学習指導要領改訂案が公表。英語の学習時間増、情報(プログラミング)の設置など、改訂の内容や背景は?

文部科学省は、2月14日、約10年ぶりに改訂となる、小中学校の新学習指導要領案、幼稚園の教育要領案を公表した。

学習指導要領改訂の方向性

学習指導要領改訂の方向性は、下記6点の枠組みで考えられており、それぞれの枠組みにそって具体的な改定案を策定している。

  1. 「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)
    • 学びを人生や社会に生かそうとする 学びに向かう力・人間性の涵養
    • 生きて働く知識・技能の習得
    • 未知の状況にも対応できる 思考力・判断力・表現力等の育成
  2. 「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程 の編成)
    • (学習内容の削減は行わないことを前提に)新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた 教科・科目等の新設や目標・内容の見直し
      • 小学校の外国語教育の教科化
      • 高校の新科目「公共」の新設
      •  情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む「情報Ⅰ」を設定
  3. 「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実)
    • 主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ ラーニング」)の視点からの学習過程の改善
  4. 「子供一人一人の発達をどのように支援するか」(子供の発達を踏まえた指導)
  5. 「何が身に付いたか」(学習評価の充実)
  6. 「実施するために何が必要か」(学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策)

文部科学省が公開している、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の 学習指導要領等の改善及び必要な方策等について 第2章」では、下記のように、指導要領改訂の背景について情報化やグローバル化、さらには進化した人口知能についても言及し、そのうえでどのように子供たちに成長してもらうのが重要かをまとめている。

(予測困難な時代に、一人一人が未来の創り手となる)

・ 21世紀の社会は知識基盤社会であり、こうした社会認識は今後も継承されていくものであるが、近年、情報化やグローバル化といった社会的変化が、人間の予測を超えて加速度的に進展するようになってきている。とりわけ第4次産業革命ともいわれる、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来が、社会や生活を大きく変えていくとの予測がなされている。

・ 社会の変化は加速度を増し、複雑で予測困難となってきており、どのような職業や人生を選択するかにかかわらず、全ての子供たちの生き方に影響するものとなっている。このような時代だからこそ、子供たちは、変化を前向きに受け止め、社会や人生を、人間ならではの感性を働かせてより豊かなものにしていくことが期待される。

・ いかに進化した人工知能でも、それが行っているのは与えられた目的の中での処理であるが、 人間は、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生 をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え出すことができる。このために必要な力を 成長の中で育んでいるのが、人間の学習である。

・ 子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにすることが重要である。

小3から英語活動を開始し、小5から英語が正式教科に

改訂の具体的な内容で注目されているのが、小学校3年生から導入される外国語活動、小学校5年生から導入される外国語の授業だ。

それぞれ授業時間は年間で35、70と設定されている。小学校では600−700語程度の語彙力をつけることを目安にしている。

現行の小学校での外国語学習の目標は、「「聞く」「話す」を中心としたコミュニケーション能力の素地を養う」とされているが、改定案では、目標の例として、「馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや、家族、一日の生活 などについて、友達に質問したり質問に答えたりできるようにする」とより具体的なものを設定している。

また、授業時間に関しても、短時間学習や、45分に15分を加えた60分授業の設定など柔軟な時間割設定を可能にするとしている。

小学校の授業時数改訂案

学習指導要領改訂のスケジュール

学習指導要領の改訂は上記のスケジュールイメージで行われる。幼稚園から順次、全面実施される。小中学校では2018年から先行実施がおこなわれる。

文部科学省は、新指導要領と幼稚園の新教育要領の案について3月15日まで意見公募(パブリックコメント)を募集し、3月末に告示する予定となっている。

参考資料