グローバルに展開、投資を行う日本のEdTech企業、EduLabとは

株式会社EduLabは2015年3月に設立されたEdTech関連の事業開発・投資を行う企業です。

CASECなどの英語のオンラインテストや試験の管理・運用・採点等の受託事業を行う株式会社教育測定研究所の持株会社として2015年3月に設立し、ホールディングス制に移行しました。EduLabはグループのマネジメントやEdTechスタートアップ企業への投資や新規事業開発などを主な事業ドメインとしています。

東京、シアトル、シンガポール、香港、北京、上海、バンガロール、プネに拠点を設け、EdTechスタートアップ企業に積極的に投資を行う株式会社EduLabについて、取締役副社長兼CMO  和田周久氏にお話を伺いました。

世界に拠点を持ち、EdTechスタートアップ企業にグローバル投資を行うEduLabとは

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株式会社EduLab 取締役副社長CMO  和田周久

ーー株式会社EduLabについて教えてください。

EduLabは、「人の学びを科学する」をミッションとして、昨年の3月に設立された企業です。

学びを科学するうえで、その評価・測定は不可欠となります。特に、今日のような新しい知識や情報が社会のあらゆる領域で重要性を増す「知識基盤社会」において、私たちに求められる能力・スキルは変容してきているだけでなく、「主体的に学ぶ」ことも求められています。

EduLabはテスティング(eTesting)、テスト関連開発受託、テストオペレーション事業や「CASEC」、「スタディギア for EIKEN」、「英ナビ」といった学習(eLearning)事業を営む株式会社教育測定研究所を中核事業会社に据え、新たな「学び」と「評価」を展望し、主にEdTech分野における新規事業開発・投資を行っています。

ーーなぜ今、EdTech分野への新規事業開発やEdTechスタートアップ企業への投資を行うのでしょうか?

今、時代の変化が非常に速くなっています。

EdTech市場も成長や技術革新が非常に速く、流入している金額も大きいです。同業種からのみならず異業種から新たに参入してくるプレイヤーも多くかつ速く動いています。

こういった流れの中では、時間との勝負をしなければいけないという面もあり積極的に新規事業開発や投資をしようということを決めています。

ーー東京、シアトル、シンガポール、香港、北京、上海、バンガロール、プネなど世界各地にも拠点を置かれています。それぞれの国での活動を教えて下さい。

 

アメリカは、EdTechの市場規模も大きいですし、新しいサービスやコンテンツだけでなく教育に資する革新的な要素技術が現れることが多いので、ソーシンググラウンドとして考えています。

また、これらサービス、コンテンツ、革新的な技術だけでなく新しいビジネスモデルを発見できることも魅力的です。

アジアの教育市場は成長していてチャンスも多く、これからが楽しみです。

しかし、まだまだ市場の急成長に伴う需要増に応えられていないことが多いです。アジアでは自分たちのコンテンツやサービスを提供できる可能性があるのではないかと考えています。

EduLabグループや投資先の製品・サービスを現地に受け入れられるようディストリビューションしていただける良きパートナーを探しているところです。

「学びを科学する上」で重要な技術やプラットフォームを持つ企業に積極的に投資を行う

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ーー投資する上で重要と考えていることはなんでしょうか?

 

「学びを科学する」上では、評価出来るということは非常に重要です。

教育分野での評価のトレンドは大きく変わってきています。

例えば、「主体的に学ぶ」力が求められてきていることに関連して、形成的評価が注目されています。

形成的評価とは、学習活動が終了した時点で行うのではなく、学習過程の最中に行い、学習者が自身の学びを把握するための評価のことです。また、単に知識を学ぶのではなく、他者と協調的問題解決活動を通して知識創造するうえで大事な資質・能力育成の評価も注目されています。

当然、学びが変われば、その評価・測定方法もかわります。 そのような、新たな「学び」と「評価」を支える要素技術やプラットフォームなどに注目して投資も行おうと考えています。

ーー音声認識技術を強みとするELSAへの投資を決めた理由はなんでしょうか?

 

ELSAは、500 Startups発のベンチャーで、発音の評価が出来る技術を持った会社です。その技術をもとに英語スピーキング学習コンテンツを開発しています。

ELSAに投資を行った理由は大きく二つです。

一つ目は、発音評価の要素技術です。ELSAは発音評価にディープラーニングに基づく学習者の母語の要素を加味して分析しているのですが、世界同時リリースして短期間でユーザートラクションを獲得したところが魅力的でした。

例えば日本人は英語のRの発音が苦手ですが、ELSAは学習者の母語の影響を受ける部分を認識し評価することができます。

二つ目は、発音評価技術で苦手発音を評価したあとの学びの部分がしっかりと連動している点です。

評価だけでは学習サービスとして成立しませんが、評価と学習の両輪がしっかりと回るサービスになっていたことが大きいです。スピーキングにありがちな属人的な評価ではなく、信頼できる技術で評価から学習まで一貫した学習者ニーズに応えられるという点が良かったです。

EduLabグループ、 ディープ・ラーニングに基づく音声認識技術を強みとする米国ELSA, Corp.に投資

2016.06.22

ーー英作文教育のプラットフォームを提供するAcademic Meritにも出資をされています?

Academic Meritは、ボストンの会社です。全米統一学力基準に対応した英作文教育のプラットフォームを提供しています。

エッセイをライティングするときの練習問題や学習ツールの提供のみならず、英作文採点における採点側の不均一さを矯正し、指導力の向上を促進する環境をクラウドサービスとして提供しています。

時代ごとに求められる資質・能力が「学び」と共に変容するなか、「評価・測定」も変わらざるを得ません。今後、ますます記述式の問題は増えることが容易に予想されます。

Academic Meritは記述形式の問題作成、採点時の不均一さの矯正技術、指導法の上達や学習でノウハウを有している会社です。こういったノウハウや技術は今後可能性が大きいとみて出資を行いました。

EduLab、英作文教育のプラットフォームを提供する米国Academic Merit, LLC.に出資

2016.06.29

ーー出資だけでなく、アクセラレータ(LearnLaunch社)とも提携を行っています。

プレスリリースを出しているのはEdTech領域にフォーカスしたアクセラレーターであるLearnLaunch社ですが、他にもいろいろなVCと提携しています。

それぞれのアクセラレータなりのふるいにかけてベンチャーやスタートアップを紹介してくれるので、自分達の事業をよく理解していて、考え方の近いアクセラレータと提携をしています。

良いコンテンツ、サービス、プラットホーム、要素技術やビジネスモデルを持っているベンチャーやスタートアップがあれば、投資や協業を行いたいと考えているため、網を広く張っています。


今後も積極的にEdTech関連企業に出資を行っていく予定のEduLab。語学関連のサービスを中心に新しい技術やビジネスモデルを導入する企業との連携が見られるかもしれません。出資や提携の動きがあり次第、引き続きEdTech Mediaで紹介をしていきます。

ABOUTこの記事をかいた人

EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。