【レポート】EdTech JAPAN Pitch Festival 「目指すは、学びのGitHub」アルクテラス株式会社代表取締役 新井氏

2014年2月16日に開催された、「EdTech JAPAN Pitch Festival」のピッチレポート第8弾です。第8弾は、「clear」というノート共有アプリを提供する、株式会社アルクテラスの代表取締役社長の新井豪一郎氏のピッチをレポートします。

【Pitchレポート】株式会社アルクテラス 代表取締役社長 新井豪一郎氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERA3年前にアルクテラスという会社を設立した。直前は、星野リゾートでスキーリゾートの責任者をやっていた。あまり教育とは関係ない分野でキャリアを積んできた。自分自身が小学生のときに、勉強ができない時期があった。6年生から勉強が好きになって比較的得意になってきた。そういう経験があって、現在の教育システムでは、子ども達も力を引き出しきれていないと考えている。だけれども、勉強の仕方次第ではどんな人でも高い能力を発揮出来るという信念があり、それを実現するために会社を設立した。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今日お話させて頂く、Clearというサービスは、「友達と一緒に勉強をする」というのをコンセプトにしていて、ノートをスマホの中でまとめて楽しく勉強出来るアプリ。サービスの紹介と、なぜこのサービスを出したのか、これからこのサービスをどうしていきたいかについて話したい。

みんなで勉強出来るノートまとめアプリ「Clear」

OLYMPUS DIGITAL CAMERAスマホの中にノートを取り込んで、いつでも、どこでも勉強出来るということだが、このこと自体はそんなに新しいことでもない。自分たちが提案したいのはここから先の部分。取り込んだノートに対して、デジタルなシールを貼れる。このシールによって可愛くノートを出来るというのはもちろんだが、デジタルのシールならではの色々な機能を用意している。例えば、暗記シールというものがあり、これは非常にユーザーからの指示も高い。機能に対する多くのリクエストももらっていて、デジタルな付箋紙や、ノートの目次を自動で生成してくれるものを追加していきたい。デジタルならではの使い方を追求している。

ノートをまとめるのを、一人でやるのではなくて、友達を招待して皆でまとめるというのが、もう一つの提案。さらに、ノートを共有して、メッセージで繋がって他の人と一緒に問題を解いていくことを可能にしている。それによって勉強していて分からないところにぶつかっても、友達と一緒にそれを乗り越えることが可能になっている。

もうすぐ、自分が作ったノートをWeb上に誰もが見られる状態に公開する機能をリリースする。YouTubeやSlideShareのように多くの人が見て、そのノートを使って勉強で分からないところを乗り越えていくことが出来る、プラットフォームを作っていきたいと考えている。

なぜ、Clearを提供するのか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERAこのシンプルなツールをなぜ世の中に提供したいのか?ということについて話をしたい。自分たちは、会社設立後、学習塾向けのクラウドサービスを提供してきた。生徒が勉強する時の思考特性や行動特性を分析し、塾の先生が素人のアルバイトの先生でも、生徒に分かりやすく勉強を教えるようにするためのツール。全国の塾で、アダプティブラーニングを実践するために導入しており、3,000件程度のアセスメントデータがある。

このデータを分析すると、74%の小中高生が勉強をキライだと回答していることが分かった。

この結果を見て、なんてもったいないんだ!と思った。勉強はそもそも楽しいもので、こんなにも多くの人が勉強が嫌いだと、自分の本来の能力が発揮出来ないだろうし、社会的にも大きな損失だと考え、これを何とか解決したいと考えるようになった。

学習塾にクラウドサービスを提供するにあたって、自分たちでも塾を運営していて、そこで勉強が嫌いになる要因を探った。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA結論は非常にシンプル。学校で授業を聴いて、家で復習や宿題をやる。授業では分かったが、家で解こうとすると、そのときには分からないことがある。大体の場合、分からないとあきらめてしまう。そのときに敗北感や挫折感を味わう。その経験が何度も続くうちに勉強を嫌いになってしまう。こういったプロセスが勉強ギライになる要因だと考えた。

