「エンジニア版Y Combinatorをつくる」 国内最大の学生向けハッカソンDMTCが目指す エンジニアの理想教育とは【インタビュー後編】

「エンジニアを目指す若い世代の育成」をテーマに、学生ひとりひとりのキャリアを尊重した育成プログラムを目的としたハッカソンを開催する、DMTC。今回のインタビューでは、DMTCを通じてエンジニアの育成に力をいれている山根淳平氏(DMTC責任者)にお話を伺いました。

▼インタビュー前編は以下

「エンジニア版Y Combinatorをつくる」 国内最大の学生向けハッカソンDMTCが目指す エンジニアの理想教育とは【インタビュー前編】

Q5. 既存の教育と社会の溝を埋める手段として「ハッカソン」が有効ということですか?

インタビュー風(2).

そうです。私たちはハッカソンを非常に有効な手段だと考えています。

ここで改めて「現実社会を表す縮図」という観点からハッカソンについて考察すると、ハッカソンには社会で学べる様々なことが詰まっている事が分かります。

まずは「ユーザーの課題抽出」が大事です。「社会ではこういった悩みを持っている人が多いよね」や「これって面倒くさいよね」、「こういうサービスがあったらいいね」という抽象的な社会ニーズを、チームで共有します。そして「誰に対して(ペルソナ設定)」「どんなサービスを提供するのか」というのを次に設定します。

また、仕様を決めてDB設計をし、プロトタイプをつくり、ユーザーにまずは使ってもらえる形でリリースすることで、社会で必要とされるプロダクトかどうかの判断と改善をスピーディーに行います。

この様に社会に価値を生み出すことを最短期間で体験する仕組みがハッカソンなのです。私達からすると、ハッカソンは日本で言うキッザニアみたいなものだと思っています。社会の縮図が詰まっていて、短い時間の中で、さながら社会で実際に行われている物事の過程を学ぶことが出来るのです。

 

Q6. 昨年はどの様なプロダクトが生まれたか?

これ本当に学生がつくったのかよ?!というようなサービスもたくさん生まれました。つくったスマホアプリで起業したチーム、学んだことを用いて自分でフリーランスになった学生もいます。企業に開発したプロダクトの売却を提案しているチームもあります。

具体的に開発されたサービスとチームをご紹介すると、1つ目は、

スタンフォード院、金沢工業大学、同志社大学の学生チームが開発した、女性ファッションフリマアプリ、Imaggleです。

Imaggle(スクショ)

Imaggleは、中国人、ベトナム人、日本人のグローバルチームだったのですが、リーダーが海外に住んでいる経験が長かったこともあり、特に海外とは違う「日本人女性のファッションに対するこだわり、クレイジーさ」に着目しました。その結果より女性がファッションを楽しめるようにすることを目的とした、ファッションフリマアプリを開発しました。

女性ファッション系のフリマアプリは既に国内でも複数存在しているのですが、既存のアプリでは、信頼性や配送手続きに関してまだ課題があります。

Imaggleは、まずよりニッチな市場を攻めるため、東京23区に特化した女性フリマアプリとして展開予定です。ロードバイクを用いた流通網までも自社で用意することで1時間以内にアプリで購入した洋服が届くアプリが出来ています。

 

2つ目にご紹介するのは、

筑波大、同志社大、東京都市大のチームがつくった、「Todo Girl」というモバイルアプリです。Todoタスク管理アプリは、「みんな一度はダウンロードしたことあるけれど、途中で使わなくなってしまう」といった課題を抱えています。

TodoGirl(スクショ)

そこで『Todo Girl』は可愛い女の子と楽しくタスク管理ができる、というナナメウエからのアプローチで継続的にToDoをこなせるアプリになっています。

このアプリはアイデア自体も素晴らしいですが、特にすごいと感じたのは、チーム全員がユーザーの使い勝手(UX)を高めることを、どこまでも考え抜いていた点です。具体的に言うと、ネット上で美少女のイラストを書いてくれる絵かきを雇い書いてもらったり、ニコニコ動画を経由して美少女ボイスを担当してくれる声優に仕事をお願いしたりと、数万円を外部委託に回すほどアプリのクオリティをどこまでも追求しました。プロトタイプのレベルで終わってしまうチームも多い中、なかなかここまで細部にこだわって追求できるチームはそう多くありません。

 

