【レポート】EdTech JAPAN Pitch Festival 「プログラミングを通して、21世紀を創造する人材を育てる」CA Tech Kids 代表 上野氏

2014年2月16日に開催された、「EdTech JAPAN Pitch Festival」のピッチレポート第7弾です。第7弾は、小学生向けにプログラミン教育を提供する、株式会社CATech Kidsの代表取締役社長 上野朝大氏のピッチをレポートします。

【Pitchレポート】株式会社CA Tech Kids 代表取締役 上野 朝大氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERACATechKidsは昨年の5月に設立したばかりの若い会社で、サイーバーエージェントの子会社というかたち。自分自身は、2010年にサイバーエージェントに新卒入社、1年半インターネット広告の営業、Amebaでプロデューサーを2年半を経験し、現在の役職にいたる。CATechKidsでは小学生にプログラミングを教える事業を行っている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今回、集まっているEdTechの企業と2点大きな違いがある。

一つは、サイバーエージェントというメガベンチャーの子会社であるという点。大企業のスケールメリットを生かしながら自身もベンチャーとして運営しているというところが異なる。資本金400万、社員4人でサイバーエージェントの会議室の一角を間借りして、ベンチャー企業として運営している。EdTechCampで、大企業とスタートアップのシナジーということがあげられていたが、自分たちの事業は参考になることがあるかもしれない。

もう一点が、リアルでの事業展開ということ。テクノロジーで教育をもっと効率的にという文脈だとちょっと違う。どちらかといえば学習塾・習い事に近いような事業を行っている。具体的には、小学校2−6年生を対象にプログラミングを教える事業。3日間でプログラミングを体験する、TechKidsCampというプログラムと、毎週末通学してもらってプログラミングをしっかり習ってもらおうという、TechKidsSchoolという二つの事業の展開をしている。

当社の事業もそうだが、なぜプログラミング学習が話題になっているのか、それに加えて当社がこの事業に込めている思いを紹介出来ればと思っている。

現在、世界中がプログラミング教育に高い関心を寄せている。アメリカでは先日、オバマ大統領が、「ゲームを遊ぶだけでなく創る側にまわろう」といったメッセージを発信した。また、MicrosoftやFacebookなどのIT企業各社も、プログラミング教育を促進している。Code.orgという団体のhour of codeというキャンペーンでは既に、2000万人がプログラミング学習に取り組んでいる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAヨーロッパでもアメリカ同様に盛り上がりを見せている。特にイギリス。昨年の夏に、日本で言う学習指導要領を改訂することを昨年発表し、今年の9月から、プログラミング教育を5歳から義務化している。小国ではエストニアのような東ヨーロッパの国でも7歳からの入門コースを開くことなどを決めている国も存在する。

一方で、実は日本でも注目を集めている。昨年の夏、安倍政権が発表した成長戦略の中で、今後の日本の目指すべき方向性として「世界最高水準のIT社会を目指す」としている。それを、実現するアプローチの一つとして、義務教育にプログラミング教育を導入しようという動きがある。

国や企業、そして個人にとってもプログラミング教育は重要

OLYMPUS DIGITAL CAMERAでは、なぜ各国プログラミング教育に熱心かというと、大きい視点での一つの回答としては、各国が目指す産業の振興、特にソフトウェアやコンテンツ産業を振興したいという思惑がある一方で、優秀なプログラマーが不足しているという課題があげられる。このギャップを埋めるために各国プログラミング教育を熱心にすすめているという背景がある。企業も優秀なプログラマーを確保するためにこういった活動の支援が行われている。

一方で、個人として見た場合にも、プログラミングを学んだ方がいいと考えている。私なりに、その理由は三つある。

一つ目は、21世紀の世界はプログラミンで構築されている。それを読み取る力がプログラミング学習によって身につくと考えている。現在は、生活のほとんどはプログラムで制御されていて、プログラミングで世界が出来ているといっても過言ではない。世界の仕組みがどうなっているかというのを、プログラミングを学習することで知ることが出来る。

