STEAM教育とは何か?プログラミングや理数系分野の教育が注目されている背景は?

この記事では、最近注目されているSTEAM教育という教育方針についてまとめています。STEAM教育とはどんな意味で、何を指す言葉なのか?注目されている背景、理由はなんなのか?

さらに、STEAM教育の浸透に伴って増えているSTEAM教育関連サービス(主にプログラミング)をまとめています。

STEAM教育とは何か?

STEAMはScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとったものです。

科学、数学、芸術領域に力を入れる教育方針、教育方法のことです。元々はアメリカの国家戦略として理数系人材の教育に力を入れる動きが盛んになり注目されました。

オバマ大統領が、演説で優先課題として取り上げたことで広まったと言われています。

こういった理数系の科目や芸術領域に力を入れることで、国家も国際的に競争力を維持でき、将来的に活躍できる人材を育てられると言われています。

この中で、オバマ大統領は、ビデオゲームを買うだけでなく、アプリで遊ぶだけでなく、それを作り出せるようになろうということを述べています。

特に注力されている団体が、コンピューターサイエンスの分野で人材の育成を目的に設立されたCode.orgです。

Microsoft創業者のビル・ゲイツやFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグなど多くの著名人が賛同し、そのムーブメントは世界中に広がっています。世界中でコンピューターサイエンスを広げるためのワークショップ、指導者育成に取り組んでいます。※日本でも活動が行われています。

STEAM教育が注目される背景は?

では、なぜ今STEAM教育が注目されているのでしょうか。

STEAM教育が注目される背景には、テクノロジーの進化に伴う社会の変化があります。

スマホ、タブレットなどのデバイスの進化、IoT(Internet of Things)、AI(人口知能)など技術によって大きく社会の仕組みが変わっていますし、これからも大きく変わっていくでしょう。

社会に大きな変化が起こる中で、その変化を享受するだけでなく、その変化を生み出せる人材の必要性が大きくなっています。

全世界でエンジニア(理数系人材)やデザイナー(芸術面に強い人材)は不足しており、STEAM教育によって理数系、芸術系分野に強い人材を多く育成しようという機運が非常に盛り上がっています。

野村総研は、将来的に日本の労働人口の49%の職業がAI(人口知能)にとって変わられるとの調査を発表しました。こういったAI(人口知能)が発達する世の中で、人間にしかできない領域として注目されているのが、STEAM教育といえます。

ビジネスパーソンの方であれば、ダニエルピンク氏が書いた、「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」を思い出す方もいるかもしれません。

アメリカのジャーナリスト、ダニエル・ピンク氏は、「グローバリゼーションの進化」「アジア各国の台頭」「オートメーション化の進展」により、「左脳主導思考」から「右脳主導思考」に変化することが必要だと著書の中で述べています。

右脳思考には、以下2つの能力が必要となるとしています。

一つ目が「ハイ・コンセプト」という能力。パターンやチャンスを見出す能力、芸術的で感情に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて、何か新しい構想や概念を生み出す能力。

二つ目は、「ハイ・タッチ」という能力。他人と共感する能力、人間関係の機微を感じる能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などのこと。

こう見ると理数系能力は一見重要ではないようですが、コンセプトを立案する上で理数系の力は非常に重要でパターンやチャンスを見出す力や、ばらばらな概念を組み合わせ、新しい構想を生み出す力は、理数系の能力が非常に重要です。

また感情に訴える能力としての芸術的要素も非常に重要で、「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」は2006年に出版されている本ですが、時代の動きを察知していたといえるでしょう。

日本でもプログラミング学習、ものづくりなどのSTEAM関連の教育サービスが多く登場

日本でもSTEAM教育を取り入れようという動きは広がっており、文部科学省は2015年6月に小学校段階におけるプログラミング教育のあり方について発表を行い、以下のような内容を公表しています。

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むこと

2020年に公教育にプログラミング教育が導入されるにあたって、その目的や背景が整理されています。

参考:小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

また、こういった公教育の動きに先駆けて、民間では多くのプログラミングやものづくりを教えるスクール、サービスが多く生まれており注目を集めています。その一部を紹介します。

 

子供向けプログラミング・ものづくりスクール

いわゆる教室に通学し、プログラミングやものづくりを学習するサービスです。スクラッチなどを用い、プログラミングの体験を行っている場合が多いです。

 

STAR Programming SCHOOL (スタープログラミングスクール)

小中高生向けのプログラミングスクールです。イトーヨーカドーやイオンなどショッピングセンター内の教室が多く通いやすい立地にあります。

 

LITALICOワンダー(りたりこワンダー)

子ども・小学生向けのITとものづくり教室です。プログラミングやロボット製作、デジタルファブリケーションなど、子どもが好きなものに没頭することができます。

LITALICOが運営する、IT×ものづくりの教室「Qremo」とは?

