【レポート】EdTechCampキックオフ開催!大企業のキーパーソンが語るEdTechのこれから

2014年2月16日、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ、日本マイクロソフト株式会社、株式会社ベネッセコーポレーションが3社で連携して、EdTech分野を支援するためのプログラム「EdTech Camp」のキックオフが開催されました。

今回のキックオフイベントでは、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ、日本マイクロソフト株式会社、株式会社ベネッセコーポレーション各社の取り組みの紹介と、3社を代表する方々のパネルディスカッションが開催されました。

各社の取り組みの紹介とパネルディスカッションの様子をレポートします。

Microsoft Ventures TOKYO代表 砂金信一郎氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERAキックオフの司会は、Microsoft Ventures TOKYO代表の砂金氏が行い、『ドコモベンチャーズ、Benesse、マイクロソフトの3社で大手企業でも頑張って、EdTechの領域で何か力になりたいと考えている。EdTechをテーマにインキュベーションプログラムにしたほうがいいのではないかという様々な議論の結果、動機付けが重要なのではないかということで今回のような形式になった。』とEdTechCampが生まれた背景を語りました。

▼EdTechCampが今後開催するイベントは下記リンクから

 http://edtechcamp.jp/

株式会社NTTドコモベンチャーズ取締役副社長 秋元 信行 氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERA続いて、NTTドコモベンチャーズ取締役秋元氏は、『本当の意味でのリスクマネーを投じて、スタートアップにはしっかりじっくりと大きなテーマに取り組んでほしい。日本ではまだまだ多くないM&Aなどにも取り組んでいきたいと考えているのでぜひ使い倒してほしい。』とコーポレートベンチャーキャピタルであるNTTドコモベンチャーズの取り組みについて語りました。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 伊藤かつら氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本マイクロソフトの執行役員である伊藤かつら氏は、Microsoftが実際に教育現場で行っている立命館小学校へのSurface提供の事例や、熊本県教育委員会との取り組みを紹介しました。また、スタートアップへ行う具体的な支援策としては、開発用ソフトウェア・デバイスなどの技術面での支援や、グローバルでの活動の支援が可能であることが最大の強みであると語りました。

 

株式会社ベネッセコーポレーション 家庭学習事業本部 デジタル戦略推進部長  森安康雄氏

OLYMPUS DIGITAL CAMERAベネッセのデジタル戦略推進部長  森安康雄氏は、『EdTechによって学びのプロセスに変革をもたらしていきたい。モバイルファースト、Go-Global、Lifelong Learning、Open Collaborationをテーマに掲げて、様々なスタートアップと連携してこの分野に取り組んでおり、これからも更に連携したい』とベネッセの取り組みを紹介しました。

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Quipper社や、すららネット社との提携、mana.boとのリアルタイム家庭教師での連携など。

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そして、「EdTechの領域では、若いスタートアップだけで勝負するよりも、マーケットに対して知見を持っているパートナーと連携した方が成功が早い」と語り、是非ベネッセとEdTechの領域に取り組んでいこうとメッセージを送りました。

登壇者3名によるパネルディスカッション

3社の取り組みの紹介のあとは、砂金氏をモデレータにして、3者のパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションの様子もレポートしたいと思います。

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なぜ今、EdTechなのか?

伊藤氏:試験に受かればいいという現在の教育システムではグローバルで太刀打ちできない。今後も日本が輝いていくには教育を変えなければならない。

森安氏:自分は、ずっとやっていたので、「今」というわけではないんですが(笑)。以前に比べて、参入のハードルが非常に低くなっています。スマホなどを誰でも利用出来る環境が整っている。知恵さえあれば誰でも参入出来るというのが魅力。21世紀型の学びに関して考えを巡らす若者が増えている。ハードルはあるが、そのハードルを乗り越えて、盛り上がっている、それがポイントなのではないかと思っている。既存の教育産業には脅威でもあるが、ぜひ一緒にやりたいと思っている。

秋元氏:2つの文脈がある。一つ目は環境が整ったこと。デバイスしかり、ネットワークしかり。一般ユーザーののITリテラシーが追いついてきている。
二つ目は、リアルとITのハイブリッドなサービスの活用。様々な場面での学習の可能性。mobilityを活用出来る。土管屋にならず、新たな柱としてこの分野に注力したいと考えている

EdTechの可能性・未来は?どのように捉えている?

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秋元氏:ABCクッキングは、様々な捉え方があると思うが、自分たちはEdTechの文脈で捉えている。料理においては、先生の価値が非常に重要。自分たちのモバイルを生かせば優秀な先生の授業を遠隔で受けることも出来るようになってくる。これは一例にすぎないが、こういったものを増やしていける。

まだ教育の分野では、ディスラプティブなモデルは出ていないと考えている。大きな教育というカテゴリではびっくりするようなモデルが出ていないんだと思う。これからそういったものが出うるのではないかと考えている。

そういった部分でスタートアップと一緒に取り組んでいきたい。NTTは優秀な人間は多いが、新しいディスラプティブなものを生み出せるタイプの人は正直多くはない。

砂金氏:ディスラプティブなモデルは儲かる?