最後にご紹介するのは、

九州大学、九州工業大学2名の学生たちがリリースしたWebサービス「NO MUSIC NO LIFE」です。「あなたの音楽ライフをかたちにしよう」をキャッチコピーに、音楽×時間軸で、音楽ライフを可視化し、友達同士で共有するサービスです。

NOMUSIC NOLIFE(スクショ)

音楽系サービスは既に複数存在しますが、このサービスが他サービスと異なるのは、「時間軸」という要素を用いて「音楽×IT」のアイデアを考えたことにあります。例えば、誰もが中学校・高校・大学のときにそれぞれ熱中していた楽曲があると思います。

「NO MUSIC NO LIFE」では、それぞれの楽曲を時系列でサイト上に記録することができ、後で振り返ることで懐かしさに浸り、更にはそこから共通の音楽を聞いていた友だちと繋がることができるといったサービスになります。Youtubeから自動で過去に聞いてきた音楽を抽出し登録してくれるため、自ら楽曲登録をする手間もありません。

 

Q7. DMTCに参加した学生はその後どういった進路を取りますか?

様々な進路を選択する学生がいますが、私たちは主に①就転職、②起業、③フリーランス、という3つの進路のサポートを行っています。 先ほど申した通り、IT業界や各企業の中でもDMTCの枠組みは注目をいただいており、スポンサー企業からはインターンシップの特別枠や本選考のパスをご提供してもらっています。やはり、大学卒業後のキャリア選択においては、まだまだ「就職」というのが一般的です。DMTCでは就職といった面でもしっかりと学生をサポートできる環境をまずは充実させています。

また、現在、ベンチャーキャピタルの方々とのネットワークも構築しており投資家の方のご紹介や週末メンタリングなどのサポートも実施しています。今後は日本のアントレプレナーを増やすためにも、起業支援プログラムを充実させていきたいです。

若い世代が自分の進路選択をするタイミングに、広い視野でアドバイスができるという立ち位置も、DMTCだからこそできる役割だと思っています。

 

Q8. DMTCの今後の課題は何ですか?

課題としては、ハッカソンのグローバル化対応に尽きると思います。

そもそも、私がハッカソンの存在をはじめて知ったのは、大学時代にシリコンバレーに訪れたのがきっかけです。

シリコンバレーに滞在した際に、Adobe本社に見学に行き、そこで開催されていたAngelhackのDEMO DAYを見ました。その時の衝撃は今でも忘れられません。短期間の中で極めてクオリティの高いプロダクトが生まれているという事もそうですが、ハッカソンの参加者全員が自分のプロダクトをとても楽しそうにプレゼンしていたのが印象的でした。

その後、日本に帰国し、急いで国内初の学生向けハッカソンDMTCを立ち上げるのですが、その間にも海外のハッカソン団体は急速に規模を拡大しています。

既にAngelhackを含め海外のハッカソン主催団体は、アジアを含む全世界で大規模なハッカソンを開催しています。

例えば、AngelhackはAmbassadorチームを持ち、彼らの協力を得ながら世界中の主要都市でハッカソンを開催しています。また大学連携型で行なっているPenn Appsはアメリカの主要大学100校以上と連携して、企業を巻き込んだハッカソンを開催しています。

したがって、今後私たちは、日本にとどまらず世界中でこの「ハッカソン型エンジニア育成プログラム」を展開していく必要があります。そして、より若い世代の刺激となるように、DEMO DAYに参加するだけで鳥肌が経つ様なプログラムを目指す必要があります。

まだ海外から日本に著名なハッカソン団体は入ってきていませんが、昨年末からシリコンバレーのアクセラレータプログラムを持つハッカソン主催団体より日本での開催協力をお願いされることもあります。DMTCとしてはそういった海外のハッカソン主催団体に負けない様に、今年は海外の企業や行政との連携をするなどして、より大々的なハッカソン型育成プログラムを開催していきたいです。

 

Q9. 最後にDMTCが今後目指してく姿は何ですか?

インタビュー風(1)繰り返しになってしまいますが、DMTCが目指すのは、「エンジニア版のY Combinator」です。DMTCを運営している運営チームの中では、そのゴールイメージが十分に共有されており、既にそのために必要な事業展開をチーム一丸となって取り組んでいます。

アクセラレータプログラムの根幹となるDMTCのハッカソンキャンプがあり、そこから派生をして、就転職、起業家育成、フリーランスのキャリアをサポートするプログラムを今後は更に充実させていきたいです。国内発のグローバルなハッカソン主催団体を目指して、大きな飛躍の年にしていきたいです。

インタビュー風(1)

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    EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。