【レポート】EdTech JAPAN Pitch Festival 「ソーシャルラーニングで学習の継続を」株式会社ドリコム 石井 学氏

2014年2月16日に開催された、「EdTech JAPAN Pitch Festival」のピッチレポート第6弾です。第6弾は、えいぽんたんという英単語学習のアプリを提供する、株式会社ドリコムのソーシャルラーニング事業部長 石井 学 氏のピッチをレポートします。

【Pitchレポート】株式会社ドリコム ソーシャルラーニング事業部長 石井 学氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERAドリコムという企業には、教育分野の知見が元々あったわけではないし、自分自身も教育分野に知見があった訳ではない。それでもこの分野でチャレンジさせてもらっている。なぜこの分野に取り組むことになったのかという文脈も話が出来ればと思う。

当社は、創業当初はブログサービスから始まり、現在はソーシャルゲームを軸に、広告事業、そして、ラーニング事業を推進している。インターネットの業界では2007,8年頃からソーシャルが盛り上がり、その盛り上がりの中で、国内大手のSNSがゲームを展開するようになっていった。ドリコムもそんな中でソーシャルゲームの事業に取り組み、自分自身もいくつかのゲームをリリースさせてもらった。

ゲームで経験した熱狂を、ラーニングの分野でも

OLYMPUS DIGITAL CAMERAその中で、コミュニティとゲームがユーザーの熱狂を生み出すという経験を得た。

世界で最も売れたコンソールゲームは、任天堂のスーパーマリオブラザーズで、世界で4,200万本売れた。一方ソーシャルゲームのFarmVille(ファームビレ)は、1日に世界で5,000万ユーザーが同時にアクセスしてプレイしている。インターネットとソーシャルがゲームの世界にイノベーションを起こした。

この熱狂を、他の分野でも起こせないか、ネクストイノベーションが起こせないかと考えるようになっていった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA前提として、ゲーム業界と同等のマーケット規模があるものでチャレンジしたいと思っていた。その中で、①ゲームの要素で魅力が増すもの、②コミュニティという同一の価値観を持った集まりが有効に機能するもの、③基本無料でサービスが確立し、一部の課金で利用が広がるもの、④スマートフォンによって利便性が高まるもの、を考えていた。

実は2008年に、mixでi漢字テストというカジュアルアプリをリリースしており、250万ユーザーに使ってもらった経験があった。そういった経験と、考えていたことが結びついて、教育の分野にチャレンジすることになっていった。

ソーシャルラーニング事業部では、「日本を賢く、世界を賢く」をビジョンとしている。

具体的には、学びを続けること。それをより多くの人に届けていきたいと思っている。そのためのポイントは3つ。

一つ目は、「ソーシャル」、人とのつながり、人のコミュニティが学びを継続させる

二つ目は、「ゲーミフィケーション」、ゲームが持つ競争であったり、協力といった要素が学びの継続を生む。

三つ目は、「データを見て、ユーザーにあった問題提供を行うこと」で学びの継続に繋がる。

これをフリーミアムで多くの人に学びを提供していきたい。学びのプロセスの中では復習の中で、反復に力を入れている。理由は、この部分が最も、学習効果結びつくと考えているから。

提供しているのは、英単語を学ぶ「えいぽんたん」というアプリと、「スマコロ」というコミュニケーションのプラットフォーム。


えいぽんたんは、アルクのキクタンのコンテンツを利用しており、TOEICの350点〜990点迄対応している。英語学習を通じて、生徒を育てて楽しむようなアプリになっている。最初にユーザーのレベルを判定して、最適なレベルでスタート出来る。学習の仕組みはシンプルで、英単語の和訳選択を繰り返しながら、キャラクターを育てるというのが基本サイクル。

週次で仲間と協力するイベントがあり、協力の要素がある。イベントの中には、ランキングがあり上位になると特典ももらえる仕組みが用意されている。友達の仲間とコミュニケーションを通じて、繋がりを深め学習の継続につなげている。

