別の教科化」( 30.2 %)、「プログラミング教育の必修化」( 12.3 %)でした。

外国語授業の実践にあたり、教師の最大の不安は「正しい(ネイティブに近い)発音」

外国語授業を行うにあたって、教師が自身の英語力で最も不安に思う点は「正しい発音、できればネイティブに近い発音で話すことができるか[発音]」( 55.0 %)だった。次いで、「児童にどう表現するのか聞かれた際に、英文を瞬時に作成できるか[文法力]」( 54.5 %)、「突然、児童に聞かれたときに英単語や慣用句がわかるか[語彙力]」( 49.1 %)。

教師が最も望む、外国語授業の対策は、「英語専任教師の配置」

今回の「新学習指導要領」改訂により、外国語授業が必修化するにあたって、教師が小学校や教育委員会に要望する対策は「自分で授業をしなくてよいように、英語専任教師の配置」( 53.6%)。

次いで、「一緒に授業をするALT ( Assistant Language ※3 Teacher )の増員」( 53.2%)、「すぐに授業づくりに役立つ教材などの提供」( 44.1 %)だった※3 。

最も望む対策として1 つだけ選択してもらった場合でも、「自分で授業をしなくてよいように、英語専任教師の配置」( 41.3 %)が圧倒的に多いという結果になった。
※ 3 複数回答あり。

外国語授業の時間確保の最善策は、「ユニット授業」「教科横断型の授業」

今後、3 ~ 4 年生で外国語活動が35 コマ、5 ~ 6 年生で外国語授業が70 コマと授業時間数が増えるにあたって、授業時間確保のための施策として、教師から最も賛同を得たのは「1 コマ45 分を細切れにして、朝学習などの短時間学習で取り組む(ユニット授業)」( 47.7 %)だった。次いで、「教科横断型の授業(総合の授業に、英語を採り入れるなど)」( 42.8 %)、「通常のコマの中に入れ込む(平日、5 時間のコマを6 時間にするなど)」( 24.3 %)が続いた。
一方、「夏休みなどの長期休暇中に、通学日を設定する」「土曜日など、これまで休みの日だったところを、通学日にする」はそれぞれ、9.5 %でした。
※複数回答あり。

小学校卒業までに児童に習得させたい英語力は、教師よりも保護者の目標が高い

小学校卒業までに児童に身につけさせたい英語力は「初歩的な単語やフレーズを覚え、言える」(保護者26.5 %、教師31.1 %)、「単語や定型句を並べてコミュニケーションがとれる」(保護者25.9 %、教師32.0 %)レベルを挙げる保護者が5 割強、教師が6 割強。

「おおよその自分の考えを伝え、相手の考えも要点は把握できる」(保護者9.9 %、教師3.6%)、「自分の考えを明確に伝え、相手の考えも正確に把握できる」(保護者6.6 %、教師0.5 %)を合計すると、保護者は16.5 %、教師は4.1 %と、保護者は教師に比べ、より高い英語力の習得を望む傾向にある。

一方、「小学校卒業時までに英語力は身につけなくてよい」と回答した教師は16.2 %で、保護者( 12.4 %)よりも若干多いことが分かった。

小学校で最も注力すべき学習は、教師も保護者も「ネイティブな発音にたくさん触れる」

今後、小学校で最も注力すべき外国語学習として、保護者、教師ともに「ネイティブな発音にたくさん触れ、聞き取る学習」を挙げる人が最も多いという結果になった(保護者49.4 %、教師55.4 %)。次に多かったのは、保護者、教師ともに「日常の基本的な英語表現を使ってやりとりをする」(保護者40.2 %、教師49.5 %)、「英語で、自己紹介や簡単な説明を行う」(保護者28.4%、教師33.3 %)。小学校で注力すべき外国語学習については、保護者、教師ともに一致していた。
※複数回答あり。

保護者の18.4%、教師の15.8%が「将来、児童は英語が当たり前の社会で生きていく」

将来、児童が住む環境では身の回りに日本語以外を母国語とする人がいたり、海外出張に行ったりすることが当たり前になっていると思うかを聞いたところ、保護者の18.4 %、教師の15.8 %が「当たり前になると思う」と回答した。

逆に、「可能性としては低い」と答えた保護者は25.2 %、教師は 17.6 %だった※。保護者の 4人に1 人は、子どもが将来、生きていく社会でも英語はそれほど身近な存在にはならないと思っている。

※「どちらかというと可能性としては低いと思う」(保護者13.8 %、教師10.8 %)、「可能性は限りなく低いと思う」(保護者11.4 %、教師6.8 %)の合計。

学習指導要領改訂案が公表。英語の学習時間増、情報(プログラミング)の設置など、改訂の内容や背景は?

2017.02.15