生涯学習とは何か?注目される背景は?

この記事は、生涯学習とはどんな意味なのか?、どういう背景で注目されているのかという内容をまとめています。

生涯学習とは何か?文部科学省の定める意義は?

文部科学省は、平成18年版の文部科学白書において生涯学習について以下のように記載しています。

「生涯学習」という言葉は,一般には,人々が生涯に行うあらゆる学習,すなわち,学校教育,社会教育,文化活動,スポーツ活動,レクリエーション活動,ボランティア活動,企業内教育,趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられます。また,生涯学習社会を目指そうという考え方・理念自体を表していることもあります。

学校や場を選ばず学習出来るものは全て包含されるというような意味合いです。学習といってイメージのしやすい、学校での学習や資格取得といったものだけでなく、より広範な意味での「学習」を生涯学習の意味としています。

また、その期間も義務教育期間や高等教育での学習のみならず、社会人以降、生涯にわたって行われるものとしています。

教育基本法第3条においても、

「国民一人一人が,自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」

と規定されています。あらゆる機会、あらゆる場所において学習出来るという環境の整備が必要であること、またその学習の成果を適切に生かすことが出来る社会の実現の二つがないといけないとしています。

生涯学習が注目される背景・理由は?

生涯学習、注目されている背景には何があるのでしょうか。こちらも参考になる記載が、文部科学白書にあります。

新しい知識や技術の習得が必要

第一は,社会・経済の変化に対応するため,人々は絶えず新しい知識や技術の習得を迫られていることです。

これは生涯学習以外の文脈でも、よく言われることです。

現代では技術の進歩や変化が激しく、学習したことの陳腐化が早く、常に学習を行っていないと、雇用や給与の維持が難しくなっていると言われます。特にインターネット関連産業などでは動きが早く、スキルの陳腐化が非常に早い業界です。

アメリカのデューク大学の研究者キャシー・デビッドソン氏は、「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」という予測を発表して話題になりました。あくまでアメリカ国内での予測ですので、日本で全て同じことが当てはまるとは言えませんが、同様の動きは起こるでしょう。

義務教育や学校教育で学んだことの内容が古くなるスピードが早く、安定して職を得る、雇用されるには、常に学習し続ける必要が高まります。

また、最近ではAI(人口知能)の進化も話題になることが非常に多く、人間だから出来ることへの学習、スキルの習得の必要性が高まっているといえます。野村総研は、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」なるという調査結果を発表しています。

こうした動きに伴って、STEAM教育(Science,Technology,Engineering,Arts,Math)と言われる理数系の教育が注目されています。日本でも年代問わずプログラミング教育が盛んになっています。

学習し続けることが、変化の大きい現代の社会では重要と言えるでしょう。

参考:以下の本になぜ、STEAMが注目されるのかといった内容が詳しいです。

自由時間の増大

第二は,自由時間の増大などの社会の成熟化に伴い,心の豊かさや生きがいのための学習需要が増大していることです。

文部科学白書には上記のような記載もあります。

前述の第一の理由は、雇用や収入のため生涯学習を行う必要性が高まっているという内容でした。

こちらは、必要だから学ばければならないというよりも、学習することの楽しさ、面白さにフォーカスしています。日本は高齢化が進み、定年退職を迎えた方が増えていき、自由時間を得る方が増えていきます。また、直近では働き方も改革が行われるようになっており、余暇の時間や学習に当てられる時間は増えていくことが予想されます。

そういった自由時間の増大によって、必要だから学習を行うというスタイルではなく、学ぶことそのものが楽しい・面白いので学習をするといった機会も増えていくとしています。

ロンドン・ビジネススクール教授のリンダグラットン氏が書いた、LIFE SHIFT(ライフ・シフト)という本には、寿命は80年ではなく100年になり、健康寿命も伸びる。働く期間や学習する期間も伸びるという主張が書かれています。政治家の小泉進次郎氏が、「人生100年時代の社会保障へ」という提言を発表し、話題になりましたが、その提言のバックボーンとなっている本です。この本の中でも人生の時間の増加により、学習機会は増えていくと書かれています。

学習の評価が適切になることで学歴社会の弊害の是正にもつながる

第三は,生涯学習の基盤を整備し,学歴だけでなく様々な「学習の成果」が適切に評価される社会を築いていくことは,これまで進められてきている教育改革の課題の一つである学歴社会の弊害の是正にもつながるということです。

ご覧になって頂いているEdTech Mediaを運営する株式会社ファンオブライフは、転職エージェントと呼ばれる人材紹介事業を行っています。多くの企業の中途採用の支援をさせて頂いていますが、日本では大学(大学院)卒業後の学習に関して評価される土壌が整備されているとは言えません。

出身学校や企業名、企業でどういった経験を積んできたかが重要で、自主的に行った学習は、多くの場合評価されません。英語におけるTOEICなど、スクリーニング基準になる場合はあるものの、積極的に学習内容を評価しようという企業は稀です。

日本ではあまり存在感がありませんが、ビジネスSNSのLinkedinは、アメリカのeラーニング企業Lynda.comを買収し、どういったコースで、どんな内容を学んだかを履歴書上に記載出来るようになっています。また、世界中の有名大学の講義がオンラインで受けられるMOOCs(ムークス)では、コースの修了書を有償で発行しています。

エンジニアやデザイナーの世界では自身の作品や、コードをポートフォリオとして持っており、自分のアピールにそれを用いることが多いですが、人の学びがポートフォリオになっていく動きが、注目されています。

こうした学んだ内容を適正に評価される土壌が整うことで、生涯学習を行う動機付けが高まることはまちがいないでしょう。

文部科学省はそれによって、学歴社会の弊害の是正に繋がるとしています。

前述のようにスキルの陳腐化が早くなり、変化の大きい社会では、学校教育だけでスキルを担保することは難しくなります。その中で個人の学びをポートフォリオに出来るような社会への変化は、日本でも徐々に進んでいくのではないでしょうか。

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