授業料は出世払い!?「Make School」の創業者が語る、プログラマー育成、未来の大学のあり方に寄せる想いとは?

サンフランシスコ市内のMake School に訪問し、創業者の一人、Jeremy Rossmann氏にインタビューを行ってきました。

新しい教育機関の形「Make School」とは?

makeschool

https://www.makeschool.com/

Make Schoolは、各業界で活躍できる即戦力を養成する教育機関として、プログラミング教育だけでなくプロダクト Producerとしての素養を習得できるようUser Experienceや投資家へのピッチなどのクラスを展開しています。全米の主要都市や日本、台湾、シンガポールなどに拠点を拡大し、授業料の「出世払い」の長期コースなど、未来の大学(高等教育)のあり方を提示。日本ではZ会と提携をしSummer Academyの提供を開始する予定です。

参考記事)

Z会、Make Schoolと業務提携。通学型プログラミング講座の共催スクール事業を今夏に提供予定

Make School 創業者Jeremy Rossmannインタビュー「日本は最もワクワクする市場、学校内外でのプログラミングの需要が高まっている」

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Maks School の講義の様子

ーー Make Schoolを設立したきっかけを教えてくれますか?

僕がMIT(マサチューセッツ工科大学)にいたときに、iPhone向けのゲームアプリを開発していたんだ。それが楽しくて没頭していたらApp Storeにフィーチャーされるようになった。徐々に研究者育成に偏り、アカデミックな内容中心の大学の授業よりも、プロダクト創りをして実社会にインパクトを出すことの方を優先するようになっていった。

そしたらちょうど、UCLAに通っていた高校時代の友達だったCo-founder、Ashu Desaiもまさに同じような状況で(笑)。彼もアプリづくりに没頭していたら、大学の教授からは研究室は使ってはダメだと言われてしまい、居場所がなくなってしまった。

そこで、実践的でプロダクト開発ができて毎日楽しみでしょうがない、という大学作りを目指してMake Schoolを一緒に立ち上げたんだ。プログラミングを学んでプロダクト創りに思いっきり没頭できるような場、”Product University”として主に高校生向けにコースを提供していたら、Google, AppleやDrop Boxなど一流企業に就職が決まったと卒業生から感謝されるようになった。スタンフォードやUC berkeleyなど有名大学に通っていた学生からもMake Schoolの経験があったからこそ就職できた、と言われるようになった。そこで2年間のプログラムを用意し、大学に代わるようなコースもつくった。そしてついにアメリカ国外でアジアにも今年拡大していくよう急成長しているよ。

ーー成長がめまぐるしいですね。アジアにも展開されるとのこと、特に日本市場はどのようにみていますか?

日本は最もワクワクする市場だと僕たちはみているよ。今、最も世界で、著しくプログラミング教育の関心と学習者が増加している国。学校内外でのプログラミング教育需要が急速に伸びている。

ーーなるほど。今までサンフランシスコで日本の生徒を受け入れてきてみて、日本人のプログラミング学習者は、どういう特徴があると思いますか?

信じられないくらい早く吸収する生徒ばかりだよ。

すばらしい発想力、それにすごく hard-workingだね。日本はGlobalの中でユニークな文化を持っているからなのか、日本の生徒が作るものは独創的だね。そこが素晴らしい。他の国の生徒との融合で新しいアイディアをもたらしてくれるし。明らかに日本の生徒は優秀で、他の生徒の良いお手本になってくれてる。

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Make School で学ぶ受講者の様子

ーーそう言って頂けると嬉しいですね!日本のプログラミング学習者に向けて、何かアドバイスありますか?

哲学的なものとと実践的なアドバイスが言えるかな。

哲学的なアドバイスは、世界を「消費者」の視点でみるのではなく、「クリエイター」の視点で見てみてほしいということ。ほとんどの生徒はサービスやウェブページを誰かがつくったものとして見てる。でも自分が創ったらどうなるんだろう?という視点でみてほしい。素晴らしいプロダクトは大企業じゃないと作れない、と決め付けるのではなく、自分だって作れるという自信をもってほしい。

実践的なアドバイスとしては、プログラミングは、ゲームをつくるためのツールに限定されているのではなくて、もっと幅広いツールになってきているということを知ってほしい。ゲームに興味がなくても、社会貢献、医学、金融、農業の分野にでも、プログラミングがツールとなって活かされてさらに良い世界をもたらしてくれる。新しい社会をつくるツールにもなることを知ってほしい。例えば、New York Timesは最近、ソフトウェアエンジニアを大量に採用してた。New York Timesで働きたかったら、ジャーナリズムを学ぶよりプログラミングを勉強したほうが確実に今は近道。ジャーナリズムの世界をもっと豊かにするためにプログラミングが応用されているんだ。

ーー今まで育成してきたなかで誇らしい生徒や成功事例などがあったら教えてくれますか?

たくさんいるかな。一人一人顔が思い浮かんでくるね。ある男の子は19歳なのにすでに沢山のスタートアップ企業からCTOのポジションのオファーがきていたね。ある日本人の女性の生徒はフルタイムでエンジニアの仕事をしているのにも関わらず空いた時間でボランティアでMake Schoolの生徒を教えてくれているよ。あと、White Houseでこの間は5人の女性生徒がプレゼンをしたよ。本当に素晴らしいプロダクトを創っていて誇らしかった。

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Jeremy Rossmann氏と筆者

ーー 女性の生徒が活躍しているのですね。昨今、女性があまりエンジニアリングの分野で活躍できてないという偏見や風潮がありますがジェンダーギャップについてどう思いますか?

