「データは学習のあり方を変えるのか?」パネルディスカッション【EdTechNight!講演レポート】

2014年2月20日に行われたイベント「EdTech Night!」の、講演レポートの第5弾です。第5弾は、登壇者の方々によるパネルディスカッションでした。今回の記事ではそのパネルディスカッションをレポートします。

▼参考(EdTechNight!講演レポート記事)

「小中学生の勉強のやる気に革命を!」FLENS株式会社 大生氏、湘南ゼミナール 高塚氏

「生徒が本物への興味を持てば、ICTツールによって学習が変わる」広尾学園中学校・高等学校 榎本裕介氏

「サービスは、データと分析だけではない」株式会社DeNAアプリゼミ総合プロデューサー 床鍋氏

「コミュニティとゲームが生む熱狂を、教育の領域へ」ドリコム ソーシャルラーニング事業部長 石井氏

 

EdTechNight!パネルディスカッション

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Q.1 授業/サービスをより良いものにしていくポイントは?

大生氏:一言で言うなら、子どもの脳のリズムをツールが阻害しないようにしたい。

Q.具体的に意識しているところはあるか?

大生氏:平たく言えば、ストレスをいかに感じないようにするかという部分。あまり深くコメントしづらい。

Q.運営側としてはどうか?

高塚氏:先生が伝えたいものがあるかが大事だと思っている。開発や先生にエゴがはっきりあるか。どういうふうに生徒を引き上げていきたいか、というもの。

q.具体的には?

高塚氏:FLENSで学んだ子が、その後どのように成長し、どのように日本を導いていくのか、そんな思いを先生もシステム開発者も持っていることが重要だろう。

榎本氏:ツールをねじ込むことをスタートにするのではなく、今のこの時代に深く学ぼうとした結果として、データにアクセスしていくことで自然な形で利用されるサービスになるのではないか。

床鍋氏:利用者目線。データだけでないといったが、定性的な反応もみながら、開発に落としこむようにしている。

 

Q.2 データ活用で気をつけるポイントは?

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Q.データと定性的な印象とのコンフリクトをどう考えているのか?

床鍋氏:分析の前に、探索、といっている。森できのこを探している気持ちで。と話している。見つけるべききのこをイメージして取り組む。目の前に良いきのこがあったからといっても、それが本当に良いものかはわからない。分析の前に、全体の中で何が本当に大事なのかを、素になって考えるようにいっている。

Q.素になる、とは?

床鍋氏:自分の考えが違うのではないか?と思いながらやること。使えなかった探索を数十、数百とやっている。

Q.デジタルとアナログの使い分けについてコメントがあったが、意識していることはあるか?

榎本氏:生徒目線では、生徒がデジタルとアナログを意識するのは、例えばマインドマップのようなものを書こうと思えば、手書きのほうがいいよね、ということに気付くし、数式を手書きしたものを正確に認識するソフトはなかなかない。これをデータにするためにはわざわざTEFFを覚えたりハードルが高い。

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教員目線としては、データの見方として、データの外れ値を意識し、それを除外してモデル化するのが当たり前だとは思うが、教育の現場には、外れ値が目の前にいる生徒だ。全然勉強しないのに一番の生徒がいたりする。

高塚氏:データ的な相関の高さよりも、実は外れ値に正解があるかもしれない。本当はその点が教育としてやりたい到達点かもしれない。それは素になって見なければいけない。

大生氏:数字は強いので、データを出すときにはかなり厳密に因果をみたり、慎重に扱っている。生徒や先生の行動にすぐにつながると考えて、デリケートに扱っている。

この学習は本来どうあって欲しいか、ということを意識しないと、データ遊びになるということも感じている。このデータを出すことによって、数万人の学びが変わる可能性がある、ということを意識しながら提示するようにしている。

成績があがっているデータを出すこと求められることも多いが、安易に「HAPPY」なデータを作って示すようなことはしない。やればできてしまう面もあるかもしれないが、きちんと真実を表しているデータだけを出すようにしている。

先生はデータの信頼性まで吟味している余裕はないので、出てきたデータに食いついてしまう。それ故、データ提供側はきちんと信頼性の高いものを出さないといけない。

Q.3 今後のEdtechのトレンドは?本物の波にするには?