秋元氏:可能性は低いが、あたれば大きい。そこに資金を投じられていないのが現在の日本のベンチャー業界だと思う。大成功するスタートアップを出すのには、リスクマネーが必要。大きな規模で支援出来るような雰囲気を醸成したい。それにコーポレートベンチャーキャピタルが貢献したい。

伊藤氏:とはいえ、ベンチャーというのはそんな甘いものではない。それはEdTech特有のものではなく、どの領域でも厳しい。その中でどうやっていくか?自身はグローバルカンパニーで日本人として苦しんだ部分がある。その原点は教育にあると思っている。自分たちが当たり前に思っていることは、教育によって作られている。

ダイバーシティを受け入れることが非常に重要で、ディスラプティブなものを生み出す一つの要因がダイバーシティかもと考えている。知恵のあるシニアも日本には大きい。そういったところに知恵を借りることも出来るのではないか。

教育の分野には、既に出来上がった仕組みがある。これは絶望的なほどに巨大で固いものだと思う。参入しやすくなっているとはいえまだまだある。そこは大企業と組むことで出来る可能性が広がる。そういうダイバーシティという考え方もある。

森安氏:こういうイベントでは好きな言葉を紹介している。アランケイは、「未来を予測する最前の方法は未来を発明すること」といっている。EdTechという分野は、まさに未来を発明するもの。だから、「未来は?」という問いに答えることは非常に難しい。ただ、上手くいくと信じていなければ、こんなに多くの人がこういう場に集まらないのではないか。

どんな風に方向付けすれば成功に近づけるのかを考えるのが重要。いろんな人と話すことで破壊的なイノベーションが起こりやすくなるかもしれないと思っている。カーンアカデミーの例はすごいことだと思っている。最初は、親戚の女の子のためのサービスだった。そこで行われた反転授業の仕組みが世界に広がっている。日本の大学高等教育はどうなるのか、日本からも何を発信していくのが重要だと考えている。

砂金氏:ドコモが、MOOCSに取り組んでいる背景は?

秋元氏:先ほど申し上げたリアルとネットという取り組みの一つ。MOOCは今後の柱の一つになると思っている。いち早く日本で紹介していこうと考えている。既に見極められているかというと、そうでもない。これから想像外の発展がありうると思う。スタートアップマインドを持ってドコモも取り組んでいる。

砂金氏:本当は事業計画などあるかもしれませんが(笑)、そういったマインドで取り組んでいるということでしょう。

EdTechイノベータに期待すること/このムーブメントを本物に変えていくには

伊藤氏;まずは高い志を持ってほしい。外資代表のやなやつみたいになっていますが。日本企業の素晴らしさを感じてはいる。日本の凄さを世界レベルでやらなければならない。
若い方は自分の経験にもとづいてだけ考えると危険かなと。日本を変えるには、世界を変えるには、という大きな志でサービスを考えてほしい。アイデアを実現する手伝いをしていきたいと考えている。ぎょっとするようなアイデアがほしい。

森安氏:本物に変えるというのは売上をあげることですよね。ただ実際は、どこにお客さんがいるか分からないし、資金が潤沢にあるわけでもない。だから難しい。そして教育分野は成長に時間がかかる。思うように成長出来ないこともあるのではないかと思う。だからこそ一緒にやりたいと考えている。大企業と組むことで可能になることがある。
破壊的なモデルを考えても、破壊を行う前に弾が切れてしまうという状況が大いにありうる。
学校のマーケットは大手に任せて、他のことに集中した方がいいのではないかと考えている。他にある学びのチャンスにトライするのがいいのではないかと考えている。トライし続ける志と、一緒にやるパートナーをどう見つけるかが重要だと思う。是非一緒にBenesseとやってほしいと考えている。

秋元氏:この分野に限らないが、イノベータであってほしいなと考えている。NTTグループとして積極的に支援したいと考えているので、是非イノベータで有り続けてほしい。

今は、ベンチャーブームの再来と言われている風潮もあるが、あまり好きではない。でも致し方ない部分もあるかもしれない。コーポレーベンチャーキャピタルの果たす役割として、リスクマネーの提供、M&Aの増加、起業家教育などをやっていかねばならないと考えている。だから一緒に是非やりたい。

砂金氏:3者に共通するメッセ−ジとしては、ぜひ一緒にやろうということ。関係性を創るためにはぜひこういった機会を活用して、ネットワークを利用してこの分野を是非盛り上げていってほしいと考えている。

 

ドコモ、Microsoft、ベネッセと大企業の責任者から直接、EdTechに関する話を聞くことが出来る貴重な機会だったのではないでしょうか。各社とも本気で、この分野に取り組んでいくという意気込みの感じられるキックオフでした。これからこの分野では、スタートアップと大企業のコラボレーションが加速していくかもしれません。引き続き、EdTechCampの取り組みに注目していきたいと思います。

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EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。