littleBits(リトルビッツ)に学ぶ、EdTech + Art/Design + Open Innovationのカタチ

幼少の頃、レゴで遊んだり、ロボットコンテストに参加したり、という思い出をお持ちの方もいると思いますが、これらの活動は理数科学教育(Science, Technology, Engineering, and Math (STEM)教育)をクリエイティブに行なうための教授法の一つとなっています。[1] すでに研究でもロボット作りを通した教育が理数科学教育の理解促進に役立っていることや、チームワークスキルの向上、問題解決スキルの向上に貢献していることが証明されています。

デンマークを本社に持つレゴ社は実際レゴを利用した教育を行なうための教材およびサービスを提供しており、日本でも2014年4月より日本国内の小中高等学校に向けて教育教材のレゴ販売が開始されるとのことです。[2]

アメリカでは更に理数科学教育(STEM教育)にアートとデザインを加えたSTEAM(STEM+A(art))教育が唱われており、ロードアイランド州のデザイン学校が中心となり「The STEM to STEAM イニシアチブ」を展開しています。STEAMは、以下の3つの活動内容が軸となっています。

  1. アートとデザインを理数科学教育リサーチの軸にしていく
  2. 小中高等学校の教育にアートとデザインを入れるよう推進する
  3. アーティストやデザイナーを社員として雇いイノベーションを加速させるよう企業に対し影響を与える

 

このSTEAM活動をまさに具現化したのが、 ニューヨークのスタートアップlittleBits社が開発した電子工学系教育テクノロジー玩具littleBitsです。このテクノロジーを利用して学ぶことでどの程度理数科学の理解促進、クリエイティビティ、チームワーク、問題解決能力促進に役立つかということについては現在実験中ですが、おそらくレゴやロボット作りと同様な効果が期待されるでしょう。

EdTechコミュニティでは、主にオンライン教育、タブレット教育についての話題が多いのですが、もう少し視野を広げてハードウェアでのEdTech、そしてプロダクト展開方法におけるイノベーションについてlittleBitsの事例を使って語ってみたいと思います。本投稿ではlittleBitsのプロダクトおよびビジネスモデルがどのようにArt+DesignとOpen Innovationの要素を取り込んでいるかについて紹介します。

 

littleBits(リトルビッツ)とは?

littleBitspicture from littleBits

littleBitsは2011年9月にAyah Bdeirによって設立され、オープンイノベーションの理念の元、全ての人が発明者となれる機会を提供する、というビジョンを掲げています。

littleBitsはプロダクトの名称でもあり、当プロダクトはカラフルなレゴのような電子ブロックが磁石によってくっつくようにできており、それらを組み合わせる事で電気をつけたり音を鳴らしたりでき、電子工学の基礎コンセプトを楽しみながら学べるようにできています。子供の理数科学教育への関心を高め、また大人でも子供でも物作りや試作品作りを気軽に楽しめるように、デザインや使い勝手にこだわったプロダクトになっています。

カラフルなベースキットは$99から提供されており、最新のSynth Kitは日本の電子楽器製造会社Korgとコラボレーションをし、 電子音楽が作れるプロダクトとなっています。このキットを使えば誰でもDJになれるというユニークな プロモーションビデオとともに2013年12月より日本でも発売されました。

EdTech + Art/Design

主に日本ではlittleBitsのプロダクト中心にニュースが回っているようですが、littleBitsのプロダクト展開方法に注目すると、理数科学教育とアート/デザインをどのようにうまく巻き込んでいるかが分かります。littleBitsは主にワークショップを開催してコミュニティを作り、ムーブメントを広げています。アートとデザインを含めたコラボレーションの事例としては、ニューヨーク近代美術館(MoMA)と一緒に小学生向けのワークショップを行なったり、MoMAの美術館ショップのウィンドウにlittleBitsを使って作られたアート作品が飾られたり、などテクノロジーとアート、デザイン全てをうまく掛け合わせ、littleBits自体をアート作品の一部としてうまく使っています。

littleBits make BIG things happen: Behind the scenes “Puppet Master” from littleBits on Vimeo.

 

EdTech + Open Innovation

現在インターネット、ソーシャルネットワーキングサイト、オープンソースプラットフォームの普及により、既存のプロダクトに対し継続的にイノベーションの風を吹き込んでいくことができるようになりました。またオープンイノベーションにより、プロダクト開発もクラウドソースでできるようになっています。

littleBitsはこれらのオープンイノベーションの手法をうまく取り入れ、自分達が作ったプロダクトの、より画期的な利用方法をオンライン/オフラインコミュニティ作りを通じてクラウドソースし、特に普段関わりがない人達をつなぐことでイノベーションを起こしやすい環境を作っています。

例えばlittleBitsのウェブサイトでは先生がlittleBitsをどのように授業に使い、STEAMのどの科目を教えたかについてのレッスンプランをシェアできます。これにより、先生達は今まで交流のなかった全世界の先生達とも交流をもてるようになり、ウェブサイトが先生のためのサポートコミュニティ、および様々な教授法を学ぶプラットフォームとしても活用されています。[3]

オフラインのコミュニティとしては、ニューヨークやベイエリアでのMaker Faireに参加し、ワークショップやプレゼンテーションを行なう事で Maker Faireに参加している様々な分野からの参加者を大人も子供も巻き込み、更にイノベーションを作る環境を構築していっています 。 更に、ナイジェリアで行なわれたMaker Faireにも参加し、途上国に住む子供に対してもSTEAM教育を広げています。

Make/Inspire Workshop from littleBits on Vimeo.

ということで、少しでも本投稿がEdTechコミュニティの皆さんの視野を広げることにお役に立てればと思います。今後も主にアメリカ東海岸の動きになるとは思いますが海外のEdTechについてシェアしていきたいと思います。

〈Saori Imaizumi Technology&Innovation for Education Specialist〉


[1] http://www.asahi.com/tech_science/nikkanko/NKK201311150019.html

[2] http://news.mynavi.jp/news/2014/01/15/435/

[3] 筆者インタビューによる

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ABOUTこの記事をかいた人

EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。