スマコロは、英語学習者が、悩み相談、励ましなどのコミュニケーションを深く行えるプラットフォーム登録している人の学習の熱量は、登録していない人の倍くらいになっている。

テクノロジーが可能にする、データに基づいた学習継続の仕組み

OLYMPUS DIGITAL CAMERAスライドは、正答率でグルーピングした際に生じる、学習の継続率の差を表している。こういったデータを見ながら、より学習を継続出来る環境にユーザーを導く取り組みをしている。問題の難易度の適正化、ユーザーとコンテンツのマッチングが重要である。実際の出題する部分について、データを見ながら最適な問題提供のPDCAをまわしている。こういったテクノロジーの部分が従来のアナログの学習にないことを可能にすると考えている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1ユーザーあたり平均で、1日120問回答していて、平均プレイ時間は35分くらい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日々アクティブなユーザーは3.2万人、毎日380万問が解答されている。3.2万人の約40%が毎日プレイしており、90日間毎日欠かさずプレイするといった例も出てきている。フリーミアムでのサービス提供で、99%の方が無料で利用しており、多くの方にサービス提供が出来ている。

熱量の高い環境が出来ている中で、学習の効果はどうだったのか。えいぽんたんのレベルは、全部で37ランクあるが、14日プレイすると、平均4ランクアップする。毎日やっている方は10ランクアップする。アプリの外で結果を出している方もおり、えいぽんたんだけ半年間利用して頂き、TOEICのスコアが140点あがる方もいた。

4月にリリースし、合計で8億問を突破している。事業全体では13億問を突破。重要なのは、このデータこそが学習継続の源泉になるということ。データを見ながら最適化し、学びを継続する環境を整えていきたい。

AppStoreの教育カテゴリではフリーミアムながら上位を推移

OLYMPUS DIGITAL CAMERA企業なので飯が食えるのかということも大事。AppStoreの有料教育カテゴリのランキングでもフリーミアムながらトップの状態を続けている。ほぼずっとトップ3に入っている。有料のアプリで数万ダウンロード、そのうちすう数十%がアクティブで多くの方が継続出来るモデルにするというチャレンジをしている状態。

学習のコンテンツであったり、プロセス自体はシンプル。学び続けられる環境をどのように作るかにフォーカスしてチャレンジをしている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今は英単語だけだが、英語を話せるようになるものや、他の科目、資格試験、海外展開などにもチャレンジしていきたい。

改めて、35分、3万人が毎日プレイしている状態。一人の先生が生徒20名に30分の授業をするとした際に、自分たちは、1,600クラス分の学びを毎日、いつでも、どこでもフリーに提供しており、更に学びの成果もあげている状態をつくりはじめている。

これをもっと大きく、広く展開していきたいと考えている。伝えたいのは、いかに学びが楽しいかというのをつくることが大事だということ。先生との授業や、クラスの内容、仲間との交流に、学びの継続する要素があったと思う。その要素をサービスの中に組み込んで、学習が継続出来るものに、楽しく自由になるようなものを作っていきたい。

佐藤氏の質問

佐藤氏:実際にえいぽんたんを利用している、年齢とか男女比はどのようなものでしょうか?

石井氏:7:3くらいで女性が多い。30-40代の女性がマジョリティで、ママも多い。10代の学生のユーザーも多く、Twitterなどでも反響をつぶやかれている。

佐藤氏:ソーシャルゲームから教育分野へのノウハウの転換で、難しいと感じている部分は?

石井氏:学びにとっての自己目標がある方には、ソーシャルであったりゲーミフィケーションの要素をどの程度組み込めば学びを後押し出来るのかがわからなかったこと。試行錯誤しながらトライしていって、現在のえいぽんたんの成果が出ている。

 

ソーシャルゲームで起こせているユーザーの熱狂が、ラーニングの領域でも起こせたら非常に大きな意義のあることだと感じます。ドリコムが取り組む、学習の継続へのチャレンジは、他のEdTechプレイヤーも多く課題に感じていることだと思います。このチャレンジが今後どうなっていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

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    EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。