今まででMake Schoolで最も素晴らしいアプリをつくってくれたのは、女性たちだよ。Make Schoolではダイバーシティを大事にしたいと思ってる。僕のゴールは、日本の学校では、まずクラスの男女比を5:5にしていこうと思っている。アメリカでも女性のプログラマー育成のNPOとパートナーシップを組んでいる。まだ根深い問題かもしれないけれども僕はきっと20年後には、Genderや所得のバックグラウンドも関係なくあらゆる人がプログラミングに成功できる要素があると証明できる世の中になるのではと信じているよ。

ーー素敵です!Make Schoolの入学選考は難関だと聞きました。2年プログラムは、応募は750人中、60人通過で倍率約10%ということですが、選考基準で重要視しているポイントはどこですか?

Make Schoolでは、入学希望の生徒に”あなたは誰で何が好きで、なぜプログラミング勉強したいのか?と基本的なことを問いかけているよ。一番重要視するのは、”今までにどんな最高なものをクリエイトした?”と聞いている。アプリやウェブに限らず、組織やクラブ、アートやチームワークでもいい。大事なのは、学校がやりなさいといったことをただやってるのではなく、「自分」が何を作ろうとしたか、ということが大事だと思ってる。

ーーなるほど。自立して何かを創ろうとしていったか、という要素を重要視してるということですね。そこで、そんな人物をもっとMake Schoolに入学してもらえるように、小、中学校のプログラミング教育では何を期待していますか?

クリエイターとしてのマインド。何か友達に見せられるものを作り上げて、何かリアルに作り上げるというという経験をしてほしい。 テクノロジーを使って実際の生活の中でつくりあげる経験をしてほしい。

ーー自分で創ったものを実生活とつなぎ合わせる経験が大事になってくるということですね。

そうだね。特に中学生くらいになったら出来てくるんじゃないかなと思う。小学生の間はまだ若いので、もっと楽しくて没頭できる経験をしていけばいいのではと思う。

ーー最後の質問です。近年大学の学位について費用対効果や懐疑的な意見がでていますよね。大学院を卒業しても就職が難しかったり、就職してもずっと学生ローン返済をしていかないといけなかったり。無料のMOOCsも出てきているし高い学費を支払ってまで学位を取得しなくても誰でも学べる環境が出来てきていますよね。高等教育の新しい形の提案をしているMake Schoolではどんな取り組みをしていますか?

Make SchoolではIncome Based Repayment (IBR)という学費支払いのオプションを用意している。在学中に学費支払いが難しかったら、就職してからその人の給料に合わせて返済金額を調整できるように学生にオプションを用意している。これは学生が社会に出て成功するためサポートをしていきたいと真剣に考えているから導入した。

ーーそこで、今後5年後の大学、高等教育のあり方はどう変わっていってMake Schoolはどういう役割を担っていきたいですか?

僕の願いとしては、高等教育(大学)は、今後、生徒が社会で成功するためにサポートする場となってもらいたい。そのために二つ考えている。一つ目は、政府が大学の効果測定を実施していってほしい。つまり、生徒が卒業後成功できるかどうかの指標を大学に課していってほしい。今、大学のほとんどは研究者育成に偏っていて、就職のサポートは、職業訓練所がやるべきだろう、と思っている。そこを政府が介入して変わっていってほしいと思う。二つ目は、Make schoolみたいな学校がもっと世の中に増えてきてほしい。そこで生徒の成功をサポートしていく新しい形の教育のムーブメントを広めていきたい。そのために、僕はMake Schoolからもっと生徒の実績を出していって、学位がなくても成功するということを証明して信頼を勝ち取っていきたい。

日本からの参加者も!毎日世界中から集まった生徒と切磋琢磨する環境

Make School 2年プログラムに参加する河本和宏さん

今回取材時に、Make School 2年プログラムに参加する河本和宏さんに学校内を案内していただきました。日本人で唯一この長期プログラムに参加し、今月からは現地企業でインターンをすることとなっています。「毎日世界中から集まったクラスメイトたちと切磋琢磨しています。ここで学ぶ上での最大の価値は、シリコンバレーで実際にアプリや技術を創っている人に実際に会え、プロダクトを見せ合い、クリエイター目線での話や意見を生で聞けることですね。」とお話されていました。

河本さんのMake School留学記はブログで更新中:https://makeschoollife.wordpress.com/

2 件のコメント

  • […] 来週からMake SchoolのSummer Academyが始まる。この2週間は世界中からインストラクターが集まり、研修と準備に明け暮れた。日本からも2名のインストラクターが来てくれている。日本では3週間のコースのみの実施になるため、開始は7月からだ。まだまだ日本では知名度が低いため、今週はファウンダーのJeremyが自ら東京近辺の高校に出向いて説明会を開催している。先日は日本のエデュテックメディアにも取り上げられたので興味のある人は確認してほしい。 […]

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    ABOUTこの記事をかいた人

    アメリカ シリコンバレー(サンフランシスコ)在住。大手グローバル企業のスタートアップ、新規事業である教育テクノロジー (Edtech) 事業の現地特派員としてフリーランスで活動中。Edtech / STEM教育関連Event、業界Networking、先進教育現場や学校へ直接訪問し情報収集を行う。 シリコンバレー教育情報を発信したブログ更新中