シリコンバレーイベントレポート:Minerva、Udemy、Khan Academy、Duolingoのグローバル戦略

サンフランシスコ市内にあるUdemy本社で開催されたEdtech企業のGlobal戦略を考える Meetupに参加してきました。

Edtech WomenというEdtech業界内のダイバーシティを推進する団体主催のイベントだけあり、参加者はEdtech関係者の女性がほとんどでした。少人数でフランクな雰囲気で会場は終始和やかでした。当日のメインイベントであるパネルディスカッションのスピーカーは、Edtech企業4社から、Global戦略の分野で第一線で活躍する女性4名でした。彼女たちが日常の実務で経験する貴重な話が聞けました。

The Minerva Project、Khan Academy、Udemy、Duolingoによるパネルディスカッション

edtechwomen

当日のイベントの様子

スピーカーの所属企業はすでに独自領域を開拓しEdtech業界のメインプレーヤーであり、Globalに成長し続けている下記4社です。

The Minerva Project : 21世紀の革新的高等教育の形を創造。サンフランシスコを本拠点とし生徒たちに世界7都市でGlobalな環境で学習する機会を提供。そこでGlobalの入学管理のヘッドを務める方が登壇。

Khan Academy: MOOCsの代表格、世界最大サービス。どんな人にもPersonalize Learningの学習コンテンツを無料で提供することをミッションとし、すでに コンテンツは36ヶ国語に翻訳される。国際戦略のVPを務め、以前も幅広くEdtechの海外戦略やGoogleでの豊富な経験を持つ女性が登壇。

Udemy:世界で1,000万人以上がコースを受験する世界最大級オンライン学習マーケットプレイスを提供。コンテンツの範囲はプログラミングからヨガまで幅広い内容を扱う。Globalパートナーシップのチームに所属する女性が登壇。

Duolingo:Globalで1億人以上のユーザーを抱える世界最大の語学学習プラットフォーム。次世代の外国語学習法を導入。学校教育の領域にも進出中。そこでラテンアメリカ市場開拓の責任者を務める女性が登壇。

グローバル展開では、各国で影響のある適切なパートナーシップが重要

partnership

以下、パネルディスカションで話された内容の要約になります。

まずはこの全4社とも10年前には存在してなかった会社ですよね、というトピックからスタート。これまで急速にアメリカから国外へとマーケット拡大し、意思決定もスピーディーで行ってきた、まさにトップを走る4社。

サービス普及、ビジネスを拡大していくにあたり、適切な団体や企業とのパートナーシップ(協力関係を結ぶこと)が不可欠であること。

特にGlobalでエリアを拡大していく上には各国で影響力のある団体にアプローチする必要があること。教育サービスを導入している以上、各国において「信用性」を得ることがもっとも大事にすべきこと。この上で、学術機関や政府関連団体とのパートナーシップが重要な位置づけとなる。

信用性を得るための各国におけるGrowthレベルは下記5つあり、その各々の段階において各国で異なるアプローチを導入し各々で貢献してもらえそうなパートナー選定をしていくべきとの参考になる情報もシェアされました。

インフラ基盤(ネットワーク環境など)

インフラでは、ネット環境が整っていることが前提。そのレベルは各国によって異なるので市場規模をつかむ上でしっかり把握する必要がある。

プロダクト(商品サービス開発)

プロダクトは商品開発。グローバルで汎用性のある商品開発を行う。

コンテンツ(教育サービスやカリキュラムの充実)

コンテンツでは、各国のユーザーから理解され支持される内容に調整すること。ただ教育コンテンツの中身の言語を翻訳するだけではなく、その国でみじかに感じるように表現方法をローカライズしていくことが重要。(例:インドの生徒たちに、文章問題で、アボカドを出しても全然しっくりこない。ラテンアメリカでは普通だけど。)

マーケティング(各国におけるプロモーション、PRなど)

マーケティングでは、各国ごとできちんと評価され、口コミにつながるようなPR方法を導入する必要がある。(例:インドネシアのような途上国で、次世代型Personalized learning contentだ、とアピールしても響かない。)