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大生氏:FLENS立ち上げ時に、「学校は100年後あるか?」という問いをたてた。実際、イメージしきれず、30年後をイメージしたのだが。
「学校はあるか?」、あるだろう。「先生はいるか?」、いるだろう。それでは、ということで、30年後でも子どもが多くの時間を使って学ぶであろう学校にポジションをとった。

そのため、先生たちが自然に使えるものでないといけないと考えた。先生のリテラシーをあげなければいけない、という論調もあるが、そうではなく、今のリテラシーで使えるものでなければいけない、という気持ちでやっている。

高塚氏:今、5歳の子どもがいるが、1歳半くらいの頃にタブレットを渡したが、ほとんど子供向けアプリがなかった。3歳くらいから、アプリが一気に増えた。このアプリのお陰で計算ができるようになったという経験などがある。今は人体パズルなどにハマっているようだ。子どもはどんどん違うアプリを触っていく。どうやってデファクトを作っていくかということも重要だと思う。

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少しご紹介したいのは、塾の退塾率は、1%/月 くらいという事実。1%を超えたら大危険信号だ。アプリを家でやらせているだけでは、ここには勝てない。リアルとデジタルが本気で危機感持って、手を組まないと波にならないと感じている。

榎本氏:教員や塾の先生のような、大人が仕向けてやる感じではなく、生徒はすき間時間に勝手に学ぶ。アンケートをやったことがあり、行き帰りの電車と出るかと思ったが、実際には、授業のすきま時間で英単語アプリで遊んでいた。

ちなみに、学校の先生のリテラシーは本当にひどいと感じている。そういう意味で、総花的なものよりも、シンプルにこれだけ、というものが広がるのではないか。WiFiのアクセスポイントで、「ゲーム機専用」という名前がつけただけで、売れたと聞いたことがある。実際には、ゲーム機専用でもなんでもないのだが、シンプルだと思うと買う人がいる。あんなこともこんなこともできる、というよりも、まずはこれから、ということで導入のハードルが一気に下がるのではないか。

床鍋氏:カーン・アカデミーの紹介などを見ていると、衣食住が足りないような子が必死に学んでいる映像がでてくる。日本はそれに乗ることができていない。そこに危機を感じてる。日本発でEdetchをはやく立ち上げなければ、という思いでいる。
Q(会場から):ドリコムは「楽しく学ぶ」ということを掲げていたが、キャラクターがよく出てくる。キャラクターの重要性はどうなのか?
ソーシャルゲームではメジャーなキャラクターがでてくると思うが、そういうものが教育のアプリに出るのはどうなのか。子どもが興味をわくきっかけになるのではないかと感じているが。

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石井氏:個人的な見解として、キャラクターは、ユーザにどういう体験をしてもらいたいかという事を考えて、キャラクターの位置付けが決まるものだ。えいぽんたんには、英語のマーケットに女性が多いことも見えていたので、それを意識した点はある。大人でもmobageなどで有名IPを利用した効果は実際にでているので、IPの効果はあるだろう。

Q.教育とお金は相性が良くないと感じるが、ビジネスモデル、マネタイズの設計で工夫している点、それを考えるときのステップなど、どう考えているか。

床鍋氏:教育市場は1.2兆円と出ている。それだけの規模はある。その中で何をやっていくかは、ユーザに受け入れられるかどうかということなので、お金的な視点よりも、どういうサービスが受け入れられるかということを考えている。

榎本氏:教育業界に、結構お金はあるのではなないか?と感じる。例えば、理科のビーカーでも100円もしないでかえるものが、◯◯セットという形で数千円で売れていたりもする。また、現代の親が子どもの教育にかけるお金は、結構頑張っている気がする。さらに、教育業界は学校がのると、全体的に導入ということにもなるので、相性はむしろ良いのではないかとも感じる。

高塚氏:自分は教育はもうからない、という基本フレームでやっている。長くなりたっているのは、ケンブリッジとハーバード。どちらも授業料では成り立たない。ハーバードは卒業生の寄付。ケンブリッジは不動産。短期では儲からないものと思っている。長期でどうマネタイズするかを考えるのが基本フレームだと思う。

大生氏:フロー型ではなく、ストック型のビジネスにしたいと考えている。一度導入した塾や学校がプラットフォームとして、長く使ってもらえることを目指して展開している。

 

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EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。