二つ目は、消費者にとどまるのではなく生産する側に回ることが出来るということ。以前は、ものづくりとその流通は非常にハードルが高かった。今はノートパソコン一台あれば、自分自身のプロダクトを創ることができ、かつ世界中に製品を届けることが出来る。それが子どもでも出来る世の中になっている。実際に小さい子どもがつくったものが世界中で利用されることも起きている。誰かがつくったものを楽しむだけでなく、自分自身が作り手に回ろうというのが理由になると考えている。Facebookの成長の事例も象徴的なエピソード。

三つ目は、例え自分自身がプログラマーにならなかったとしても、プログラミングを通して身につけられる力が重要。自分で創りたいものを考える力、それをどのように実現するのか考える論理的思考力。エラーを取り除きながら完成まで持っていく力、創ったものを人に説明したり、人前で発表する力。こういったものはプログラミングだけでなく、会社を経営したり、ビジネスを立ち上げたり、芸術作品を発表する際に必要な、普遍的な力だと考える。自分の考えをかたちにする、能動的な姿勢がプログラミングを通じて養われる。

事業のビジョンは「21世紀を創造する人材を育成する」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA当社が小学生にプログラミングを教えるという事業を通して、持っている思いは、「21世紀を創造する人材を育成する」ということ。誰かが創ったものを使うだけ、誰かが敷いてくれたレールを走るだけといった人生ではなく、自分自身が歴史を作る側になる子どもたち・人材を育成したいと考えている。

プログラミングを習ったからといってプログラマーにならなくてもいい、自分のアイデアを色んな形で実現して、能動的に世の中に発信していく力を育んでいきたいと思っている。

佐藤氏の質問

佐藤氏:小学生向けのソフトで言うとスクラッチがあるが、TechKidsCampではどんなものを使って、どんなアウトプットを出している?

上野氏:4つあります。一つは、iPhoneアプリ作り。それはxcodeを使っている。二つ目はブラウザで動くWebアプリ。これはJavaScript、html、CSSを使って創っている。三つ目は、2Dゲーム。これはアメリカのゲームサラダという名前の開発ツールをつかっている。最後が、スクラッチを利用している。

佐藤氏:実際子ども達の反応はどうか?小学生には早いんじゃないか?という意見もあるのではないかと思うが。

上野氏:すごく楽しそうに取り組んでいます。今日お話した背景は、子ども達にとっては関係ない。小学生にとって重要なのは、楽しいこと。実際にJavaScriptなどのプログラミング言語を教えるのが、本当に可能なのかという点に関しては、不安な部分もあったのが本音でもあるが、期待を裏切るかのようなレベルで、食いついてくれている。我々が思っている以上に、能力的にも出来ているし、楽しそうに取り組んでくれている。

佐藤氏:サイバーエージェントが教育に乗り込むのは驚いた。サイバーエージェントにとって、この事業のポジショニングは?

上野氏:サイバーエージェントが、取り組むにあたっては、語弊の有る言い方かもしれないがやや思いつきのような側面もある。もっと社会に貢献出来る、IT企業ならではの何か出来ることがあるのではないかというところから、立ち上げたというのがきっかけ。思いのほか、反響も頂いているので、これからも注力していこうと考えている。また、藤田ファンドや、サイバーエージェントベンチャーズは、EdTech関連の他の企業に投資もしているので、これからも注力をしようと考えている分野ではある。

▼【参考】過去に上野氏のインタビュー記事、Tech Kids Schoolの見学レポートも公開しています。

【インタビュー】小学生10万人にプログラミングを!CA Tech Kids代表上野朝大氏に聞く、小学生向けプログラミングスクールのこれから

【レポート】小学生×プログラミング!小学生のためのプログラミングスクール「Tech Kids School」の見学に行ってきました

小学生からプログラミングは早いのでは?と、思っていた部分がありましたが、以前に「Tech Kids School」に見学に伺った際に、集中してプログラミングに打ち込む小学生達を見て、決して早すぎることはないと考えを改めましら。近い将来、習い事としてプログミングが当たり前になる世界が来るのかもしれません。

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    EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。