流通販路(サービスの販売販路)

流通販路は、各国ターゲットユーザーに近づける流通業社を選定する必要があるとのこと。

グローバル展開する、EdTech企業の競合は?「先生や生徒が時間を費やしているもの」

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次に、Edtech企業として新たな教育の形を創造する4社にとっての競合はなんですか?という質問に対しては、

Minerva: 既存の教育システムやブランドのある大学の存在。まだ一般的な人々の意識では既存のシステムが主流となっていること。21世紀の高等教育を改革していく上で障壁となる要素はたくさんあるけれども、それは既存のシステムを変えるとチャレンジしている限り必ず付きまとってくること。この大変さが仕事をする上で楽しい醍醐味でもあること。と前向きなコメントがありました。
また、興味深かったのが、Khan AcademyとUdemyの方からは、「先生や生徒が時間を費やしているもの」が最大の競合だというコメント。学習者である彼らが何に他に時間を投資しているのか十分に把握することその上でUser Experienceを考えていくことが重要であるとのこと。

次に、Global戦略で地域の優先順位を決定していく上で自分の担当地域をうまく社内でプロモートしていく上でのコツは?という問いに

対しては、社内でどれだけこの地域が会社利益に貢献していくのかピッチをし続けること。また、上司をその地域に連れて行き、とにかく巻き込むこと。どれだけこの地域の戦略が問題を抱え苦労している状況なのか実際に理解してもらうことが大事だということ。意外に泥臭い、社内政治の中で自分の担当エリアのプレゼンスを高めていくことの重要さで、彼女たちが日々奮闘する姿が垣間見れました。

シリコンバレー発の教育サービスを世界へ

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最後に、Globalにスケール拡大していくことで、Edtechがもたらす新たな学習体験(Personalized learningが可能になる点や、個人のポテンシャルを最大化できること、生涯学習を誰もが実現できるようになること)を世界に広げられスタンダードを作っていくことにやりがいを感じるというパネラー一同。今後10年はどうなるか全く想像はつかないけれども新しい学びの形を創るムーブメントに参加していることにワクワクしている、ということでおわりました。

余談ですが、今回は女性による女性のための会でしたが、ほとんど女性だからどうだ、というコメントは全くなく、ビジネスの本質的な話が切り込んで議論がされていました。日本でこの手のイベントだと、仕事と家庭の両立、という話に行きがちですが、シリコンバレーの女性たちは仕事に大して前のめりな姿勢 (Lean in)です。

パネラーで登壇者4名は本当に魅力的な方達で、単純に仕事が好きで夢中になっている、ということが伝わってきて、私自身大変刺激を受けました。日本でももっとこういったEdtech界隈で活躍するロールモデルの方達と情報交換ができるようなコミュニティのムーブメントを展開したいと考えたので、今回を機にEdTechWomen Tokyoを立ち上げることとなりました。

Edtech women とは

Edtech業界における女性のリーダーシップ推進をサポートするコミュニティ。

http://edtechwomen.com/

ビジネス、テクノロジー、デザイナー、教育者など多岐な分野に渡るEdtech業界のプロフェッショナルの女性たちのリーターシップをサポートします。現在New Yorkをはじめ、San Franciscoなど全米各主要都市にローカル支部があります。東京支部も現在設営準備中です。ご興味ある方はFacebook経由のGroupにご参加ください。

https://www.facebook.com/groups/221033721616287/

※以下リンクは、VRを教育分野で応用することをテーマにした記事(別サイトへのリンクです)
VR (Virtual Reality) 教育分野への応用

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ABOUTこの記事をかいた人

アメリカ シリコンバレー(サンフランシスコ)在住。大手グローバル企業のスタートアップ、新規事業である教育テクノロジー (Edtech) 事業の現地特派員としてフリーランスで活動中。Edtech / STEM教育関連Event、業界Networking、先進教育現場や学校へ直接訪問し情報収集を行う。 シリコンバレー教育情報を発信したブログ更新中