日本版カーンアカデミー!?小中高生向け無料動画サイト『eboard』代表に聞くサービスの背景

昨年はコーセラやedXなどのMOOCsと呼ばれるサービスが注目を集めました。中でもカーンアカデミーは、創業者のサルマンカーンの本も出版されるほど、知名度も人気も高いサービスです。

そして、日本にもカーンアカデミーと同じように、教育格差をなくすべく小中高生向けに動画を配信するeboardというサービスがあります。eboardは、2012年6月にサイトを開設、2013年11月にNPO法人化されています。今回は、NPO法人eboard代表の中村孝一氏に、eboard設立の背景とこれからの展開についてお話を伺ってきました。

日本版カーンアカデミー!?小中高生向け無料動画配信サイト『eboard』で「学びをあきらめない社会」へ

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※NPO法人eboard代表理事 中村孝一氏

Q:小中高生向けの動画配信サイト『eboard』を運営し始めた背景を教えてください

A:そもそもの問題意識は学生時代に学習塾や家庭教師のアルバイトを行っていたときからありました。それは、勉強の出来ない子は出来るようになる環境がないということでした。圧倒的に必要だと感じたのは出来ない子が学び直す・教えてもらえる環境だと思っていました。

ただ、就職した当時は明確なプランがなく、最初はコンサルティング会社に就職しました。ただ問題意識はあったので、定期的な勉強会などは行っていました。そんな中で、カーンアカデミーのようなサービスが出てきて、こういった動画サイトでの提供がベストなのではないだろうかと考えたんです。その発想から試行錯誤で始めて、今のeboardのようなかたちに整ってきたのが2012年の6月頃です。

Q:特に課題意識の強い部分はどういったことだったのでしょうか?

A:考えてみてほしいのは、中学生3年生のクラスで小学校の算数が分からない子がクラスに2、3人、不登校の子はクラスに1人とか2人いて、そこまでいかなくとしても、中学校1年生の内容が分かっていない子はクラスに約10人位います。

そういう子達は、学校に来て9時〜16時くらいまで、授業が分からない状態が続きます。中には親から「なぜ勉強ができないのか?」と問われている子もいます。こういう子達の学校生活を想像してみて欲しいんです。

自分はこういう子達が教育を受けていると言えるとは思わない、何らかの手段で解決していくべき課題だと考えています。こういう子達のサポートが出来ないのはその子達にとっても社会にとっても、本当にもったいない。

また、こういう課題を、子ども個人のやる気の問題とするのもおかしいと考えています。子どもがやれば出来るということに気がついて、変化していくということ自体が周囲の環境に依存しているんです。だから、そういう子ども達が自分に合った学習環境を得られる仕組みを提供したいと考えています。

Q:NPO法人を設立されましたが、なぜNPOという運営方法を選んだのでしょうか?

A:インパクトを大きく与えやすいのがNPOだと考えたからです。

自分は、コンテンツの価格は限りなくゼロに近づいていくと考えています。受験サプリのような他のサービスもある中で、有料の部分を作ると利用のハードルが上がってしまうので、なるべくたくさんの人に利用してもらうためには無料で提供するのがベストだと考えました。なるべく多くの人に支えてもらう無料での提供であれば、株式会社ではなくNPOで運営した方がよいだろうとしました。

Q:現在のユーザーはどういった方が多いのでしょうか?

A:利用者は、現在の学習環境が自分の環境に馴染んでいないという方が多いですね。学校の勉強についていけていないとか、不登校の生徒さんもいらっしゃいます。あと別の観点で言えば、Youtube上の動画では中高生ではなく、30-60代の方もかなり見て頂いています。

Q:サービス運営上のKPIはどのように設定していますか?

A:コンテンツ数を作っていくことですね。ユーザーからも、話をしている学校からもコンテンツの数に対する要望が最も多いので、コンテンツ数を拡充することをKPIとしています。NPO法人化してからは寄付金額というものも見ていきます。ネット上のサービスで、継続的に寄付で運営出来るモデルを確立することも社会的意義があると思っています。

Q:長期的に目標としているものはありますか?

A:コンテンツ数を伸ばしながら、拠点数を伸ばすことが中長期的には重要だと考えています。日本に郵便局は24,000くらい有ってそれを超えるような拠点で提供したいです。e-boardが提供出来るスポットを最終的に30,000カ所にしたいと考えています。そこまでの規模感を出せれば、教育格差をなくしていくような影響力を与えられるし、世の中が大きく変わります。そのためにコンテンツはフリーにして、取り組みに協同してもらえる人、関わってくれる人をどんどん増やしていこうと考えています。その結果として、日本の教育格差を無くし「学びをあきらめない社会」にしていきたいです。

※eboardのプロモーション動画

 

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EdTech(教育×テクノロジー)をテーマにした「EdTech Media」、教育業界に特化した求人サービス「Education Career」を運営する、株式会社ファンオブライフ代表取締役。 EdTechのムーブメントを、情報と人材の面から支援している。