これに対して、勉強していて、ちょっと難しい問題があっても、それが解けたという成功体験や、問題が解けることの楽しさを知ることが出来るサービスを提供したいと考えた。

考えた結果、たどり着いたのが、一人で勉強して分からないのであれば、友達を巻き込んで考えれば良いというコンセプト。あるいはWeb上で公開されている勉強に関するコンテンツを自分に取り込んで勉強出来れば良い。それをノートを軸に実現しようと言うのが、Clearというサービス。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAClearで提供する、ユーザー体験としては、上記のスライドのようなもの。まず、ノートをスマホに取り込む。中高生はここまではナチュラルにやっている。その後、自分たちの機能でノートを分かりやすく整理してスマートに勉強出来るようにする。だけれども、この段階まででは分からないということも多い。ノートに友達を招待して一緒に勉強したり、Clearにアップされているノートを使って勉強したりといったことで、分かった/解けたという経験を作っていく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAClearをリリースしてから2ヶ月が経つが、ユーザーの24%が友達と繋がって勉強している。正直、この数字はまだまだ低いと考えていて改善していかなければと考えている。

一つのノートに2〜4人くらいのグループで共有してノートを利用しており、アプリにも1-2時間滞在している。滞在時間が長いことがよいということではなく、学生達が勉強する上で、Clearを利用して分からないものを乗り越えているということが分かって、これには手応えを感じている。

Clearで「誰でも自分の可能性を発揮出来る世界を作る」

OLYMPUS DIGITAL CAMERAClearの今後の展望に関しても話をしたい。まずは、公開ノートの機能。誰かが公開したノートに対していいね!をしたりコメントをつけたり出来るようなコミュニケーションを可能にする。ノートを公開した人も承認欲求が満たせるようにする。自分たちはそれを勉強のGithubと呼んでいる。

ありがたいことに賛同している学生達が、すでに300冊くらい預けてくれていて、公開する準備が出来ている。この公開ノートのCGMを追求していくと、Clearを使っている学生さんの学習をもっと一人一人に合わせたものに出来る。

もっと具体的に言うと、あるユーザーが、過去にどういうものをクリップしたり、いいね!をしているのか、どんなノートを作っているのかというのを分析すると、その人が目指しているレベルや、得意不得意、その人が言語情報が好きなのか、視覚情報が好きなのかを把握出来る。それに合わせてコンテンツを提供していくことをしていきたいと考えている。

Clearのシンプルなサービスでそれを解決出来るのではないかと考えている。

Clearによってどんなサービスを実現したいかというと、まだまだ現在の教育システムでは子どものポテンシャルを引き出せていない。74%が勉強をキライという数字もそのひとつ。この社会的損失をどうにかしたい。Clearというサービスで、それを解決していけると考えている。誰でも自分の可能性を発揮出来る世界を作ることに挑戦していきたい。

佐藤氏の質問

佐藤氏:ノートをトリガーとした、学びのGithubというのは面白いコンセプト。ノートにも学習者の特徴が出るものなのでしょうか?

新井氏:学びのタイプによって、ノートに特徴は出てくる。勉強が得意だからノートがきれいという相関もあるにはあるが、それ以上に学びのタイプとして図式化するのが好きなのか、言語情報で頭に入れるのが好きなのかといった違いが大きいと考えている。

 

以前に、クレイトン・クリステンセン教授の「教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革する」の中で、人には学習のタイプの違いがあり、それに合った学習が出来るかがその人の成長において非常に重要であるといった内容を読んだことがあります。ノートという学びのツールにも、個人個人にあった最適なものがあるのかもしれません。こういったことがデータやテクノロジーで可能になり、学習効率が改善すれば、非常に面白い取り組み。

 

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    EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。