2016.02.23

 

TENTO(テント)

TENTOは、2011年に設立。TENTOはものをつくる喜びを知り、自分がつくったものを発表し、人を楽しませる、人に喜んでもらうことを知ることを目的としています。「ビスケット」や「スクラッチ」などのビジュアルプログラミング言語からはじめ、徐々に一般的な言語も使えるようになることを目指します。

 

STEMON(ステモン)

STEMONは、幼児・小学生向けのSTEM教育専門スクール。エンジニアリング、プログラミング、算数・数学、科学など理数ITを体験を通して学び、知識獲得にとどまらず、知識を活用して”創る力”と”表現する力”を身につけることを目指すスクール。

Crefus(クレファス)

Crefus(クレファス)は、「Create × Future × Science」の略です。ロボット教材を使った学習で、子どもたちがワクワクするようなロボット製作を通して、世界に通じる理数系に強い子どもを育てるスクールです。

 

ワークショップ、キャンプ形式

期間限定でワークショップ形式で開催されるプログラミング学習です。一定期間に集中的に学ぶことが出来ます。お試しでプログラミングを体験出来る場合も多いので、試しに参加してみるというのも良いのではないでしょうか。

 

Life is Tech!(ライフイズテック)

Life is Tech!(ライフイズテック)は、中学生、高校生のためのプログラミング・ITキャンプです。iPhone・Androidアプリ・ゲーム開発、プログラミング、デザインなどのIT技術を学ぶことで中高生の創造する技術を育成することを目指しています。

 

Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)

「Tech Kids CAMP(テックキッズキャンプ)」は小学生のための短期集中型プログラミングワークショップ。「Minecraft(マインクラフト)」の世界でプログラミングを体験する「マイクラプログラミング講座」と学習用プログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」でゲームを開発する「Scratchゲーム開発講座」の2種類からコースを選択します。

NPO法人CANVAS

NPO法人CANVAS(キャンバス)は、こどもたちの創造・表現力をテーマにしたワークショップ・イベント、セミナーを多数、企画・開催しています。プログラミング体験や、プログラミングを指導する人材の育成のためのイベントなども開催しています。

 

オンライン学習サービス

オンラインで学習出来るサービスです。近くにプログラミングスクールやワークショップの開催がない方、時間の都合をあわせるのが難しい方、そういった場に出かけるのが手間だという方には非常によいのではないでしょうか。導入はほとんどのサービスが無料です。

Code Monkey (コードモンキー)

CodeMonkey(コードモンキー)は子供から大人まで楽しめるプログラミング学習ゲーム。最初の30ステージまでを無料で試すことが出来ます。世界中で330万人の利用者がいます。

MOZER(マザー)

「MOZER(マザー)」は、Life is Tech!(ライフイズテック)が運営するオンラインのプログラミング学習サービス。今後はSNSとしてサービスを開発し、プログラミング学習がオンラインで継続出来るサービスを目指す。

ライフイズテック、プログラミング教育のSNS「MOZER」をリリース! 体験版カリキュラム配信開始!今後は「進撃の巨人」とのコラボも

2016.06.15

TECH ACADEMY ジュニア

TechAcademy ジュニアは、中高生に向けたWebサービスやスマートフォンアプリを自分で開発できるようになるオンラインスクール。オンラインでのパーソナルメンターが付き、学習のサポートを行っている。

キラメックス、 オンライン学習に特化した中学生・高校生向けプログラミングスクール 「TechAcademyジュニア」を開校

2016.11.08

アプリ

Webではなくアプリでプログラミングを学習出来るサービスも登場しています。スマホやタブレットの学習のほうが関心を示しやすいといった場合はこちらを利用されても良いかもしれません。

Springin’(スプリンギン)

Springin’(スプリンギン)は、自分で描いた絵に、性格や能力、関係性をアイコンで与えていくだけで思い通りのデジタル作品が創りだせる、画期的なクリエイティブツール。

しくみデザイン、プログラミング教育アプリ「Springin'(スプリンギン)」を全世界 155ヶ国同時配信

2017.01.26

lightbot

ブロックに指示を与えてゴールまで誘導するゲームで、プログラミングの考えかたを学ぶことができるアプリです。4−8歳までが対象のものと9歳以上を対象にしているものがあります。

STEAM教育推進における課題

これからSTEAM分野が重要になることはまちがいありませんが、そのSTEAM教育を推進するにあたって課題となることはなんでしょうか。

それは教えられる人材の数が十分でないことです。

プログラミング教育に関しては、義務教育に組み込まれることが決まり運営が推進していますが、教員をどのようにするのかという課題も注目されています。STEAM関連の知識は進歩も早く、新しい分野のため、教え手にふさわしい技術力や指導力を持った人材は不足します。

オンラインプログラミング学習サービスを提供するプロゲートはアカデミックプランを提供し学校向け限定無料プランを提供し、こうした課題を解決しようとしています。

Progateの学校向けプログラミング学習サービス、 約3ヶ月で全国10の高校に導入

2017.02.09

また、一般社団法人みんなのコードは、そういった指導ができる教員を育成すべく、全国でワークショップを行っています。以前にみんなのコードへのインタビューを行っていますので、活動に興味のある方はご覧ください。

プログラミング必修化へ向けて「先生・保護者ができること」 みんなのコード代表利根川氏インタビュー

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教員からエンジニアへ転身、教育現場を知る立場から見たプログラミング教育

2016.12.27

また、学校現場でこういった教育を推進する場合、ICT環境の整備も必要と言われています。デバイスはもちろん、ネットワーク環境も学習に大いに影響を及ぼすため、学校現場におけるICT環境の整備も重要な課題です。

課題はありますが、STEAM教育への注目はこれからも高まっていくでしょうし、関連したサービスも多く登場するでしょう。

参考:元マイクロソフト日本法人代表の成毛眞氏もSTEAM教育に関する本を出版しています。